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Issue 207           2005月16日更新


 

キャンモアの女性、熊に襲われて死亡

  6月5日(日)午後2時頃、キャンモアの「シルバーティップゴルフ場」西約1kmにあるトレイルでジョギングをしていた女性三人が推定年齢4歳、体重約100kgの若い雄グリズリーベア(「ベア99」)に遭遇。この三人のうちIsabelle Dubeさん(36歳)が襲われ、その場で死亡した。Dubeさんを襲った熊は、この事故直後に現場に駆けつけた魚類・野生動物保護官により射殺された。同行していた友人のMaria HawkinsさんとJean McAllisterさんに怪我はなかった。
  この友人二人の声明文によると、熊は「忍び寄るように私たちのほうに近付いてきて、怖がっている様子はなかった。Isabelleはロッククライマーだから、本能的に木に登った。Mariaと私は一緒に後ずさりを続け、助けを求めに行った」。二人は、近くの「シルバーティップゴルフ場」でゴルフをしていた客に携帯電話を借りて「911」に通報。付近でこの熊の動きを監視していた魚類・野生動物保護官が連絡を受け、数分の内に到着した。保護官と共にMcAllisterさんが現場に戻ると、Dubeさんはすでに木から引き摺り下ろされ、死亡していた。友人二人が最後に聞いたのは、木に登ったDubeさんが熊に大声で呼びかけている声だった。
魚類・野生動物保護局を管轄するアルバータ州環境維持開発省の広報担当Dave Ealey氏によると、保護官らが現場に到着した時、熊はDubeさんに覆い被さっていた。熊がDubeさんの体から離れた時、すでに死亡しているのがわかったため、保護官は一撃で熊を仕留めたという。
  魚類・野生動物保護官のRon Wiebe氏は、友人二人の行動に誤りはなかったとし、「状況をうまく把握し、その場を離れたことは正解。このような場合、誰も非難されるべきではない」と述べた。
ケベック州出身のDubeさんは、8年前からキャンモアに住んでおり、夫と5歳の娘がいた。マウンテンバイクが得意で、レースにもよく参加していた明るく活発な女性だったという。2003年までの数年間、地元の学校でフランス語を教えており、数多くの友人を持っていた。
夫のHeath McCroyさんは、6月7日(火)、Dubeさんについて「とてもしっかりしたタフな妻だった。(中略)私の想像だが、彼女は熊の気を友人からそらせたのではないかと思う。がんばって友人を守らなければならないという気持ちがあったはず。勇敢なことをした」と述べた。また、McCroyさんは、「熊が付近にいることを警告する標識がもっとあってもよかった」としたが、「母なる自然はいろいろなことをする。Isabelleはたまたま人を襲おうとした熊の目の前にいただけ。それを予測することはできない」と語った。

クラグ・アンド・キャニオン紙・アウトルック紙より

 

「ベア99」の行動に驚きの声

 6月5日(日)にキャンモアの女性を死亡させたグリズリーベア「ベア99」は、その約2週間前にも事故現場付近の「シルバーティップゴルフ場」付近をうろついており、魚類・野生動物保護官に監視されていた。5月25日(水)に同地区でハイキングをしていた女性に接近したため、27日(金)には捕獲され、民家から離れた地点へ強制移動。その後、熊は再度「シルバーティップゴルフ場」付近に戻って女性を死亡させるに至ったが、魚類・野生動物保護局は、それまでの「ベア99」の行動から判断して、今回の死亡事故を予期することはできなかったという。
  無線信号を発する首輪を着けていなかったこの熊は、5月23日(月)にキャンモア北西のハービー・ハイツから「シルバーティップゴルフ場」付近に移動してくるまで、魚類・野生動物保護局にその存在を知られていなかった。その後、アッパー・クーガー・クリークの民家やトレイルの至近距離をうろつき、数回に渡りゴルフ場から追い払われていた。

写真を撮影中の女性に接近
  25日午後7時頃には、クーガー・クリークで山野草の写真を撮っていたキャンモア在住のNiki Davisonさんとその飼い犬が同じグリズリーベアに遭遇。クーガー・クリーク東にあるアルパイン・クラブ・トレイルの下の方で、地面に寝そべってランの写真を撮っていたという。
  何か音がし、マウンテンバイカーが来ただけと思ったが、「それが熊だとわかり、犬をつかんでゆっくりと後ずさりし始めた。熊は私に気付き、後をついて来て私を見ていた。ゆっくりと後ずさりをしたが、後をついて来ているとわかった時点で立ち止まり、(熊も立ち止まったら)また後ずさりを始めた。立ち止まったり歩き出したりを3回繰り返して、トレイルの入口まで来た。(中略)その時点で熊は約1.5mの距離におり、立ち上がって私たちを眺めていた。私は犬を押さえながら前屈みに足元を見つめ、レーズン(犬)も熊に気付いていたが、吠えなかった。そのうち熊は私たちに興味をなくしたようだった」。熊は徐々にDavisonさんから離れて行き、見えなくなった時点でDavisonさんは急いでその場を離れたという。

その後15km離れた地点へ強制移動
  その後、魚類・野生動物保護局はこの熊を人間環境に慣れ過ぎており危険と判断し、強制移動を実行。27日(金)に罠で捕獲され、無線信号首輪と「No.99」の札を装着した後、約15km離れたバンフ国立公園内のキャロット・クリーク北付近にヘリコプターで輸送された。「移動させることにより、熊が死んでしまう可能性が出てくる。(中略)熊が生存していける移動先はとても限られている」と、アルバータ州環境維持開発省の広報担当Dave Ealey氏は説明。
  「ベア99」は、その一週間後の6月4日(土)早朝にハービー・ハイツ方面へ戻り始め、魚類・野生動物保護官は無線信号を使って監視を再開。土曜日の夜から日曜日の朝にかけて強い雨が降っており、熊は夜中同じ場所に留まっていた。監視は日曜日午前8時に再開され、またキャンモアに向けて動き出したことが確認された。「民家やゴルフ場に近付く気配は全く見られなかった。我々は、検討の結果、特に問題はないと判断し、必要であれば追い払う準備を整えていた」と、魚類・野生動物保護官のRon Wiebe氏。

事故直前にもゴルフ場で人に接近
  そして、死亡事故が起きる約一時間前の日曜日午後1時頃には、「ベア99」が「シルバーティップゴルフ場」で、利用客に接近していたことがわかっている。
  ゴルフ場管理人のMark Lilley氏によると、午後1時半頃、1番ホールで女性の悲鳴を聞いて駆けつけた従業員が、木の後ろに隠れた女性の周りを嗅ぎ回っている「ベア99」を発見。急いでトラックを探しに行った従業員が戻ると、熊は女性から離れて別方向へ歩き始めていた。しかし、女性がトラックに向けて駆け出すと、熊は急に向きを変えて女性を目掛けて走り出した。この従業員は、トラックを女性と熊の間に停めて女性を救出し、売店まで連れて行った。
  この従業員が売店からコースに戻ると、「ベア99」が今度は別の利用客のグループに近付こうとしていたため、再度両者の間にトラックを停車。車を見た熊は方向を変えて歩き出したが、従業員は付近にいた客に避難を呼びかけ、その後を追いかけた。トラックで熊をうまく移動させ、8番ホールに隣接する森に追い出すことに成功した。
  しかし、この約20分後、ゴルフ場沿いを走るトレイルをジョギングしていたDubeさんと友人らが「ベア99」に遭遇。魚類・野生動物保護局は、熊がゴルフ場から追い払われたという報告は受けていたが、女性が襲われそうになったことは死亡事故発生の翌日まで知らされていなかったという。

魚類・野生動物保護局の対応
  危険な存在と判断していながら、死亡事故を未然に防ぐことができなかった魚類・野生動物保護局に非難の声が上がっている。しかし、6日(月)に開かれた記者会見で、同局や環境維持開発省は、「ベア99」は、事故当日まで人に襲い掛かるような攻撃的な態度をとる様子を全く見せていなかったとした。環境維持開発省広報担当の Ealey氏は、記者会見中、何度もこの熊が人間に対して「好奇心旺盛だったが、しつこかったり攻撃的ではなかった」と繰り返し発言した。
  Ealey氏は「この熊は、人が集まる場所を避けるように行動していた。付近のある牧場主は、熊が人間の声を聞いて逃げたのを目撃している。人を避けていたことは明らか」としている。また、「シルバーティップゴルフ場」で「ベア99」を目撃したプロゴルファーのRob Padgetさんも、この熊が人間や車を「とても恐れている」様子だったと述べている。
  「ベア99」と身近で接したDavisonさんは、遭遇直後のインタビューで「人通りの多い時間に、民家にとても近いところで熊に遭遇してとても驚いた。至る所に現れると思わなければいけない。今思い返してみると、とてもおとなしく好奇心の強い熊だった」と語っており、死亡事故のニュースを聞き、「お腹をパンチされたような感じ。正直に言うと、木の実が熟す三週間後までに何かしら起きるとは思っていたが、これほど深刻な事態になるとは思ってもみなかった」と述べた。
 事故当時、ゴルフ場付近のトレイルが閉鎖されていなかったことに関して、Ealey氏は「閉鎖は熊が攻撃的であったり、しつこい時、(中略)または付近で動物が殺されていたり、殺された動物の死骸が残っていたりした時に行う。この熊は、我々が心配しなければならないような行動をとっていなかった」と述べ、保護官の Wiebe氏も「あのエリアに通じるトレイルは10以上ある」と述べ、閉鎖は困難だったとした。
  Ealey氏によると、射殺された「ベア99」の死骸は、解剖のため、エドモントンの研究所に送られた。なぜこのような行動に至ったのか、手がかりになるものがないかどうかが調べられている。

アウトルック紙、クラグ・アンド・キャニオン紙、エドモントン・サン紙より

 

グリズリーベア、列車に轢かれて死亡

 5月31日(火)夜11時頃、キャッスル・ジャンクション西約2kmのカナダ太平洋鉄道(CPR)貨物列車線路で、3歳半のグリズリーベアが列車に轢かれて死亡。死後解剖の結果、胃の中にタンポポが多く入っていたため、線路上でタンポポを食べている最中に轢かれたと推定されている。
  死亡したのは、レイクルイーズ地区を中心に行動する「ベア72」の小熊二頭のうち一頭。翌日の6月1日(水)午後には、小熊一頭だけを連れて行動する「ベア72」が目撃された。
  CPRの貨物列車は穀物を積んでおり、輸送途中に穀物が線路上にこぼれる。熊は線路を横断する他にも、こぼれた穀物を目当てに線路へやって来るため、CPRの責任が問われている。「熊は一度食べ物という報酬を得ると、たとえ食べ物がなくてもその場所へ戻る傾向がある」とパークスカナダのEd Abbot氏。
  パークスカナダで山岳公園の肉食獣を専門に研究するMike Gibeau氏は、「CPRはこの問題を軽視している。(線路上の穀物を吸い上げる)清掃車ばかりを解決策として挙げるが、清掃車は大量に穀物が漏れた時にしか役に立たない。プレーリー(カナダ中央部の平原地帯)から沿岸部までの間でこぼれる穀物を減らすことはできていない」と、CPRに対する不満を述べた。
  CPRの線路で死亡した熊の数は、2000年と2001年に一頭ずつ。同社の広報担当Ed Greenberg氏は、「高速道路や車の方が熊の死亡率に大きく関与している。死因の中で列車が占める割合はわずか」と述べた。

アウトルック紙より

 

 


 


 

レイクオハラ行きバスチケットをプレゼント!

 

 バンフタイムズでは日頃の感謝を込めて、読者の方の中から抽選で20組(40名様)にレイクオハラ行きのバスチケットをペアでプレゼント致します。当選者の発表は、8月4日(木)にインフォルーム掲示板で行う他、個別に電話連絡も差し上げます。8月下旬から9月上旬にかけての日程から、抽選順にお選びいただきます。普段は入手困難なチケットですので、ぜひ奮ってご応募ください。
  応募条件として、バンフタイムズに関する簡単なアンケートにご協力ください。応募は、指定のアンケート用紙をご利用ください。(入手方法は以下) その他詳細については、バンフタイムズ「インフォルーム」(開室:火・木・土17:00〜20:00)にてご案内しています。お電話、メールでのお問い合わせは何卒ご遠慮ください。

応募締切:7月30日(土)20:00必着
アンケート用紙入手&応募方法:

"Keller Foods"と"Bank of Montreal"のバンフタイムズラックに用紙が入っている他、編集部(サンダンスモール2階)のドア外にも置いてあります。その他、メール(banfftimes@telus.net)またはファックス(762-3132)でも取り寄せ可能です。記入済みのアンケートは編集部まで直接(ドアの下から差し込み可)、または上記のファックスかメールへご返送ください。

★レイクオハラについては、下のコラム欄で詳しく取り上げています。

 

 

Happy Canada Day!

 

 7月1日(金)は、"Canada Day"と呼ばれるカナダの建国記念日です。バンフで行われる催しについては、6月第4週の地元英字新聞をご覧下さい。例年通りバンフ大通りでのパレードや、ボウ川沿いでの花火が行われることが予想されます。アルバータ州100周年記念のお祝いも一緒に行われる予定です。また、この日は祝日ですので、銀行や郵便局などの公共機関はお休みになります。

 

 

カナダデー日本食ブース

 

 7月1日(金)のカナダデーに、バンフ日本語学校による日本食フードブースが郵便局前のセントラル・パークで出店されます。カレーや水ヨーヨー、菓子パン(あんぱん、クリームパン、ジャムパン、メロンパン、あんドーナッツ、大福)とウーロン茶が販売される予定。利益は、日本語学校の運営費用に充てられます。日本語学校では、このフードブースをお手伝いしてくださるボランティアを募集しています。半日参加も可能ですので、興味のある方は斎藤までお電話ください。(762-5684 午後7時以降)

 

 

 

フォーク・ミュージック・フェスティバル

 

 カルガリーでは7月21日(木)〜24日(日)プリンス・アイランド・パークにて、キャンモアでは7月30日(土)〜8月1日(月)にフォーク・ミュージック・フェスティバルが行われます。国内外から様々なアーティストを向かえて行われる夏満喫の屋外コンサートです。詳しくはウェブサイトまで。
カルガリー www.calgaryfolkfest.com
キャンモア  www.canmorefolkfestival.com
 

 

バンフ市民マラソン

  6月19日(日)午前9時、郵便局前のセントラル・パークから、毎年恒例のマラソン大会がスタートします。ケイブ・アンド・ベイスン(4kmコース)とサンダンス・キャニオン(10kmコース)までを往復。レース中は、同区間の交通規制が予想されますので、ご注意ください。

ゴルフ大会、報告とお礼

 

 5月25日に行われたゴルフ大会は28名の参加により、晴天に恵まれた中、無事終了する事ができました。また、たくさんの協賛金や協賛品をいただき、ご協力を誠にありがとうございました。

協賛:OK Gift Shop、Suginoya Restaurant、Banff Tour Service、Explorer Canada Holidays、Rocky View Adventures、Pika Village、Japanese Restaurant Miki、Saitoh Canada、Canadian Co Co Tours、Abominable Ski & Sportswear、Canadian Way Tours、Calgary Guide Service、Standish Auto、Chaya、JTB International(順不同)

 

 

どうなってるの、EMS?

  郵便局の私書箱(P.O.Box)に届くのか、自宅などのストリート・アドレス(番地)に届くのか、どの宛先を書いていいのかわからないEMS(国際スピード郵便)。以前は私書箱のみの記載だと住所不明で送り返されてしまいましたが、最近の実例から見てみると、私書箱のみ記載されている場合でもきちんと私書箱に届くようになっているようです。
 しかし、やはり念のために私書箱とストリート・アドレス、そして電話番号を記載しておくことを再度お勧めします。また、送り主の控えに、荷物の配達状況を調べるためのEMS番号が書いてあります。それを入手しておけば、荷物が届かない場合に探すことができるため安心でしょう。
EMS便追跡ウェブサイト:www.post.japanpost.jp/tsuiseki/ems/index.html
カナダ・ポスト問い合わせ電話番号:1-888-550-6333

 

 

編集部とインフォルーム、お休みのお知らせ

期間:6月17日(金)〜26日(日)

 バンフタイムズ編集部とインフォルームは、誠に勝手ながら上記の期間お休みさせていただきます。この間は、翻訳やグラフィックデザインのサービスもご利用いただけませんのでご了承ください。なお、医療通訳のキューブヘルプラインは通常通り営業いたします。何卒ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

 

 


 

 


 


憧れのレイクオハラ  〜天国の湖〜

 

 

 別名「天国の湖」で知られるレイクオハラ。他のハイキングコースとの決定的な違いは、静粛さと湖を囲む3000m級峰々の迫力です。
  レイクオハラ地区は自然保護地区のため、その繊細な環境を守るための入山規制が厳しく行われています。日帰りハイカーは一日に約40人が目安で、入山には特別なシャトルバスを利用しなければなりません。バスの予約は、通常2ヶ月先まで満員というのが現状です。一旦入山するとあまりの静けさに心を打たれます。大自然の大きな力に癒される思いです。
  バンフから車で国道1号線を西へ約一時間走ったところにレイクオハラ・アクセスポイントがあります。そのシャトルバスの乗り場からレイクオハラまでは約13km。
  レイクオハラの魅力は、湖とその周囲を囲んだ今にも湖に倒れてきそうに迫る山々の景色にあるでしょう。また、レイクオハラを基点に色々なハイキングルートが楽しめます。シェーファー山方面から真っ青な水をたたえたマッカーサー湖までのコースや、ウィワクシー山方面へ上がり、標高2,275mのオエサ湖からオパビン台地コース、もしくはオハラ湖から直接オパビン台地へあがって、ハンガビー湖付近でゆっくりするのもいいかもしれません。
  9月中旬は周囲に群生するラーチ(唐松)が黄金色になり、一層の素晴らしさを誇ります。ここは自然と動物を大切に思う人のみにお勧めしたいロッキーの秘境です。

★ レイクオハラ行きバスチケットをプレゼント中。(P.3)

遠藤千晶

 

 

 

 

B2K(前編)

 

5月10日 7:00AM
  「大丈夫かこれ?」
  足元の氷を買いたてのスキーで踏み込む。氷はビクともせず、確かな抵抗をスキーブーツの底に感じた。場所はアイスフィールド・パークウェイにあるボウ・レイク。全体を見渡すと水の色がうっすらと氷越しに透けて見える。湖岸の氷は完全に溶け、沢の流れ込み付近は大きく湖面が顔を出している。
  かろうじて湖岸まで凍結している場所を見つけ、恐る恐る氷の上に乗る。氷の強度を3分の2だけ信用しながらその上をスケーティングで進む。湖の中ほどまで来たときに青がやけに濃い穴があった。友人のKがストックを突き立てると、ちょっとした抵抗の後、ポールは手元までズブリと穴の中に消えた。湖のほぼ真中、水深50メートル以上はありそうだ。僕らは氷の極端に薄い部分を猛スピードで、しかもそっと通過した。
  湖の終わりが見える。氷と湖岸の間には1メートルぐらい氷が張っていないスペースがある。僕とKはスピードに勢いをつけて水に向けてスキーを滑らせた。氷の上を離れたスキーは水飛沫を上げて水中に沈み、踝まで水に浸かったところで湖の底を感じた。僕たちは顔を見合わせてほっとした表情を確かめ合った。

7:30AM
  湖を無事渡り切ると、広い平地が広がっていた。上流から氷河の溶け水が流れ込み、複雑な水路を作っている川が流れ、背の高い木は全く生えていない。そこでまた一つ難関が増えたこと知る。行き先に全く雪がない。仕方なく重いスキーをバックパックに取り付け、雪の全くない平地をひたすら歩く。通常なら雪に埋まっている小川を遠回りしながら何度も渡り、森の入り口につくとやっと暗い森の底に雪が現れた。

7:50AM
  森に入るとテレマーク・スキーに滑り止めのシールを取り付けて快適に進む。長年親しんだスノーボードに比べると歩行は飛躍的に楽である。途中、小さな雪崩の跡を過ぎると緊張が解け、リラックスした気分を楽しみながら歩くことが出来た。

8:20AM
  狭いキャニオンに入る。キャニオンの底には細いながらも力強く流れる小川がある。真冬にここを通ったときには小川は全て雪で被われ、両側の崖の上からの雪崩に注意さえすれば何の問題もなく通過していた。
  キャニオンに入ったとたん轟々と流れる川が僕らの行く先を阻んだ。水深が低いのでスキーを履いたまま小川に入る。小川を越えると、しばらく雪の上を快適に歩く。するとまた小川が行く手を阻む。スキーを外し担いで小川を何とか渡る。背中にあるスキーが水流を渡る僕の足元を不安定にする。何度もスキーを履いたり外したりする作業が苛立たしい。スキーを担ぎっぱなしにして歩きたいが、スキーを外して雪の上を歩くと足が腿までもぐる。イライラが頂点に達して間もなく、僕らはキャニオンの外に出ることが出来た。ここからは谷底を歩く必要はない。

9:30AM
  快適な歩きになるはずだった。しかし、いつもよりずいぶんと軽いはずのバックパックのストラップが肩に食い込むように感じる。キャニオンの中で体力をずいぶん吸い取られたようだ。氷河が目の前に迫ると最初の目的地、ボウ・ハットが見えた。普段ならもう少しでボウ・ハットだと喜ぶはずだが、今日は事情が違った。
  「まだ、あんな上のほうにある・・・。」
  僕らはボウ・ハットに向けて高度を上げていった。

11:30AM
  ボウ・ハットに到着した。いつもならここに泊まってストーブの火を見ながら明日の計画を練るのだが、今日は無視。氷河の上をひたすら登っていく。登っている時のことはあまり覚えていない。ぱっとしない天気の中、時折コンパスで方向を確認しながら足を前に進める簡単な作業をひたすら続けていた。

14:00PM
  セントニコラスを回り山の鞍部に出る。ここから今回初めての滑りだ。Kはスキーの経験はなく、テレマークは4回目だ。僕自身もテレマークの経験は乏しく、あまり滑りには自信がない。いつもは喜びの滑降だが今日は恐怖の滑降である。
  スキーからシールを外していると物凄い突風だ。飛んでくる雪沫が顔に当たり、前に顔を向けられない。まぶたの隙間から進行方向を見ると真っ白で先が見えない。突風が終わると深い深い霧に包まれた。世界は真っ白で平衡感覚はなくなり、まるで空間に投げ出された宇宙飛行士だ。僕らは何も出来ないまま氷河の上に立ち尽くした。
  何度目の突風をやりすごしただろうか。気が付くと進行方向の視界は開け、青空が広がっていた。
  「今だ!」
  僕がそう叫ぶとKは斜面に向かってストックを雪に突き立て漕ぎ出した。僕もその後に続く。氷河の上に積もった軽い雪は心地よい感触をスキーの裏に与えてくれた。もう5月だと言うのに素晴らしい雪だ。
  しばらくすると目の前は落ち込んでいて、先は見えない。スピードを落として慎重に左に迂回しながらその先を覗き込む・・・。そこには広大な雪原が広がっていた。そこはワプタ大氷原のほんの一部だが、とてつもなく広大に感じた。遠くにバルフォアー・ハットを探す。次のハットは簡単に見つかった。小さな青い点が氷河の先端にひっそりと遠慮がちに立っていた。
  「目標まで一気に行こう。ここで時間稼ぎだ。」
  僕らはその小さな山小屋にスキーの先を向け、一気に広大な白い世界に滑り込んだ。

15:00 PM
 バルフォアー・ハットは今回の行程のちょうど中間にある。ボウ・レイクからキッキングホース峠にあるウェスト・ルイーズ・ロッジまで一日で横断してしまおうというのが僕らの計画だった。
 15:00 !  なんて中途半端な時間だ。全ては悪い方向に事が進んでいた。アプローチの雪不足による時間の遅延、Kの体調不振、慣れない新しい僕らの仲間テレマーク。全てが計画のマイナス方向に向かっていた。だが、ひとつの朗報もある。
「ここで一泊してしまえ。ゆっくり休んで明日また出かけよう。言い訳は山ほどある。誰も俺達を怠け者なんていわないぜ」。
この一言でハット宿泊が決定。つかれた体を寝袋の中でたっぷり休ませた。(次号へ続く)

 

「永作まさかず」改め、「稲毛田 健司」
数年前から仲間内ではバレバレなので今回から本名で・・・

www3.telus.net/public/toloco/

 

 

 

Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


Go Through (something) = くまなく探す、調べる

  様々なものが入ったところから自分の目的とする物を見つけ出す、または既に自分にとって不要となったものを選り分けるために「探す/調べる」というニュアンスを持ちます。私たちが普段“Go Through” するものとして多いのが、洋服(洋服ダンスやクローゼット)や鞄、財布や新聞などです。

文法のポイント:
“Go” は文章の時制によって変化することを忘れずに。
(過去形は“went through” 、 進行形は“be+going through”)

●Situation 1 
John: I can't find my paycheck.
Jill: Did you look in your wallet?
John: Three times! I went through my wallet, but my check wasn't there.

●Situation 2 
Lynn: My closet is so full. I'm going to have to clean it.
Ted: You should go through all your clothes and give away the clothes you never wear anymore.
Lynn: That's a good idea. I will have to go shopping after that for new clothes!

●Situation 3 
Brent: Yesterday, I was going through some old photos, and look what I found! Pictures of us from high school! 
Scott: Wow, we had terrible hair then.
Brent: Well, at least we had hair! Ha, ha! 
 

BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)

 

 

 

編集後記

 

 「ベア99」の話題でもちきりのボウ谷。全国版ニュースでも大々的に取り上げられていましたが、多くの人にとっては単なるスキャンダルでしかなく、「だから熊は危ない」という安易な考えにつながるような気がします。もともと野生動物の生息地だった所に作られてしまったキャンモアのゴルフ場や住宅地について、次号では、もう少し掘り下げてお伝えしたいと思います。(り)

 

 

 


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