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Issue 210           2005月4日更新


 

熊親子、サンダンス・キャニオンへ

  冬眠明けから三頭の小熊を連れて、バンフの町周辺をうろついていたグリズリーベアの「ベア66」は、観光客の増える7月を前に、町から離れた国道1号線の北側へ隔離されていた。しかし、親子は7月20日(水)に国道を渡って町のある南側に戻り、その後数日間サンダンス・キャニオン地区の閉鎖を招いた。
  6月25日に「ベア66」親子を国道1号線北へ誘導したワーデン(森林警備隊)は、その後親子が再び南側へ戻らないよう、熊が道路を横断する地点に電気柵を一時的に設置した。親子はしばらくノーケイ山地区にいたが、20日には何らかの方法で柵を越え、サルファー山ふもとやスプレー谷を経由してサンダンス・キャニオン地区へ移動。好物のバッファロー・ベリーをサンダンス・キャニオン・トレイル沿いで食べているのが確認された。
  20日以降、サンダンス・キャニオンへ向かう道々には熊出没を警告する標識が出されていたが、27日(水)午後から数日間、サンダンス・キャニオン・トレイルの一部とマーシュ・ループ・トレイルは閉鎖された。ワーデンは、「ベア66」の首輪からの無線信号によって親子の居場所を一日に二、三回ずつ確認している。
  同エリアには、少なくとももう一頭のグリズリーベアがうろついており、この一時的な閉鎖はトレイル利用者と熊両方の安全を守るために行われた。ワーデンは人々に立入り禁止の標識に従うよう呼びかけている。
  今年、バッファロー・ベリーはまだ谷間でしか熟しておらず、より標高の高い場所で熟すのは8月第3週以降という。「この熊たちが(サンダンス・キャニオン地区に)どれくらい留まるかは不確か。もっと(標高の)高い所で実が熟し始めると移動するだろうが、それがいつになるかはわからない」と、人間と動物間に起きる問題を専門に扱うRon LeBlanc氏は述べた。
  「ベア66」は、例年7月第3週あたりにより標高の高いフリント・パーク地区へ移動することで知られている。しかし、専門家は、この母熊が三頭の小熊を連れて、深い山奥へ向かう可能性は少ないとしている。「この母熊は過去に小熊を亡くしているため、(同じことの再発を防ぐために)賢くなってきているだろう。(中略)熊はおそらく何らかの方法で小熊を守らなければならないことに気付いている」と熊の専門家Mike Gibeau氏。「ベア66」は過去に二頭の小熊を亡くしている。

アウトルック紙、クラグ・アンド・キャニオン紙より

 

ロビン・ウィリアムス、カナナスキスで映画撮影

  ハリウッド俳優ロビン・ウィリアムスが出演するコメディー映画『RV』の撮影が、今月カナナスキスで行われた。7月16日(土)の週末、ロビン・ウィリアムスは撮影の合間にキャンモアの多くの店舗を訪れて町を賑わせた。
  この映画は、家庭崩壊寸前の家族がキャンピングカーで2週間ロッキー山脈を旅するという設定。2006年に上映予定。

アウトルック紙より

 

モレイン湖地区のトレイル移動

  パークスカナダは、グリズリーベアにとって重要な棲息地であるモレイン湖とパラダイス谷地区のトレイルを、より熊の出没率の少ない場所へ移動させる計画を現在進めている。また、モレイン湖周辺に新たな短い散策トレイルを作ることも計画されている。
  「これらの地区は頻繁に熊出没の警告が出され、閉鎖もされる。(中略)もしこれらのトレイルを移動できれば、熊にとって有益な他、トレイル利用の機会を広げ、今まで通りの目的地へ行けるようにすることができる」と、パークスカナダのAlex Kolesch氏は述べた。
  同地区には熊の出没から、頻繁に6人以上のグループでのハイキング規制が敷かれる。モレイン湖地区のトレイル移動(続き)

モレイン湖地区では、6人ハイキング規制が導入される前の1996年から1998年、人間と熊の危険な遭遇が12件記録された。導入後の1999年から2001年の間は、5件に減っている。
  また、パークスカナダは、モレイン湖周辺でハイキングに半日や一日費やすことを好まない訪問者のために、短い散策トレイルを新たに作ることも予定している。
  ひとつの場所にこれだけ多くの熊と人間が共存する場所は、北米においてモレイン湖とパラダイス谷のあるレイクルイーズ地区以外にない。今回の計画は、熊をこれ以上人間環境に慣らさないようにし、人間と熊の危険な遭遇を防ぐために練られた「レイクルイーズ地域計画」の一環。
  トレイル工事は来年の夏に始められ、2008年夏の終わりまでに完了する予定。

アウトルック紙より

 

暴行被害者女性に回復の兆し

 7月11日(月)にセントラル・パークで暴行された20歳の女性の容態が安定に向かっている。事故から昏睡状態にあり、生命維持装置を使用していた被害者は、現在意識を取り戻しており、7月29日(金)にはカルガリー・フットヒル病院から実家オタワの病院へ転院した。
  事件直後から病院で付き添っている被害者の家族が、7月22日(金)にバンフRCMP(警察)のBill Young警部に伝えた情報によると、女性は自ら呼吸できるまでに回復した。女性の交際相手の家族は、「実家(のあるオタワ)まで飛行機で移動させられるまでに安定してきた」と述べた。女性は過度の暴行を受けて頭蓋骨を骨折しており、脳への影響が心配されている。
 一方、バンフでは、この女性を援助するための基金が町役場により設立された。寄付は町役場で受付けており、電話でも問い合わせが可能。(762-1200)この他、被害者が好んで通っていたというバンフ退役軍人会のビンゴ会場にも募金箱が設置されている。
  殺人未遂と加重性的暴行罪で起訴されているAlbert George Muckle(25歳)は、すでに二回バンフ裁判所に出頭しているが、実質的に裁判が始まるのは8月8日(月)以降。現在、別の罪でカルガリーの刑務所に3ヶ月間懲役している。

オタワ・サン紙、アウトルック紙より

 

バイクパーク設置、町の支持を得る

  バンフの町周辺には、近年マウンテンバイクトレイルに指定されていない山斜面などに違法なトレイルが多数できており、土地の侵食や野生動物への悪影響からパークスカナダが厳しい取締りを行っている。この人気スポーツに国立公園内で十分なスペースが与えられていないことから、町内にマウンテンバイクやBMX用のバイクパークを設置する交渉が現在進んでいる。
  マウンテンバイク愛好者の団体から設置が提案されている「バンフ・バイクパーク」には、あらゆる年齢やレベルの人が利用できるような障害物コースやジャンプ台が用意される予定。「若者に町内で(マウンテンバイキングが)できる場所を与えることにより、違法トレイルやスタント(離れ技をする台など)が作られることを防ぐ良いアイディア」と、地元マウンテンバイカーのEric Harvieさんは語った。
  このバイクパークの設置場所は未定だが、バンフ・レクレーション・センター周辺、トンネル山給水所、レクレーション・グランド、ミドル・スプリングス住宅地とケイブ・アベニュー間の斜面、スプレー川トレイル付近が候補に上がっている。
  バンフ町のレクレーション企画マネージャーSusan Webb氏によると、町は住民のためのバイクパークの設置に賛同している。「山の中に違法トレイルを多数見つけるよりも、ひとつの場所を特別に用意して、そこにマウンテンバイキングを集中させたい」と同氏。

アウトルック紙より

 


 


 

レイクオハラシャトルの当選者発表

 

  バンフタイムズ読者アンケートは、お陰様で104名もの方からご回答いただきました。皆様のご協力に心からお礼申し上げます。その中からレイクオハラ行きシャトルバスのペアチケットに当選した方は、以下の20名です。
  現在、日程をお選びいただくために個別に電話連絡を差し上げています。(おかけ直しいただく場合は、5日を除く平日午後と、火・木・土17〜20時のインフォルーム中に762-5991までどうぞ。)しかし、留守電がないなどで、8月13日(土)午後6時までに日程をお選びいただけない場合は、権利放棄とさせていただきますのでご了承ください。その場合、13日のインフォルームで再度抽選を行います。

抽選者氏名
1.岡伸光、2.大東朋、3.岩崎智美、4.藤嶋永子、5.河村陽子、6.沖美智子、7.青山博美、

8.関雪子、9.栗田みどり、10.清水由紀、11.ワカスギリツコ、12.マツシマシオミ、

13.瀧佳奈恵、14.須藤慎太郎、15.カトウトモコ、16.阿部恵美子、17.Remi Long、

18.山口まりえ、19.和泉浩司、20.渡辺周(敬称略)

 

 

カルガリー国際花火大会

 

日時:8月24日(水)・26日(金)・28日(日)・30日(火)、9月1日(木)21:30〜
場所:Elliston Park(入口は17th Aveまたは60th St SE)


  各国の音楽に合わせて花火が上がる、毎年恒例の花火大会です。今年の出場国はイギリス(24日)、イタリア(26日)、香港(28日)、スペイン(30日)。各国による花火が終わった後の9月1日(木)に合同フィナーレが行われます。
  この花火大会は、8月24日〜9月1日、毎日イベントが予定されている「グローバル・フェスト」の一環として行われます。花火以外にも開催日の平日は午後7時から、週末の27日・28日は午後1時半から、世界中の文化、食、衣装などを披露するパビリオン、映画祭などが会場で楽しめます。
  花火やパビリオンのチケット、交通手段やスケジュールについての詳細は、「グローバル・フェスト」ウェブサイトまで。www.globalfest.ca

 

 

ピカビレッジサッカー部、リーグ最上位

 

  毎夏行われるボウ谷サッカーリーグ戦には、地元企業など、今年は全8チームが参加しています。そして、今シーズン開始からずっと一位を保持しているのが日本人選手中心の「ピカビレッジ」サッカー部です。
  リーグ最終日の8月28日に向けて、熱い戦いが繰り広げられること間違いなし! サッカー部では、観戦に来てくれる人や部員、マネージャーを大募集しています。詳細はページ7下部。

 

 

 

6人ハイキング規制

 

  以下のエリアでは、熊出没の可能性が高いため、6人以上でハイキングを行うよう規制されています。 

Paradise Valley, Consolation Lakes, Larch Valley, Sentinel Pass, Effel Lake
 

 

深夜の一人歩きに注意

  飲みに出た帰りの一人歩きは、なるべく避けましょう。誰かが酔って一人で帰らないよう、友人同士で気を付け合うのが一番です。どうしても一人で帰るときは、タクシーやバスを利用しましょう。バスは夜11時過ぎまで運行されており、スケジュールや運行ルートは町役場ウェブサイト、またはインフォルームでご覧いただけます。当然のこととして、女性一人のヒッチハイクなど、知らない人の車に安易に乗ることも避けましょう。
  また、過去にバンフのバーでも起きたことのある薬物混入にもご注意を。知らぬうちに飲み物に薬物を入れられて意識がなくなり、連れ去られるなどの被害です。バーで飲むときは、バーテン以外の他人から飲み物を受取らないよう、また自分の飲み物から絶対に目を離さないよう、気を付けてください。

キューブヘルプラインから 〜レーザー視力矯正手術(前編)〜

 

 最近話題のLASIK(レーシック)って知っていますか? つい先日、レーザー視力矯正手術を行っている先生と話す機会がありましたので、この機会に皆さんに紹介したいと思います。ただし、目の状態はかなり個人差のあるものなので、これはあくまでも一般的な例として参考にして下さい。

レーザー視力矯正手術とは
  まず始めに、近視や遠視、乱視というのは、何らかの原因で目に入った画像が正常な位置(網膜上)で焦点を結ばない状況を言います。レーザー視力矯正手術とは、レーザー技術により角膜の表面を削ることでカーブを変え、正常な位置に画像の焦点が結ばれるようにする手術のことを言います。この手術で矯正できるのは近視、遠視、乱視になります。そのほかの症状、例えば白内障、弱視、斜視、老眼は治療、矯正することができません。

LASIK方式とPRK方式
  それでは、LASIKとは一体何なのでしょうか? レーザー視力矯正手術には、大きく分けて2種類あり、その一つがLASIK(Laser In-Situ Keratomileusis)方式、もう一つがPRK (Photo Refractive Keratectomy) 方式なのです。
  LASIKは角膜に切込みを入れてめくりあげ、その内側を削り、めくった角膜を戻す今話題の方法です。メリットは角膜の表面を直接削らないため、その後のフォローアップが比較的楽であることと、正常の生活に早く戻ることが出来ること。デメリットは一度しか受けることができず、将来視力が悪くなった時に再手術できないこと、LASIKを受けられる条件を満たす人が意外に少ないことです。
  PRKは従来からある、角膜の表面を削る方法です。メリットはLASIKよりも安定した結果が出やすく、将来視力が変化しても再手術を受けられる可能性があること。デメリットは角膜表面を削るため、完全に回復するまでの時間がかかることです。

手術を受ける条件は?
  一般的に、LASIKの方がPRKに比べて手術を受けられる条件が厳しくなります。LASIKを受けることが出来ると診断された人は、PRKでもよいという場合が多いようです。視力がかなり悪く、眼鏡などの度が強い、角膜が薄い、糖尿病がある、ドライアイである、年齢が30歳以上であるといった場合はPRK方式になる可能性が高いようです。目に炎症や感染がある、極端なドライアイ、重症な角膜異常や傷、ある種の持病がある、ある種の薬を使用しているといった場合には、手術自体を受けることが出来ないことがあります。

合併症、後遺症はどうか?
  近年はレーザーの改良も進み、手術後の一時的な症状をのぞいて、合併症や後遺症の数は減ってきています。しかしながら、レーザー視力矯正手術はあくまでも正式な手術なので、合併症や後遺症が100%ないとはいえないのも事実です。
  一番起りやすいのが、視力の変動や手術後視力の後退です。その他には、光に対して過敏になる、重度の炎症や不完全な角膜の復元や変形、更にひどくなると角膜移植の可能性も出てこないとはいえません。もちろん、必要以上に怖がる必要はありませんが、手術だということを充分に認識しなければなりません。(続く)

入江博子

 


 

 


 


この夏、ぜひここへ! 〜バンフ周辺お勧めハイキングスポット〜


 ロッキーの夏を満喫していますか? バンフの町からの景色もいいものですが、ここにいるならハイキングをしないと大損です。苦手な方にもお勧めしたい絶景コースを集めました。(所要時間は長めに見積もられています。)

苦労をせずに、お花畑を楽しみたいなら・・・
●サンシャイン・メドウ

トレイル入口:サンシャイン・ビレッジスキー場ロッジ

         (スキー場駐車場からのシャトル往復$21)
所要時間(ループ):すべてのトレイルを歩く場合は約5時間

  シャトルを利用すれば標高差も少なく、開けたお花畑の広がる素晴らしい景色が容易に手に入るトレイルです。特にガーデン・パス・トレイルはお勧め。すがすがしい午後を過ごすのにぴったりの場所です。

氷河と紅茶を楽しみたいなら・・・
●アグネス湖と6つの氷河の広場

トレイル入口:シャトー・レイクルイーズ駐車場
所要時間(往復):アグネス湖まで約4時間、6つの氷河の広場ティーハウスまで約5時間

  レイクルイーズ湖畔からビクトリア氷河に向けて上がって行き、分かれるふたつのトレイルです。どちらもきつい登りがなくてとても歩きやすいため、ハイキング用の靴を履かずに来る観光客もいるほどです。両方のトレイル終点には、紅茶やサンドイッチなどが楽しめる山小屋風のティーハウス(喫茶店)があります。6つの氷河の広場トレイルでティーハウスまで来てもさらに体力の残っている人は、そこから1.2km上ったところにあるビューポイントへ。ビクトリア氷河など6つの氷河に囲まれた冬のような不思議な景色が楽しめます。

今まで見たこともないような湖の色に感激したいなら・・・
●グラッシー湖
トレイル入口:
キャンモア町外れのスプレー湖ロード沿い
所要時間(往復):約1.5時間

  鮮やかな青や緑色のグラデーションが美しいグラッシー湖。ロッキーお馴染みの氷河湖のやさしい乳白色とは対照的な美しさに驚いてください。これだけの短距離であんなきれいな湖にたどり着けるなんて、行かなきゃもったいない! 

ボウ川の砂浜で遊びたいなら・・・
●トンネル山ロードからサプライズ・コーナーまで
トレイル入口:
トンネル山ロード沿いのダグラス・ファー・リゾートを過ぎてすぐ(標識あり)
所要時間:約2時間

  バンフの町で数時間もてあましている時は、ぜひここへ。ランドル山が一望できる気持ちの良い草原や、さらさらの砂浜があるボウ川ほとりなどを行くトレイルです。暑い日はここで足を浸して避暑。最後にサプライズ・コーナーからの展望を楽しみ、ボウ側沿いをダウンタウンまで戻るのもいいでしょう。

 

 

 Illustration by Seiji Yukawa

 

 

 

 

Aemmer Couloir(後編)

 

  僕らは落石、氷、スラフ(小さな雪崩)をかわしながらようやく登攀開始から4時間後、頂上直下10mの位置にやってきた。その場所は傾斜60度以上あっただろうか。ほとんど壁に近かった。
  後半からずっと先頭を歩いてきたが、ここに来て急にいくら足を蹴りこんでも踏ん張れるような手ごたえはない。それどころか、アリ地獄のように周りの雪はどんどん崩れていく。
  「これは登れそうもねぇな」。胸まで埋まった雪の中から、呆然と雪庇を見つめていると健司が後ろから言った。「怪我や危険だけは避けたいが、ここで諦めたら正確にはこのシュートを登りきったことにはならない」。そんな意地っ張りな思いが、僕の頭をよぎる。ここで、スノーボードを履けるかどうかも考えた。体の周りの雪を上手くのけて、場所を作れば履けないこともない。でも何とかして安全に登りきる方法はないだろうか。

最後の雪庇に試行錯誤
  動ける範囲で、あたりの雪をチェックして深さを計る。どの場所も1m50cmぐらいで地面が見えるのだが、どこもアンカーを取るには不十分だった。また氷でも見つければアイススクリューが使えたが、その氷も見当たらない。そうやって探すうちに、ようやく左脇に一ヶ所だけアイスアックスの刺さる固めの雪を見つけた。
  アンカーさえしっかり取り、僕よりもずっと体重の軽い健司なら、この雪質の場所でも登り切れるかも知れない。そう考えた僕らは先頭を交代し、まずアイスアックスでアンカーを取って僕を確保し、5mほどの長さでお互いをつないでいたロープを頂上まで届く長さにかけなおした。
  「絶対大丈夫だな! 絶対だぞ!」と健司が言った。今までシュートクライミングをしていた僕らは、いつの間にかロッククライミングのテンションに切り替わっていた。「クライミング」、「クライム・オン」。そう合図すると、健司が雪庇に向って登り始めた。慎重に健司が登っていく。僕は、彼がいつ落ちても良いように、ビレイしているロープを張り気味に少しずつたぐり出した。
  雪庇の一部をアックスでかき分け、健司が無事に登りきった。「やったぞ!」。相手の身体はもう見えないが、登りきった喜びの声が聞こえてくる。しばらくすると、今度は健司が頂上でアンカーを取り、僕のビレイに取り掛かってくれた。「いいぞー! 来い!」。その合図を聞くと、自分のアンカーを外し登り始める。雪が柔らかく、健司が登った跡のステップは使い物にならないが、それでも同じルートをたどった。
  最後の雪庇にさしかかる。まだ見えない頂上の平らな部分にアイスアックスを突き刺しよじ登る。雪庇の垂れ下がった部分を越え、頂上に顔を出した瞬間、ビレイをしている健司が目の前に現れた。

恐怖と快楽が交ざった最高の緊張感
  無事に登りきった喜びと、今まで見えなかった反対側の景色を楽しむ。どっと座り込み、遅い昼飯を食べた。これで目的の半分は達成した。あとはスノーボードでの滑降だ。ロープやアイゼンを片付け、サングラスを外しゴーグルに付け替えた。ブーツの紐も今一度締めなおし、バインディングをいつもより余計に強く締めた。恐怖と快楽が交ざった最高の緊張感が襲い掛かってくる。
  お互いにどんなポイントで写真をとるか相談し、雪庇に体重をかけて再確認した後、僕が初めに飛び降りた。ほとんど壁に寄りかかってターンをするたびに、表面の雪がスラフとなって落ちていく。そのスラフに乗らない様に脇に逃げてやり過ごす。絶対に転倒は許されない。
  初めの50mを滑ったあと、一度止まって今度は上から降りてくる健司を撮影した。そのまま僕の横を滑り降りる彼を、連写で取り続ける。なにか様子がおかしい。「あっ!」とその瞬間、健司はスラフに乗り上げてしまい、雪の流れとともに落ちていった。流されながら頭が徐々に下へと回転していく。そしてついには逆さまの状態で落ちていった。
  カメラを抱えたまま、言葉も出ずに呆然と滑落していくのを見ていた。偶然40〜50m流されて止まった健司を見てホッとしたが、怖さのあまり心臓の鼓動が激しく響く。流された本人はもっと怖かったに違いない。無事なことに安心したせいか少しだけ笑ってしまったが、健司は恐怖におののいた表情をしていた。
  少し萎えた気持ちをこらえ、お互いの滑りで落ち始めたスラフを見届け、それを避けながら右に左へゆっくり確実にターンをする。思うように膝に力が入らない。滑落した健司を見た僕は、それがいかに危険か思い知らされ、初めに雪庇を飛び降りた勇気はもうなく、まともには滑れなくなっていた。大袈裟ではなく、ただ無事に戻れる事だけを考えていた。
  朝に出発して昼過ぎには戻ってくる予定だったが、ようやくテントにたどり着いた時には、既に夕方の4時を回っていた。終ってみればさっきまでの不安は何処かへ去り、その不安が過ぎ去った隙間は達成感で満ち溢れる。テントの周りに背負っていた全ての荷物を投げ出し、平たい大地に恩恵の念を抱き大の字になって寝ころがる。しばらくは無言のまま、青空の中ゆっくりと流れる雲を見つめつつ、無事にたどり着いた喜びに浸った。「さっさと帰って、祝杯のBBQでもするか!」そう健司が言うと、僕らはテントを片付け重い荷を再び背負い、車に向うやぶの中へ入っていった。(完結)

 

K2C2
www3.telus.net/public/toloco/

 

*このコラムにあるように、国立公園で指定された場所以外でキャンプをする場合は、許可が必要です。

 

 


NHLのシーズン開幕、10月5日へ! 〜ロックアウト終了〜

 

  昨年度のシーズンが丸ごとキャンセルされ、一試合も行われなかったNHL(北米のプロアイスホッケーリーグ)ですが、今シーズン開幕がやっと確実になりました! 7月22日に選手側とリーグ経営陣が今後6年間有効となる新しい契約を締結。より見ごたえのある試合にするためのルール改正も行われ、開幕日の10月5日にはNHL史上最多の15試合が予定されています。

経営陣の勝利?
 今回のロックアウトについて、アイスホッケー界の英雄Wayne Gretzkyは"Everybody lost."と言ったそうですが、新契約の内容から勝者は経営陣という見方が多いようです。NHLの売上が年々減少するなかで、選手の年俸が増え続けていることに不満を抱いた経営陣が、選手をリーグから締め出したこと(=ロックアウト)から今回の問題は始まりました。選手の年俸を実質的に減らすかどうかが最後まで焦点になっていたようですが、結局は今シーズンが再びキャンセルされる可能性に、金銭的、精神的に耐えられなくなった選手側が折れ、経営陣側の要求を受け入れた形になりました。

サラリー・キャップ
  合意に至った契約内容には、選手の年俸に上限(サラリー・キャップ)を設けることが盛り込まれています。シーズンごとに数字は調整されるものの、各チームが選手の年俸に費やすことのできる金額の上限は、今シーズン3,900万USドルに設定され、リーグ全体で選手の給与に充てられるのはリーグの収入の54%以下と定められました。リーグやチームの収入が上がれば、選手の年俸も上がるという仕組みです。一方で、年俸の下限も以前より大幅に引き上げられました。
さらに、各選手の年俸はこの上限(3,900万USドル)の20%を越えてはいけないとされたため、今シーズンの年俸は最高でも740万〜780万USドルとなります。2003/2004シーズンの平均年俸は183万USドルですが、1,000万USドルを上回る年俸をもらっていた人気選手にとっては痛手となりました。以前は資金力のあるチームに自然と人気選手が集まっていましたが、各選手の年俸の差を減らすことで、チームの力の均等化を狙っています。

選手側の利点
  年俸に関する点で不利になった選手側ですが、選手にとって新契約の一番の利点は、より自由にチーム移動ができるようになった点です。NHL選手は、リーグデビューの際にチームと結ぶ初契約が終了した後、"restricted(制限のある) free agent"となります。このカテゴリーの選手をそれまで所属していたチームから引き抜くには様々な制限が設けられていて困難なため、あまり行われません。しかし、一定の年齢に達すると選手は"unrestricted(無制限) free agent"になり、自由にどのチームとも契約を結ぶことができるようになります。今回の契約では、選手がこの"unrestricted free agent"になるまでの年齢が引き下げられ、移動がしやすくなりました。このことやサラリー・キャップの設定により、チーム変えを行う選手が多数出てくることが予想されています。

より見ごたえのある試合にするためのルール改正
  最近行われたある統計では、昨シーズンキャンセルによりNHLは200万人ものカナダ人ファンを失ったとか。労働争議も解決され、NHLはファン獲得に乗り出したようです。より見ごたえのある試合を目指すために、ルール改正が行われました。なかなかゴールが入らないという今までの問題を解決するために、ゴールキーパーが着用するパッドなどの装備のサイズを小さくすること、同点を打開するためにPK戦のようなシュートアウトを行うことなどが定められました。
  また、ファンを取り戻すため、チケット価格を引き下げているチームもあるようです。カルガリー・フレームスは、残念ながら現時点で価格引き下げを予定していませんが、アナハイムやフロリダ、ピッツバーグはすでに引き下げを発表しました。エドモントンを含むいくつかのチームは未発表のため、今後値下げが期待できるところもあるでしょう。

NHL期待の星、Sidney Crosby
  今シーズンのエントリー・ドラフトで人気ナンバーワンと言われるのが、ノバスコシア州コール・ハーバー出身のSidney Crosby選手。ジュニア・ホッケー・リーグでの目覚しい活躍ぶりから、「第2のWayne Gretzky」と期待されている現在18歳の新人です。7月30日に行われたドラフトでは、ベテランのMario Lemieux選手が所有するピッツバーグ・ペンギンズに指名されました。周囲の期待にどれだけ応えてくれるのか、今シーズンのパフォーマンスが楽しみです。

 

バンフタイムズ編集部

 

 

 

Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


Sleep on it = 結論を先送りにする、熟考してから結論を出す

結論を出さなければならない事柄に対して、「ゆっくりと時間をかけて考える」あるいは「あせらずに十分考えてから答える」という意味を表すイディオムです。

●Situation 1 
Robert: Will you marry me?
Susan: Uh...
Robert: Don't answer me now. Sleep on it and let me know tomorrow.

●Situation 2 
Dennis: Will you take the new job?
Mike: I can't say yet. I need to sleep on it for a few days.

●Situation 3 
Mike: This is a good time for us to take a vacation. Should I make the reservations?
Mary: I don't know.... Can I sleep on it and let you know tomorrow?
 

BY Deb Penninga (Banff Education Centre講師)

 

 

編集後記

 

 「最近ガーデニングのコラムはどうなっているの?」と言われることがあり、恐縮しています。サボっているわけではないのですが、広告やより重要と思われる季節の話題が多く、紙面スペースの確保が容易でないというのが言い訳です。そろそろ収穫期ですので、また掲載させていただきます。
 お陰様で広告も増えてきており、紙面に載せきれないニュースや情報が多い時もあります。ページ数を増やすのはいろいろな面から容易でないため、あふれたものは今後、紙面でお知らせした上でウェブサイトに掲載していくことも検討しています。
 また、多くの方々に読者アンケートにご協力いただき、編集部一同とても感謝しております。時間を割いてコメントをきちんと書き込んでくださる方も多く、今後の紙面づくりに大いに役立てていきたいと思っています。普段は読者の方からのご意見をいただくことがとても少ないので、アンケート結果を見て、実は結構頼りにしてくれている方も多いようだということがわかり、嬉しく思っています。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。(り)

 


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