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2002年4月下旬号
永作のボード日記
<〜コボちゃんトモちゃんへ〜…>(昨シーズン記事再稿)
今年は48年ぶりの雪不足。僕らのような雪大好き人間には最悪の年になった。僕のホームゲレンデ、レイクルイーズには去年現れることの無かった隠れキャラ(岩や倒木)がいたるところに姿をあらわし、スノーボードの寿命を縮めるばかり。今年は年甲斐も無く、ハーフパイプが飛躍的にうまくなってしまった。(といってもまだへたくそだが・・・)しかし、私達は年間滑走日数120日を超えるスーパーローカルである。ただでは今シーズンを終わらせるわけにはいかない。雪はあるところにはあるのです。しかしタイミングが大切だ・・・。
2月の終わりの日曜日。前日降雪があった。僕とカザそしてミッキーはレイクルイーズで落ちあった。リフト乗り場を見ると長蛇の列。まるで苗場だ。とりあえず列につく。周りは家族連れや外国人でいっぱいだった。ようやくリフトに乗るころにはすでに10分以上が経過していた。リフトを乗り継ぎ、このスキー場最高地点へ。ここからが本番である。ほんの少し滑ってロープの外へ・・・。
そこには巨大なボールが眼下にあった。エリア内と違い、ばふばふの雪が詰まっている。しかし、僕らはそんなものに目もくれない。数十本のトラックが入っていたからだ。僕はその反対側の斜面に目を移した。その斜面の始めには大きな雪庇が張り出し、山岳ガイドなら間違いなく滑走を避ける斜面である。ここは2年前日本から来た僕の友人、コボちゃんとトモちゃんと開拓し、通称「ゴールデンコース」と呼んでいたパウダー天国への入り口だった。
カザとミッキーはすでに心を決めているようだ。僕は雪庇を大きく切り取り、ボールの中に50キロ以上もある大量の雪片を落とした。何も起こらない。僕も心を決めた。いつものようにじゃんけん。カザが勝つ。いつもは一番乗りを賭けてのじゃんけんだが今日のは複雑な感じだ。カザはバインディングのストラップを締め直しゆっくりと、雪庇から落ちていった。大きな雪煙を上げボールの中に入ったかと思うと、小さな点になったカザは後ろに印象的な線を残しながら、猛スピードでさらに小さくなっていった。彼の姿が見えなくなってしばらくすると、2ウェイラジオから「思いっきり突っ込んで来なさい!」という嬉しい報告があった。雪庇の上に立つ。こんな雪は今年レイクルイーズで初めてかもしれない。カザの指示どおり2メートルほどある雪庇から飛び降りた。バフンッ!細かい雪が僕を包んだ。何も見えない。板が滑り出すと雪煙の中からシミ一つ無い雪面の中にほうりこまれた。板が浮き上がる。風が頬を切る。ターンをすると心地良い雪の抵抗があった。とても心地よい。数回そんなターンを繰り返すとカザの姿が見えた。
「どうよ、今の!」
カザが興奮気味にたずねたが、僕は答えなかった。顔を見れば分かるだろ!そこからは腰まで埋まる雪を掻き分けながら30メートルほど登る。目の前にある尾根を越えると今度は信じられないぐらい長いパウダーの斜面が横たわっていた。斜度はたいしたことは無い。しかも一本も滑ったあとが無い。
「これ全部あなたのもの!」
僕はミッキーに叫んだ。
「おまえさっき先に行ったから今度俺ね。」
カザは明らかにむっとしていた。冗談だよ。またじゃんけん。今度はミッキーが勝つ。ミッキーは迷わず真っ白な雪の中に突っ込んだ。ミッキーの姿は見る見るうちに小さくなっていく。スノーボード2年目にしてはいい突っ込みをする。彼女が安全地帯に到達すると、今度は僕が雪の中に突っ込んだ。大きなバーンを大きく滑る。十分スピードをつけてスピードを殺さないようにターン。太陽が後ろから照り付け、スプレーの影を映す。それはとてつもなく大きく、簡単に僕の影を飲み込んでしまう。
長い。いつまでも終わらない。いつまでも終わらないと思っていると、突然ミッキーの黄色いウェアーが目に入った。
「なんか、自分のスプレーの音が後ろでするのが分かるんだよね。分かった?」
ミッキーは嬉しそうに同意を求めてきた。レイクルイーズは結局いつでもレイクルイーズだった。今年はおそらく無理だろうと思われた「ゴールデンコース」。今年は今ごろになってやっと入れるようになったようだ。今年2年ぶりにバンフに来てくれたコボちゃんトモちゃん、次の降雪の後は間違いなくオーケーです!
永作まさかず
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