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〜スペイン編〜
スペイン南部の町、コルドバにあるスペイン最大のイスラム寺院「メスキータ」。その内部に足を踏み入れたぼくは、天井を見上げて、言葉を失った。高い天井の半分を幾何学模様が、そして、もう半分をそれとは対照的なルネッサンス様式が埋め尽くしていた。そこにはまったく違う二つの様式があった。
幾何学模様はイスラム独特のものであり、きらびやかで派手な装飾は、キリスト教の典型であった。天井だけではない。薄暗い壁を注意深くみると、聖歌のためのパイプオルガンや礼拝施設、コーランの刻まれた壁と、そこにも二つの違った宗教は共存している。
イスラム教は偶像崇拝を認めていない。だから壁や天井を飾っているのは、緻密に計算され尽くした幾何学模様だけなのだ。絵画や彫刻などの芸術が発達したキリスト教と異なり、イスラム社会では代数学、幾何学、また天文学などの学問が発達した。いまでも「ALGEBRA(代数)」「ALGORISM(演算)」「ALCOHOL(アルコール、元は媚薬)」など、「AL」を定冠詞に持つアラビア語は、さまざまな単語の語源になっている。
西ゴート族が支配していた頃、メスキータはキリスト教の聖堂だった。その後、八世紀にアフリカ大陸からイスラム教徒たちがやってきて、その聖堂の上にイスラム寺院を建てたのだ。だから、メスキータのミフラーブ(祈りの壁)は、正確にはメッカの方角を向いていない。17度ほどずれているのだ。コルドバの町にコーランが鳴り響く時代は、それから700年ほど続いた。13世紀、町は再びキリスト教徒の支配に落ち、メスキータは教会へと再度変ぼうした。 半分がイスラム寺院、半分がキリスト教会という世界でも稀な景観が残っているのはそれが理由だ。
イスラムとキリスト・・・。いま世界で対立している二つの宗教が、この町ではひっそりと融合している。複雑な思いを抱きつつ、ぼくは外部へと続くメスキータの門をくぐった。イスラム建築では、門は「鍵穴」の形をしている。これには、現世でアッラー(神)の教えに忠実に従うことにより、来世では幸せの鍵を掴もうという意味が込められている。
メスキータに接してとうとうと流れるグアダルキビール川のほとりを歩く。川辺には、まるで桜の花と見間違うような淡いピンク色をした「ALMOND(アーモンド)」の花が咲き乱れている。春には、濃黄色の向日葵(ひまわり)が、このあたり一面を被うだろう。そのころ、この世界はいったいどこの岸辺へと漂着しているのだろうか・・・。
滝元 隆伸
〜其の四〜
車を停めた所から「釣れるポイント」までは、歩かなければならない。湖のほとりは、まるでたけくらべをしているみたいに、木々が「我こそは」と空に向かって伸びをしている。道路から湖は全く見えない。一体どのくらい歩くのだろう?師匠に聞いてみると約20分とのこと。普段、職場まで20〜30分かけて歩いている(つまり一日に約1時間はエクササイズをしている??)私にとっては、それぐらいは御茶の子さいさい・・・のはずだったが。
湖までは、整えられた道があるわけではない。なるべく平らなところを選びながら歩く。それでも、雪が少ない為、石がごろごろしていて歩きにくい。その上、手には釣竿、背中にはバックパック、そしていつになく着こんで丸々と膨らんだ自分自身。転がった方が早いかもしれない。いつ釣針が外れて私の方に飛んでくるかと気が気ではない。バックパックの中のホットチョコの入った水筒やスナックなどは、重石のようだ。何か耐久レースをしている気分である。こんなにたくさん持ってくるんじゃなかった・・・。全てをそこにうちやって座り込みたい!しかし、「御茶の子さいさい」と思った私のプライドがそれを許さない。どの方向に向かっているのか、どのくらい歩いたのかわからぬまま、ただひたすら必死に歩き続ける。
やっと湖の端にたどり着いたが、そこからポイントまではまだまだ遠く、目的地に着いた時にはしっとり汗をかいていた。「きっと明日は筋肉痛だろうなあ」と思いつつ、荷物を降ろす。「釣れるポイント」は、もうほとんど対岸に届く辺り。私は声を大にして言う。アイスフィッシングは、立派なスポーツである。
本当に本当に疲れてぐったりしていた私達だが、一息ついてほっと空を見上げると、日が射しはじめている。
「今日は、本当にちょうどいい天気だ。風がなくてそれほど寒くないし、空もはれてきて、すばらしい景色じゃないか。」
これぞカナディアンライフとばかりに、まわりを見渡しながら言う師匠の言葉につられて、ぐるりと360°見回す。すると、今までのただの疲れが、心地よい疲れに変わっていった。空にはぽっかりと雲が浮かび、少しだけ雪を被った山々が空をバックにくっきりと姿を表している。日本では『枕草子』の中で「山際」と「山の端」を使い分けて、春の朝の「山際」のほのぼのとした朝ぼらけの様子を美しいものとして挙げているが、これは「山際」も何も空は空、山は山でまるで切り絵のようにはっきりと稜線(山の端)を描いているのだ。「山際」がない。この単純な構図にただただぽかんとする私と友人。勿論、『枕草子』で述べられたあの日本の柔らかな景色も心の琴線にふれるものである。しかし、この景色は、今まで私達が学んできたいろんな自然に対する知識を全部頭の中から取り去って、「自然」という言葉だけ残していくみたいだ。自分達が、生まれてはじめて「山」や「空」という言葉を習った子供のような気がしてくる。(当然そんなはるか昔のことなど覚えていないが。)
私達が歩いてきた方向を見ると、足元から向こう岸に向かって私達の足跡(というか線)がうねうねしながら続いている。よろよろと重石を背負って歩いてきた丸い自分の姿が目に浮かび、なんだかおかしくなってきた。日本で、ほとんど息をつく暇もないほど忙しい日々を過ごしている友人は勿論だが、カナダに来てからのん気に過ごしている私自身も、今まで冬にこんなにゆっくりと外で風景を眺めたことがあったかな。毎日いくら歩いても、(寒さに負けて)立ち止まってまわりを見回したことなどなかったなあ。
湖の氷に穴をあけながら、「アイスフィッシングもそんなに悪くないかな」と思いはじめた。ガリゴリ、ガリゴリ・・・かき氷機みたいな懐かしい音がする。真白い湖面に黒々とした穴がぽっかり。こんなに暗くて寒いところに魚が住んでいるのかしら? 時々聞こえてくる氷にひびが入っていく音。「もしも私達の足元に前の人があけた穴があってそれにはまったら、この黒い湖にのみこまれて死んじゃうのかなあ」と妙な不安が浮かぶ。しかし、そんな不安を師匠に言うと、「これだけ氷が厚かったらそれはないよ。穴はほうっておくと寒さでまたすぐ凍るよ。」と一笑に付された。
泰子
静かな冬の映画紹介
〜アカデミー賞編〜
これを皆さんが読んでいる頃にはもしかしたら本年度のアカデミー賞が既に発表されているかもしれませんが、今年は一体どんな作品が評価されたのかな? と言う事で、今回はアカデミー賞ノミネート作品のご紹介をしたいと思います。
まずは筆頭候補と呼び声が高いのが、有名な舞台ミュージカルを映画化した『Chicago』。 Richard Gere、Renee Zellweger、Catherine Zeta-Jonesと豪華キャストが競演した本作は、各演技賞5本の他、作品、監督など計13部門と本年度最多のノミネート。シカゴという街を舞台に、マス・メディアや陪審員制度などへの皮肉や人間性の失楽、家庭の崩壊、銃の氾濫、人間の愚かな欲望への冷めた視線など、現代アメリカが抱える問題点を歌と踊りと笑いで高らかに表現しています。踊りは文句ナシに素晴らしい上に、映像も極上の出来。『The Sound of Music』や『Moulin Rouge!』等のミュージカル作品とは一味違った魅力ある一品に仕上っています。
ゴールデン・グローブ賞のドラマ部門で作品賞を獲得した『The Hours』はNicole Kidman、Julianne Moore、Meryl Streepと現代映画界最高クラスの女優を、『Billy Elliot(リトル・ダンサー)』でアカデミー賞にノミネートされたStephen Daldryが演出。1929、51、2001年とそれぞれ異なる時代に生きる3人の女性の心の悩みを繊細に紡ぎ、静かな感動を味わわせてくれます。ストーリーは非常にゆったりとしているので、退屈さを覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、3人の女性が徐々に一本の線で結ばれていく後半の展開は、非常によく考えられていて思わずノメりこんでしまいます。個人的にこの作品で見ていただきたいのは美術ですね。三つの異なる時代を描くという事は、それぞれ別々の衣装、メイキャップ、セット、小道具が必要になるんですが、この作品はこれらの美術コンセプトを見事に体現してくれました。ただ、この作品は3人の女性の繊細な心の動きが中心なので、おそらく男性と女性によって感想が大きく異なるんじゃないかなとは思います。
前作が作品のアカデミー賞にノミネートされ、世界各国でも特大のヒットを記録した『The Lord of the Rings』の第二弾『The Two Towers』は、続編とは言えストーリー的には独立した作品として十分楽しめる娯楽作。たくさんのキャラクターの登場に、しばし混乱する可能性はありますが、高度なテクニックを駆使した特殊効果と、前作以上にパワフルになったアクション・シーンの数々は、正にエンターテインメント! 「ちょっと主人公たちが強すぎるんじゃないの?」 というツッコミを入れたくはなるんですが、他のハリウッド映画と比べるとそこそこリーズナブルな展開に抑えている上に、人間ドラマも適度に盛り込んでいるので、まぁ許せる範囲内でしょうか。ファンタジーな世界の合間に挿入される雄大なニュージーランドの風景描写が、作品にリアリティをもたらしているのもポイントですね。ただし、この作品はノミネートされた事自体が驚きですし(アクション映画の続編がノミネートされたのが初めてなので)、監督のPeter Jacksonは監督賞にノミネートされていないので、視覚効果賞以外で受賞する可能性はかなり低いんじゃないかと思います。
彼の代わりに監督賞にノミネートされているのがスペインの鬼才、Pedro Almodovar監督。 前作の『All About My Mother』が世界各地の賞を独占し、アカデミー賞でも外国語映画賞を受賞した彼の新作『Talk to her』は、4人の男女の愛とコミュニケーションを独特の視点で描いているのが特徴です。これと言った目立った展開はないんですが、それぞれのエピソードとキャラクター設定が面白く、こだわりの映像も見所です。
問題なのは賛否両論渦巻いた『Gangs of New York』。
ニューヨークという、アメリカを象徴する街が作られて行く過程を通して、アメリカのダークな歴史と人間の醜さ、キリスト教徒の堕落を「陳腐な」演出で描いたこの作品は、ストーリー展開が退屈で、Leonardo DiCaprio、Daniel Day-Lewis、Cameron Diazという豪華キャストと、巨額の資金を投入した美術面以外に特に見所はないような気がします。アカデミー賞にノミネートされたのは、『Taxi Driver』や『Raging Bull』などマニア好みの傑作を輩出してきた巨匠、Martin Scorsese監督の過去の業績に対する「功労賞」的な意味合いが強く、この作品のプロデューサーで、ハリウッドでもトップ・クラスの権力者ワインシュタイン兄弟が、1億ドルという製作費を取り戻すために走りまわっているとも指摘されています。
個人的に、本年度のアカデミー賞に最も相応しいと思っているのが『The Pianist』。
ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺を辛くも逃れて生き残った実在のピアニスト、Wladyslaw Szpilmanの逃亡記は、ストーリー、映像、美術、映像、どれを取っても力強く、感動的な作品に仕上がっています。自身もホロコーストの生き残りであるポーランドの巨匠、Roman Polanski監督の集大成とも言えるこの作品は、昨年のカンヌ国際映画祭のグランプリ、本年度のイギリス・アカデミー賞の主要部門を受賞しましたが、アメリカのアカデミー賞を獲得するかは微妙。と言うのも、Polanski監督は1977年、アメリカで少女暴行の疑いで逮捕され、保釈中に撮影のために渡ったヨーロッパでそのまま逃亡犯となった過去があるからです。また、今後各地で戦争を繰り広げそうなアメリカでは、2001年9月11日以降、反戦的な言論や行動が圧力の対象になっているため、本作のようなテーマの作品はなかなか陽の目を見ない状況になっています。実際、決してマニア向けの内容ではないながら、アメリカでの上映館数は『Chicago』の5分の1の500館前後しかなく、多くの人が鑑賞できる状態にはなっていないようです。もし『The Pianist』がアカデミー賞を受賞するような事があれば、アメリカにもまだ救いがある・・・こんな見方も出来るかもしれませんネ。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/8782
Tomo Goda
カナダで読むバイブルストーリー 9
「おまえの落としたのは、金の斧かい、銀の斧かい、それとも・・・?」という正直者のきこりに仙人が尋ねる民話がありますが、そんな話の元になったのではないかと思われるような記事が聖書にあります。
「ある日、預言者学校の生徒たちが、エリシャのところへ来て言いました。『校長先生、ご覧のように寄宿舎が手狭になりました。ヨルダン川のそばには、材木がたくさんありますから、そこに新しい寄宿舎を建ててはいかがでしょう。』『よかろう。そうしなさい。』『どうか、先生もいっしょに行ってください。』『わかった。行こう。』こうして一行はヨルダン川に着き、木を切り倒しにかかりました。ところが運悪く、一人が斧の頭を川に落としてしまったのです。『先生、たいへんです。あの斧は借り物なんです!』『どこへ落とした。』彼がその場所を教えると、エリシャは一本の枝を切り、そこへ投げ込みました。すると、斧の頭が水面に浮かび上がったのです。『さあ、つかめ!』と言われて、彼は手を伸ばしてつかみ上げました。」
リビングバイブル 列王記U6:1−7
エリシャという人は、この他にもたくさんの奇跡を行いました。彼は、師であるエリヤが天に上げられる時、先生の二倍の預言の力を授けてくださいとお願いしてかなえられたのです。
Grace Japanese Christian Church
丹羽宏子
Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜To be honest with you = To tell you the truth (正直言って・・・)
To be honest with youは、相手に本音を伝えるときに使います。相手の気持ちを損なわず、正直に自分の気持ちを伝えるときに使うと良いでしょう。このフレーズは職場や恋人同士の会話で良く耳にします。これを機にカナダ人の友人に本音を伝えてみては?
<Situation 1> オフィスでの会話
Employee: How did you like my presentation?
Boss: To be honest with you, I think that you should work on it a little longer, you must be more critical.
Employee: Thank you for the advice.
<Situation 2> 友人の会話
Friend 1: So, what did you think about the movie?
Friend 2: To tell you the truth, I really didn't enjoy it.
Friend 1: Really, I thought it was great.
<Situation 3> カップルの会話
Boyfriend: What is the matter?
Girlfriend: To tell you the truth, I don't love you anymore.
BY Jannine Rossi (Banff Education Centre講師)