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2003年4月上旬号

カスケードマウンテン

 数年前のことだった。場所はバンフ・アベニューの終わりにある国立公園の管理事務所。初老のアメリカ人夫婦がそこからの景色を無言で楽しんだあと、僕に向き直り突然話し掛けてきた。
 「一生に一度はこの景色を見たかったの。これで、心残りは無いわ。」
 そう一言僕に話し掛けるとそれっきり遠い目をしたままその風景から目を離せないでいた。

 世界中からやってくる観光客達はここに来ると例外なく彼女のような反応を示す。町の終わりにあるこの公園事務所から見える風景は、カナディアンロッキーで最も絵葉書に使われる風景の一つだ。バンフをおしゃれな通りが貫き、その向こうには町を見下ろすように大きな山が控えている・・・。2002年4月22日のランチタイム前、この山を眺めていれば頂上から小さな点が三つ山の麓まで降りてくるのが見えたはずである。その点はあまりにも小さく、おそらく誰にも注目される事は無かったのではないだろうか。
 午前2時、僕らはハイウェイに車を止め、ヘッドランプの光を頼りにその山の麓に向かった。山の山頂からは青白い光が波打つように淡い光が出ていた。
 「久しぶりだな、バンフでオーロラが見えるなんて。」
 その光は僕らの足元を照らすには微弱すぎた。しかしながら、月明かりさえない暗闇にシャンデリアのような華やかさを誇示していた。
 山の麓に着くとそこからは急な登りだ。山頂から続く雪の通路に出ると僕らはスノーボードブーツにクランポン(アイゼン)をつけた。しばらくはゆるい登りだが、1時間も歩くと斜度は軽く40度を越えた。

 今回のメンバーはいつもの仲間、僕とアツシとカザ。3人合わせて勝手に「SHOOTERS3」と呼んでいる。今まであらゆる急斜面を攻めてきたが、これまでこんなに大きな山一つやっつけた事は無い。今回は僕らにとって大きなステップの一つである。

 夜中の3時に登り始めてから、3時間ほどで森林限界線を越えた。空はまだ濃紺だ。夜が明ける気配も無い。バンフの町を見下ろすとオレンジ色の光がまぶしい。ここまで登ってくるとキャンモアの光が遠くに見える。ボウ・バレーの夜は意外と華やかだった。
 6時を過ぎると少しずつ明るくなってくる。大気に光が帯びるのと反比例してヘッドランプの光が頼りなくなってくる。ヘッドランプの光が必要なくなる頃には、間違えて靴紐を踏みつければ命を落としてしまう真っ白な壁の中にいることに気が付いた。

 所々、60度近い斜面を登る。スイッチ・バックで登る事は不可能なので、つま先の爪だけを使って登らなければならない。しばらくの好天で溶けた表面の雪は、氷点下で薄い氷に変わっていた。

 大きな岩が行く手を遮る。胸元のポケットから写真を取り出し、ルートを確認する。まるでアミダクジだ。全てがバンフの町から見るより大きく、予定していたルートを見つけるのに苦労した。遠くから小さく見える岩の壁も、近付けばバンフ・アベニューのホテルの2倍以上もある。とにかく全てが予測していたよりも大きかった。

 町から見ると細い雪の通路に見えたところが、実は半分氷の滝になっていた。そこを滑り降りる隙間はほんの5メートルほどしかない。しかも、上からは見えない。帰りに見失わないように周りの地形を頭に叩き込んだ。

 ボウ・バレーの東から暗い雲が近付いてきた。あの雲がやってくれば、ここは深い霧に包まれるに違いない。僕らは頂上に向けて歩調を少し速めた。しかし、6時間以上も登りつづけた足は、なかなか前に出てくれなかった。

 雲が現れて、1時間もすると山の山頂付近は真っ白な霧に覆われた。真っ白でバンフの町は全く見えない。しかし、その時には頂上直下だった霧の中を一気に頂上に向かって登る。

 頂上はものすごい風が吹き荒れていた。何も見えない。時計を見ると10時を過ぎていた。僕らは強い風の吹き荒れる山頂から避難し、風のよけられる場所を探した。頂上直下の崖の下に何とか風をよけられる場所を探し、天候が回復するのを待つ。無線でバンフの町で僕らを見守っているはずの仲間に連絡する。
 「下から見て、天気が回復する予兆はあるのか?」
 「東から、雲の切れ間が来ている。もう少し待ったほうがいい。」

 3キロしかとどかなはずの無線は、すこぶる調子がいい。まるで隣で話しているようだ。彼らの指示を待ち、大きな雲が過ぎるまで待つ。ものすごく寒い。下と連絡をとると、町はものすごく暖かく、ビールを用意して待っているという。しかし、ここに居るとビールよりはむしろホットチョコレートの方がありがたいと思った。
 「もうすぐ晴れ間が来る。滑る準備を始めた方がいい。この晴れ間は長くは続かないと思います。」
 地上から連絡を受けた僕らはいそいそと準備を始めた。

 雲が切れる。太陽が頬を刺す。両足は緊張で疲れなんかすっ飛んでいる。眼下には50度を越える斜面がどこまでも続いていた。しかも、硬い。エッジが抜けない事だけを祈り、その斜面に突っ込んだ・・・。
 その1時間半後、僕らは冷たいビールを飲んでいた。とにかく無事だったってこと。そして、まだまだ僕ら「SHOOTERS」にはやりたい事がいっぱいあるのだけは確かだ。

永作まさかず

(2002年5月上旬号に掲載されたものを再掲載しました。)



アイスフィッシングへの道

〜其の〜 

 私達があけた穴は、直径約10cmほど。友人は、すっかりその気になって、穴をあけているところを写真に撮ってくれと言う。調子にのって何個も穴をあける。そんなにあけても釣竿は一人一本しかないのだが・・・。

 その穴に例の餌をつけた釣り糸を垂らす。あの「目刺し」は半分に切って、とれないように針にしっかり巻きつけるようにしてひっかけてある。湖の底まで届いたら、少しだけ巻き上げる。これが初心者の私には難しい。一体どのくらい巻き上げたらいいのか?師匠は、「ちょっと巻けばいい」と言うのだが、私達には「ちょっと」がどのくらいかわからない。「ちょっと」とか「たくさん」とかじゃなくて、「10回」とか「20回」とか巻く回数をはっきりと教えてほしい。こんなことを思う私は、普段釣りをする人から見たら、ものすごく間抜けなのだろうか?とりあえず、いろいろ試してみて、自分の中で勝手に20〜26回(自分のラッキーナンバーだからという単純な理由です)と決めて巻くことにした。

 そして待つこと1時間・・・ 何も起こらない。師匠は何回か魚が食いつく感触を得たらしい。
“I got a bite.”と言っているのが聞こえてきた。そのうちに不安になってくる。もしかしたら私は“bite”を見逃しているのではないか?気付かぬうちに餌だけつついて逃げられているのでは・・・。友人、釣り子ちゃんにたずねてみると、「これがわかるんよねえ、魚がかかると。こうなんか感じるんよ。説明できんけど」とのこと。本当かなあ。

 師匠の方を見てみると、釣竿を雪の中に立て、持ってきた飲み物を飲みつつ、景色を楽しんでいる。おお、今こそスナックタイムなんだ、きっと!! やっと私の苦労が報われる時が来た。“bite”のことなどすっかり忘れ、竿をほったらかしてスナックを楽しむ。冷えて疲れた身体には、チョコレートやコーヒーはごちそう。雪山に登る時にチョコレートを持っていくという話しを聞いたことがあるが、(本当かどうかわからないですが)それがわかるような気がした。師匠は、“This is Canadian life!!”と力説しているが、私はスナックに夢中になっていて、友人は釣竿が気になっていて、“O.K.! O.K.!”と気のない返事。全く失礼な二人である。

 そうしているうちに2、3回“bite”があったが、結局釣れず。どうも来るのが遅すぎたらしく、魚もお昼寝の時間というところか・・・。(やはり早朝が良いらしいです。) 私達より早く来て釣っていたおじさんも、私達が来たばかりの時に一匹釣ったけれど、その後は何もなく、あきらめて帰ろうとしている。帰りがけに私達に声をかけていく。

 「調子はどうだい?」
 初心者のくせに、そう言われると自分も一人前の釣り仲間になった気がしてくる。
 「全然釣れないの・・・。」
 「どこから来たんだい?カナダには長いのかい?」
 「日本から来て、もうそろそろ3年ぐらいなの。今、日本から友達が訪ねて来ていて、アイスフィッシングがしたいって言うから来たの。」

 カルガリーから来たと言うそのおじさんは、たった一匹の今日の彼の収穫を差し出して、「これ、いる?」と言う。どうも私のことをかわいそうに思ったらしい。(もしかしたら子供だと思われたのかも。) 別にねだったつもりじゃなかったんだけどなあ。これは受けとってもいいのか、いけないのか?「釣り人のルール」とかあるのかしら?他の人が釣ったものをもらうのは邪道とか・・・。でも、欲しいなあ。
 返事をする前に師匠の方を見る。師匠は、そのおじさんに本当にいいのかどうか聞いていたが、おじさんが「家に帰ればいっぱいある」と言うので、(本当か?) 有難く頂戴することになった。やった!一匹Get!!

ちょっと離れたところにいた友人は、後から事の顛末を知り、あきれ顔。
 「なんか知らん人と親しげに話しょうると思ったら・・・ 魚釣らずにおじさん釣りようたんじゃね。魚釣って!さ、か、な!! あっ、それにこれは何!?ドラえもん?不真面目な。食べて、飲んで、遊んで・・・。やる気あるん?」

 いやあ、あるようなないような・・・。ちょっと暇だったからね、氷の上に雪でドラえもん作ってみたのよ。景色はいいし、なんだか花見みたいな気分になっていた私。でも、とりあえず一匹持って帰れるんだからいいじゃない。

 おじさんがくれた魚は、「レインボウトラウト」(ニジマス)で、バターで焼いておいしくいただいた。(久しぶりに魚をさばいて、なんだかやっぱり自分は日本人なんだなあと思ってしまいました。)

 初めての「アイスフィッシング」から数ヶ月。その後数回チャレンジした。「アイスフィッシングもなかなか悪くない」という気持ちと、「一匹も釣れなくて悔しい」という思いからである。

 2回目、現地に着いた所で、スノーストームに遭遇。ただの3時間ドライブで終わる。(キャンモアのダウンタウンに戻るまでに死んじゃうかと思いました。)
 3回目、天気は上々。師匠が数匹釣る。私はすでにかかったものを巻き上げただけ。ここで魚は自分よりも賢いということを知る。私の竿から餌をとっていくだけで、全くかからない。「鈍い奴だ」と思われているにちがいない。意地でも釣ってやるという決意を固める。

 4回目、とうとう自分の竿で一匹釣る。快挙!! しかし、魚の口にしっかり針を引っ掛けるのは師匠にやってもらう。まだまだ一人前には程遠い。

 「アイスフィッシング」は、うまく餌を動かして(生きているように見せかける)魚をおびき寄せる「頭脳」(魚との駆け引きです)と素早く魚を針にかける「技」、そして寒さに打ち勝つ「生命力」(大げさかな??)の必要なかなり高度な遊びであるということがわかった。そのあい間に少々、スナックをいただいたり、雄大な冬の景色を楽しんだりというものあるけど。 
 ちなみに、この素晴らしいスポーツは、1回に1kgの私の脂肪を燃やしてくれた。(なぜならポイントまでかなり歩くからです。私は『北の国から』のあのさだまさしの音楽を思い浮かべながら歩きました。)ダイエットにも最適!!

 なんとか“Hook”するのを体得したいものである。それができたら、本物の釣り仲間になれそうな気がする。どうやら「アイスフィッシング」にはまったらしい・・・。夏にもフィッシングに出かけてみようかな。マンネリになりつつあった私のバンフ生活も、ここにきてまた新しく動き始めた。師匠、釣り子ちゃん、どうもありがとう!!

泰子


カナダで読むバイブルストーリー 10

 キリスト教会には二つの大きな祭りがあります。クリスマスとイースター(復活祭)です。クリスマスは、もう皆さんご存知、イエスキリストの誕生を祝う日。イースターはといえば、イエスキリストの復活(よみがえり)を祝う日なのです。イースターは、春分後最初の満月の直後の日曜日、今年は4月20日です。

 イースターの絵によくウサギが卵を運んでいるのを見かけませんか。卵は、死んだような硬い殻からひよこが生まれるので復活を表すといわれます。ウサギは春になると出てくるのですが、卵は産みませんね。これは普通ありえない出来事だから、ウサギと卵の取り合わせになるんです。

 世の中に聖人君子と呼ばれる人が生まれ、そして死にました。偉大な業績を残しておられます。イエスキリストもまた、十字架の上で死んで墓に葬られたのですが、三日目の日曜日の朝、よみがえられたのです。多くの人に、その姿を現された後、天に昇られました。やがてもう一度地上に来られるというのが、クリスチャンの信仰です。ですから、イースターは、「私達の神は今も生きている」という大切な証の日なのです。死んで終わりの神様だったらどこに力があるのでしょう。生きている神様だからこそ、私達の祈りは聞かれるのです。
「主イエスキリストの父なる神こそ、すべての賞賛を受けるにふさわしい方です。私たちは、神様の計り知れないあわれみによって、新しく生まれ変わる特権を与えられ、今では神様の家族の一員として、迎えられたのです。キリスト様が死人の中から復活してくださったおかげで、私たちは永遠の命の希望にあふれています。」
   リビングバイブル Tペテロの手紙1:3

Grace Japanese Christian Church
丹羽宏子


Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜

Get together (今度会いましょう!)

Get togetherは相手をパーティーに招待したり、次回に会う約束をするときに使います。このフレーズはカジュアルな場面で使いますので、友人同士で使うと良いでしょう。それでは、例文を参考にしてください。

Situation 1 道端での会話

Friend 1: Hello Sam, I haven’t seen you in a long time.
Friend 2: Yes I know, how long has it been?
Friend 1: I guess it has been about three years since we have seen each other.
Friend 2: Well, we should get together soon and have coffee.
Friend 1: I am looking forward to it.

Situation 2 道端での会話

Friend 1: I have been so busy lately I haven’t had a chance to see my friends.
Friend 2: Maybe you should have a get together.
Friend 1: That is a great idea that will give me the chance to see everyone at the same time. Thanks!
Friend 2: No problem, I am excited to come to your party.


BY Jannine Rossi (Banff Education Centre講師)


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