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2003年10月下旬号

パイロット・マウンテン

  10月の初め、黄色く染まったポプラの葉もちらちらと地上に落ち始める。そして秋、冬の気配が濃厚になってきた。「ああ、今年の夏も終わり。結局やり残したことがたくさんあったなー」と思っていると、やってきたのがインディアンサマー。日本で言うところの秋晴れである。空には雲一つない濃紺の青が広がり、ロッキーの季節の中でも最も美しい季節と言っても差し支えない。

  この時期、結構やることがない。水遊びやキャンプには寒過ぎるし、僕にとって、釣りをするには忍耐力が足りないらしい。バンフから見える山はあらかた登り尽くしたし・・・ と考えていると、登っていない山がひとつだけ僕の頭の中に浮かんだ。

  その名前はパイロット・マウンテン。バンフから西に20分ほど車を走らせると、左側に頂上部分が崖で囲まれたカッコイイ山がある。標高は2935m、結構高い。

  朝9時、レッドアース・クリーク・トレイル・ヘッドに立つ。メンバーは男3人。
  「おい、車が1台もないよ。人気ないんだね。誰もいないもの、ココ。」
  「人気ないんだろうねー。『わたしぃー、きのうパイロット・マウンテン登ってきたんですよぉー』なんて言ってる人見たことないもんね、ランドルなんかはよく聞くけどね。」

  ガイドブックを広げ、ルートを確認する。ロッキーでは有名な「スクランブル」という本だ。
  「えっと、本にはこうある。私達が行ったときには・・・。なんか頼りなくないか?」
  「まあ良いから先を読め。」
  「1時間ぐらい歩くと、雪崩の跡が出てくる。その雪崩の跡を登ると大きなすり鉢状の地形に出るので、そこから、自分でルートを見つける。崖の上に出るにはいくつかのルートがある・・・。で、登山時間は往復6〜12時間。なんじゃこりゃ。しかもルートの写真、上半分しか写ってないよ。」
  ガイドブックとは思えないほど情報があやふやである。ゴチャゴチャ言っていても始まらないので、とりあえず歩き始めた。しばらく平坦な道を行く。道幅も車が一台通れそうなくらい広い。

  1時間ほど歩くと雪崩の跡があった。ガイドブック通り、小さな橋もかかっている。ここからが登山の始まりだ。登山道の入り口を探す。しかし、それらしきものは全くない。
  「いくら人気がないって言っても踏み跡ぐらいはあるだろう。よく探せ。」
  10分ほど探したが、道は全く見つからない。
  「それでは、とにかく登っちまおう。登れば何か見えるよ。」

  僕らは深い森の中に分け入っていった。しばらくは小さな沢沿いに登る。沢の左側に獣道見つかった。獣道でも沢の底や森の中を歩くよりはずいぶん快適だ。所詮獣道なので、途中、道がなくなると木の枝の中を泳ぐようにして歩かなければならない。時折、枝が背中に入り込み不快極まりない。

  突然、森林限界線に出た。森との格闘ですでにお昼過ぎ、4時間が経過していた。目の前に大きな崖が立ちはだかり、そこより先はまっすぐ上には進めない。周りを見回すと右の方に何とか崖の上に上がれそうな場所があった。

  崖の上に上がると、崖の下よりも日当たりがよいのだろう。再び森の中に入った。

  「何かおかしいよ、絶対もっと楽なトレイルかなにかあるはずだ。有名なガイドブックに載ってるのに道がないわけがない!」

  しかし、実際、道らしきものは全くない。森との格闘がまた始まった。
  「ねえ、こういうの、道に迷ってるって言うんだよね。」
  ちなみに、この時点で本当に道が正しいのかがまだ分かっていない。せっかく4時間も登って、引き返すことになるかも知れない。

  何とか森林限界線を越えた。そこはガイドブックにある写真の場所だった。今までの不安が一気に解消された。しかし、その喜び以上に、やっと見えた頂上の遠さにうんざりしてしまった。しかし、残りはガイドの写真に太い線で書かれたルートをたどるだけだ。がんばろう。

  頂上に登るには大きな崖地帯を迂回しなければならない。よく見ればガイドブックより楽なルートがあった。本はあくまで参考にとどめておいたほうがいいようだ。

  崖を迂回し、最後の登りへ取り付く。この山の頂上は高い崖で囲まれている。ハイウェイから見るとロープなしでは登れないように見えるが、近くに行くと何とか階段状の場所が見つかる。初めはチムニーと呼ばれる幅1mほどの岩の割れ目を登る。高さは15mぐらい。割れ目を登りきったら、左へ幅10cmほどの岩棚につま先をかけて横移動。かなりスリリングだ。

  小さなケルンがあった。道が間違っていないことを発見し、一安心。ただし、ここからは緊張の連続であった。何せ足を滑らせれば、谷のそこまで一直線。一歩間違えれば、登ったはいいが降りられなくなった間抜けな猫のようになってしまう。時折現れるケルンを見逃さないように崖を登っていく。
  崖を登り始めて約1時間。前を行くKから歓声が上がった。
  「いいぇー!!! 頂上ゲット。」
  続いて僕も崖を上がりきると、いきなり目の前が平らになった。平らな尾根をしばらく歩くと小さなケルンがあり、それが頂上だった。時計を見ると、出発から6時間経っていた。

  ケルンには小さなプラスチックの筒が刺してあった。カナダ山岳協会の記録ノート入れだ。大きな山の山頂には大抵こいつが置いてある。記帳は、5年前の98年から始まっている。どの山に登っても、大量に見つけることの出来る日本人の名前を探すと、たった一人だけだった。本当にこの山は人気がないらしい。ノートをめくると「もう2度と来ない!」なんてのが、いくつかあった。気持ちは分かる。僕も一度でいい。

  帰りも結局道は見つからなかった。暗い森の中、草木を掻き分けながら下った。

  誰か正規のルートを発見してください。それとも僕らの道は正しかったのだろうか? 僕らのたどったルートで登ることは出来る。但し、もう雪があるので来年の7月以降をお勧めする。

  そして個人的な感動として、テンプル、ランドルなど、数々の山をニューバランスのスニーカーで制覇したM氏をあげたい。今回の旅でついに靴に穴が空きましたが、スニーカーで十分楽しめることを証明していただきありがとう。


永作まさかず

 

*注意*
  著者の方は登山経験が豊富ですが、そうでない方は、ガイドブックや地図にあるトレイルからはずれることは危険ですので、各自適切な判断をし、登山を楽しんでください。

 


旅へのいざない
〜カナダは魅力いっぱい・3〜

「エドモントン」〜近場で夢の楽園〜

  バンフからカルガリーを経由し、車で約4時間半、アルバータ州の州都であるエドモントンに到着します。アルバータ州の商業中心地がカルガリーなら、エドモントンは政治と文化の都市。優雅に流れる北サスカチュワン川と街全体にとても緑の多いことが特徴です。
  エドモントンの名物はなんといっても「ウエストエドモントンモール」です。世界最大規模をほこる屋内モールには、おびただしい数の店のほか、デパート、ホテル、ウォーターワールド、遊園地、スケートリンクなどがあります。ウインドウショッピングだけでもたっぷり一日はかかるでしょう。ウォーターワールドにはウォータースライダーがいくつもあり、見るからに恐ろしい急斜スライダーが、ガラス越しからいつも見物人の目を惹いています。
  一方、都市の南に位置するアルバータ大学付近は学生の町。ホワイトアベニューと呼ばれる大きな広葉樹の並木道沿いには、おしゃれなブティックやレストラン、カフェ、本屋などが立ち並び、落ち着きのある文化的な雰囲気の中、学問や芸術、音楽を語り合う若者たちで賑わっています。

「バンクーバー」〜潮風漂い夕日が輝く大都会〜

  カナダの西の玄関として有名なバンクーバーは、太平洋をはさんでアジアへの流通窓口でもあります。気候が温暖で海の幸が豊富なことから、アジア人にとって大変住みやすく、移住の土地としても人気があります。カナダで3番目に大きい都市とは思えないほど緑が多く、海からの風がさわやかです。
  観光のお勧めはスタンレー公園。サイクリングしたり、公園内の水族館の見学をし、シャチのショー。珍しい純白のくじら「ベルーガ」も大人気です。夕方、イングリッシュ湾沿いを歩けば、オレンジ色に輝く夕日が海に落ちていくのが見えるでしょう。
  グランビルアイランドに足をのばしてマーケットで買い物もお勧め。新鮮な食材がなんでも手に入ります。ロブスターや生牡蠣などの海産物が有名。地元の人たちいわく、夜は「ブリッジズ」でロマンティックディナーがあこがれとか。

遠藤千晶


 

Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜



Try out(試みる・レギュラーを目指し競う)

  ここで紹介するTry out とは、「車を試乗する」や「新しい商品を試す」を意味します。もう一つの意味として、Situation2のように、オーディションやスポーツチームに挑戦する際にも使えます。(テストする)

●Situation 1 (試乗する)

Friend 1: My lease is up on my SUV soon.
Friend 2: Oh, SUV's are really bad for the environment.
Friend 1: Yeah, that's why I thought I might try out one of those Toyota hybrids.
Friend 2: Wow, that's a great idea. 

●Situation 2 (試す)

Food Rep.: We're introducing a new fresh rice noodle.
Chef: Really? I've only used dry noodles before.
Food Rep.: I suggest that you try out the 8" rice paper.
Chef: O.K.. We'll try out 2 packages.
(Food Rep.=食材卸売業者) 

●Situation 3(オーディション)

Suzie: Look! Here's the announcement for the Pine Tree Players' new play.
Billie: Oh! They are looking for 2 females, 18 and 22, and one male who is 25.
Suzie: We should try out! I could try out for one of the female parts.
Billie: Maybe I'll try out for the male part. Do I have to sing?
Suzie: I hope not.

 

BY Annette Aarts (Banff Education Centre講師)

 


2003年10月16日更新

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