Columns

 

 

2003年12月上旬号

Best Days of My Life

 

 97年8月のこと。日本からサンフランシスコに降り立ち、電車、タクシー、バスを乗り継ぎ、つたない英語を駆使しながらやっとカルガリーのグレイハウンドバスのりばに到着した。片手でスーツケースをころがし、肩からスポーツバッグをぶら下げ、最終目的地のバンフ行きバスを探した。

 心身ともに疲れていた。サンフランシスコで大道芸人に訳もわからず舞台に上げられ笑い者にされ、国境を越えるときは、すごく太った黒人のオフィシャルに何一つわからなかったお説教くらった。不安な時は家族の声を聞こうと国際電話をかけたが、オペレーターに「マニー! マニー!」と怒鳴られ、電話を切って逃げてしまった。

 もう、誰にも邪魔されず一人になって休みたい。そんな事を考えながらバスのりばでバンフ行きのバスを探した。日本を出て2週間は経っていたというのに、今だにどれがサインで何が広告なのかわからない状態が悔しかった。予定では1週間でペラペラのはずだったのに。我に返って見つけたそれらしいサインボードに、“BANFF CANMORE” とあった。

 さて困った、一難去ってまた一難である。これは一体どうゆう意味だろう。 「BANFF 行き」というのはわかるが、その下の“CANMORE”の意味がわからん。隣のサイン“EXPRESS”の意味はわかったが“CANMORE”はわからん。 私の記憶が正しければ、“CAN” は「デキル」で“MORE ”が「モット」、少し意訳して「バンフがもっとできる」?!

 私はサインボードの前で5分間悩んだ後、他人の目を盗み、隅っこでスーツケースを開き辞書を取り出した。そして、“CAN MORE”という熟語も探したがない。さらに覚悟を決めた私は、ガイドブックのワンポイントイングリッシュレッスンを片手に、バスドライバーらしき人に思い切って聞いてみた。が、ものすごい早口で言われ何もわからず、思わず笑顔で「OK、さんきゅー」と言って終わってしまった。

 どうしよう、もうすぐ出発の様子。思いきって乗ってしまえばなんとかなるだろうと思った。が、でも、もし・・・ もし「Banff がもっとできる」は「Banff をもっと通りすぎる」という意味だったらどうしよう・・・。そんな不安を胸にバスに乗り込んだ。 

 あれから6年、今でも毎日英語で苦労をさせられるが、当時のようなことはなくなった(気がする)。たまに思い出すと、あの時の大道芸人や、バスドライバーを探し出して、「俺があん時言いたかったのは!」と言ってやりたい気もする。しかし同時に、 あの苦い経験こそが今日の自分にプラスになっており、その貴重なレッスンをカナダ式 「愛のムチ」で教えてくれた彼等に今さらながら感謝したい。

Alex

 


静かな冬の読書のすすめ 
〜インフォルーム独断のお勧め本〜

『風立ちぬ・美しい村』 堀 辰雄著
  堀 辰雄の代表作。風のように去っていく時の流れを、見事に文字で表現した洗練された作品。

『キッチン』 吉本ばなな著
  87年、この作品で新人文学賞を受賞しました。新しい感性と繊細な文体が特徴、英訳され日本国外でも広く読まれています。

『はつ恋』 ツルゲーネフ著
  モスクワ生まれの著者は「哲人」といわれる作家。人生観豊かで人間をこよなく愛する著者の憂愁的作品の代表作です。

『12月の熱い涙』 レイモンド・ジャイルズ著
  映画にもなった感動の名作。英語原題は“A Warm December”。凍てつく冬、12月でも胸が熱くなるような、暖かみのある物語。

〜この冬お勧めの一冊〜

『スキー美に魅せられて  カナディアンロッキーにくらす』 岡田良子著
    地元バンフ在住スキーヤー、岡田良子さんの自伝です。20歳の時ゲレンデで見たスキーヤーの美しいフォームに感動し、「美を表現できるスポーツ」としてスキーを追求する決心をした著者。その後、日本、オーストラリア、ヨーロッパ、カナダと移動しながら練習と経験を積み、ついに基礎スキー界のトップに登りつめるまでの努力を描きます。バンフ・レイクルイーズ地区についても色々ふれられており、ご本人からバンフタイムズ図書室に寄贈していただきました。

 


 

Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


Give a rain check / Get a rain check
(〜をまたにする、〜を延期する、また誘う)

  食事や映画に誘われた際によく耳にしますが、誘いを断る際に使うフレーズです。言葉の由来は、アメリカのプロ野球が雨で中止になり、ファンが球場にrain check(雨天順延券)を求めたことにあります。
他には、例文3のよう、割引商品が売り切れの場合、rain check(次回有効券)を店から発行してもらう時に使います。機会があったらSAFEWAYかKELLER'sで試してみては?

●Situation 1 (またにしてくれる?)

Susie: Would you like to come for dinner tonight?
Billy: I'm sorry, I can't. Could I get a rain check?
Susie: Sure, Billy. Maybe next week sometime.

●Situation 2(じゃあ、明日はどう?)

Jee Hee: Mayumi, would you like to go to the movies this afternoon?
Mayumi : I wish I could, but I have to study English this afternoon.
Jee Hee: O.K. then, could you give me a rain check for tomorrow?
Mayumi : Yes, that would be better. See you tomorrow.

●Situation 3(次回有効券をください)

Customer: I can't find the 2 for 1 chicken.
Cashier: I'll check with the meat department.
(Cashier phones the meat department.)
Cashier: They said that we are all sold out.
Customer: Could I get a rain check, please?
Cashier: Of course. Here you are. It's valid for one month.

 

BY Annette Aarts (Banff Education Centre講師)

 


料理の知恵 
〜パスタをゆでる時にひと工夫〜


  これから寒い寒い冬がやってきます。でも、カナダの家はセントラルヒーティングでとても暖か。日本の冬に朝、部屋が暖まるまで布団から出られなかったことを懐かしく思い出します。カナダの室内は暖かいのですが、やっぱり気になるのは光熱費。私の家は光熱費が家賃に含まれていないので、冬の間はうなぎ上り! なんとかして光熱費を節約したいもの。光熱費を節約するためのちょっとしたアイデアをお教えしましょう。
  パスタを茹でるには大体、12分ぐらいかかりますね。皆さんは12分間鍋に火をかけていませんでしょうか? 実は途中で火を消しても、立派にパスタは茹で上がります。
  お鍋のお湯が沸騰したら、パスタを放り込みよくかき混ぜます。ここまでは普通ですね。その後がミソです。3分間パスタを茹でたら火を止め、鍋に蓋をして、残りの茹で時間9分間をそのまま待つのです。するとアラ不思議、しっかりパスタが茹であがっているではありませんか。しかも、12分間火にかけたものと全くおいしさは変わりません。9分間分電気代節約。だまされたと思って試してみてください。


シミケン


『料理の知恵』は、「もっと生活に密着した記事を」というアンケートの声に答えてはじまったミニコラムです。料理に関するちょっとした知恵、「これは便利!」というアイデアを読者の方から募集しています。今回のように文章(約500字)を書いていただいても、アイデアだけをお寄せいただいてもどちらでも結構です。ご応募はメールでお寄せください。 皆さんのご応募をお待ちしております。(banfftimes@telus.net)

 


 静かな冬の映画紹介 
〜見逃せない話題作!〜

 

  封切前からオスカー候補と騒がれているトム・クルーズ主演の話題作、『ラスト・サムライ』の劇場公開が12月5日(金)から始まります。

  この映画は、ブラッド・ピットの出世作『レジェンド・オブ・フォール』のエドワード・ズウィック監督が手掛けた一大傑作。監督は、長い間この手の映画制作を夢みており、10代の頃から構想を練っていたというほどの力の入れようです。

  また、ズウィック監督は、17歳の時に初めて観た黒澤明監督の『七人の侍』に大変感動し、それから数え切れないほど繰り返しその映画を観たというほどのサムライファン。この映画のテーマは、武士道精神、忠誠心、義務感、英雄のあり方などで、ただ単に「サムライ」を外国人が思うところの剣術の達人としてだけではなく、精神面でも磨きぬかれ、かつ洗練されたイメージで描きたかったとも語っています。

  大スター、トム・クルーズと今回のハリウッド映画に共演した日本人俳優は、渡辺謙、真田広之、それと10代の頃から雑誌『ノンノ』のモデルとして活躍している小雪、ほかにも数人、本物の日本人俳優たちが活躍しているのが見どころです。

  撮影は米国、日本のほかニュージーランド北島のタラナキ地方で行われ、富士山にそっくりな山がでてくるのも注目の価値ありです。制作中は、ニュージーランドでたくさんのワーキングホリデーメーカーが日本人エキストラとして採用されたのも話題になりました。見せ場のひとつでもある大戦闘シーンで、ワーホリさん達が大活躍です。

  バンフの映画館でも12月5日より上映が予定されています。平日は6:45pmと9:45pmの2回、週末はそれに12:45pmと3:45pmの追加上映があります。(上映時間は変更になる場合がありますので、事前に確認したほうがよいでしょう。  Lux Cinema Centre 電話 762-8595 )

必見の関連映画:
  黒澤明監督の世界的傑作『七人の侍』(The Seven Samurai)とその西部劇版リメイク『荒野の七人』(The Magnificent Seven)をぜひ。

Chiaki


 

旅へのいざない 
〜My Way〜


  22歳の夏、ぼくはオーストラリアの名もない町で途方にくれていた。北へ向かうバスに乗り遅れたのだ。それは3日に1本しかこないバスだった。

  40℃をはるかに上回る熱気に包まれ、呆然とバス停でたたずんでいると、たまたま通りかかったおばあさんが近付いてきた。
  "Are you lost?"(道に迷ったの?)
  ぼくが事情を話すと、先住民族の血をひいているとひと目でわかる、彫の深い顔をしたおばあさんは言った。

  "When you are lost, ask your heart which way to go. It will always show you the right way."
  (もし道に迷ったのなら、どっちへいったらいいのか、自分の心に聞いてごらんなさい。いつでも正しい方向を示してくれるから)

  それから、次のバスがくるまでの3日間、ぼくはそのおばあさんの家に世話になることになった。エアコンもなく、気が遠くなるほど暑い日々だったが、不思議と気持ちの休まる時間を過ごした。

  あの夏の日、もし予定のバスに乗っていたら、いまのぼくは「人生の道」に迷っていたかもしれない。

滝元隆伸


 

カナダで読むバイブルストーリー 20
〜夫婦の四季を楽しむ〜

 

  ロッキーの山々の黄葉を、今年楽しまれた方々も多くいらっしゃることでしょう。この土地が好きな方々は、移り行くそれぞれの季節をどのように楽しむか、とても長けておられることと思います。それは、春夏秋の季節だけでなく、あの寒くて長い冬さえも、うまく順応しておられるからです。

  ところで皆さんは、夫婦生活のこのような四季をうまく楽しんでおられますか。女性には4週間ほどのサイクルで月のものがあり、その時期はあまり機嫌が良くないことを学校で学びました。知識としては分かるのですが、そのために夫としてはどのような対応をしたら良いのかという知恵が必要になります。

  私は家内と結婚をして23年になります。私が20代の頃は、草野球や社交ダンス、飲み会や仕事の残業などで、イライラしている家内を避けるようにしていましたが、やがて起こる爆発は避けられず解決にもなりませんでした。30代半ばの頃は、家内の意見に対して私の考えがいかに正しいかを徹底的に論証するようにしましたが、周囲からはどうみても夫婦喧嘩にしか見えなかったでしょうし、私もかなり感情が入り怒ることもしばしばでした。

  40代の今は、彼女のサイクルを把握し、家内の主張に対して私の正しさをぶつけるのではなく、彼女の意見を受け止めるように心がけています。人は生きている以上、何らかのストレスがあります。そして奥さんは何らかの事をご主人に相談、依頼、訴えなどをされます。日頃ご主人の態度に寛容な奥さんでも、この時期は中途半端で終わらせていけないという決意を起こさせるようです。

  ですから私は自分に言い聞かせて、彼女の意見を聞き誠意を示すように心がけました。1ヶ月の内、10日間から2週間がこれにあたり、最初は長く感じられ、幾度も売られた喧嘩を買ってしました。しかし何年も続けるうちに気づいたのは、彼女は不満をぶつけたいのではなく、そんな彼女を受け止めてほしいということです。今も私はその途上のため、時々カチッと来る事がありますが、家内は以前よりも協力的に私についてきて来てくれます。

  ロッキーのオールシーズンを楽しむように、夫婦生活もいつもエンジョイしていたいですね。

Grace Japanese Church 牧師
丹羽博志


2003年12月4日更新

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