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フェアバンクスを発った飛行機は、1時間半ほどで北極海沿岸の町バロー(Barrow)に到着した。北緯71度。北極圏の340マイル北に位置するため、5月から8月上旬は白夜、11月中旬から1月いっぱいは闇に閉ざされる。南から通じる道はなく、飛行機が唯一の頼り。(とはいっても、冬なら犬ぞりがある)北極圏内としては世界最大の町らしいが、それでも人口は4,500人ほど。要するに陸の孤島である。
北極海が見たいという単純な理由で訪れた私たちの前に建つ2つの大きな倉庫。それが空港ビルだと気づくのにそう時間はかからなかった。歩いてビルに入り荷物を取り、現地ガイドに防寒着を渡される。9月上旬で4℃。長いこと北部を旅していたため、自分には不要であったが、ツアー客の目印らしいので持って歩くようにと言われた。滑走路以外未舗装の町内を走り始めたバスを運転するのは、バロー生まれバロー育ちのドライバー兼ガイド。彼の案内は、「ここがこの町一番の金持ちの家です」、「僕が通った学校です」、「北極圏唯一の木が生えた(森林限界を超えているため木の模型)公園です」といったものであった。
海岸には鯨の骨でできたアーチがあった。そして、住宅街では捕獲された野生動物の生々しい姿が垣間見られる。白熊の姿毛皮が軒先に干してあったり、カリブーの胴体が玄関先に積み上げられていたり、鯨の頭蓋骨が広場においてあったり。きっと、昔から変わらない風景なのだろう。どんなに西洋文化が浸透しようとも守っている、守らないと生き延びていけない暮らしなのかもしれない。
白熊親子に遭遇
ポイントバローに向けバスは走る。途中、海の凍結を待つ白熊の親子に遭遇した。子持ちの母親は、どんな動物でも攻撃的だ。しかも熊の中でも一番凶暴と言われる白熊。車に乗ってはいるけれど、警戒してしまう。怯える小熊を母熊は隠し、しばらくにらみ合いが続いた。しかし、しっかり写真は撮らせてもらった。そしてバスはその場を去った。
岬の入り口に入ると、バスの調子がおかしくなってきた。プスプスいっており、運転手も首をかしげている。とその時、何かの看板の前でバスがとうとう煙を吐いて止まってしまった。「白熊に注意」と書かれている看板の前でだ。運転手はもうパニック状態。乗客も慌てながら早口の英語でまくし立てている。周りがパニックすると、逆に冷静になってしまう自分。外を冷静に見渡し危険がないことを把握すると、「It's picture time!!」なんて叫んでしまった。周りの人は不思議そうに自分を見つめている。運転手にも「大丈夫。ハプニングはおもしろいから」なんてわけのわからない慰めをかけ、さっさとバスのドアを開けさせ、降りて看板やバスの前で写真を撮りまくった。落ち込むガイドに「逆に楽しいよ。貴重な経験だ」なんて言って、妹と2人はしゃぎまくっていた。(非常に迷惑な客かもしれない。)
看板の前で足留めを食うこと30分。ガイドが遠くに何かを見つけ口笛を吹く。10分ほどしてバギーに乗った地元民がやってきた。助けを呼べたようだ。2時間後、到着した新しいバスに全員乗り換え、町に戻った。岬には到達出来なかったけれど、楽しい時間だった。
原住民から見た日本は?
原住民の踊りを見に行く。理解に苦しむダンスであったが、「ま、重要なのだろう」と楽観的に受け入れ眺めていると、ダンスに誘われたので輪に入って踊ってみた。ダンスが終わると、「お前はどこの村から遊びに来たのか」と聞かれた。日本から海を越えたアラスカだが、氷河期に大陸がつながっていたため、ネイティブはアジア系の顔ばかり。私ももちろんアジア顔。まさか、海を越えて遊びにきたとは思わなかったのだろう。「日本から来た」と言うと、質問攻めにあった。何しに来たのか、日本はどうなのか等々。そのうちの一人が「日本には一度だけ行ったことがある。札幌というところへ2月に行った。あそこは暖かくていいね。」北極圏に比べたら、北海道は南国なのかもしれない。アザラシの毛皮でできたぬいぐるみや狼の皮を縒ってできたおもちゃを見せてもらった。アメリカ政府発行の紙切れと交換し、外に出ると北極海から冷たい風が吹いていた。でも原住民と交流できたからだろうか、私の心はぽかぽか夏のようで、Tシャツと短パンで平気だった。
翌日午後、空港でアンカレッジ行きの搭乗手続きを済ませる。グランドホステスが「コンピューターが作動していないので、機械の搭乗券は発券できません。飛行機の中は好きなところに座っていいです」と言って、搭乗券らしき紙切れをくれた。飛行機に乗ると、早い者勝ちで窓の席は全部埋まっていた。妹と並んで適当に座る。そのうち雲の上を飛ぶ飛行機がマッキンリー付近を通り、アナウンスが流れた。雲の上から見えるマッキンリーは小さかった。一眼レフを構える妹を見て、窓側の乗客が席を替わってくれた。アンカレッジに着いた翌日、妹の乗る飛行機会社はまだストライキを行っており、運のいい妹はまたしても振替便のビジネスクラスで悠々と帰国していった。そして私はユーコン準州に向かうバスに一人乗り込んだ。
「北」に憧れて訪れたアラスカの大地。それは想像していたとおりだった。いや、それ以上だったかもしれない。3週間の間に知り合った人々も見かける動物たちも、短い夏をめいっぱい楽しみ必死に生きていた。でも、出会う日本人男性ほとんどが「アラスカは女が来るところじゃない。ここは男の聖地だ」と言うのには参った。振り返ってみると金銭的にも精神的にも体力的にも楽な旅ではなかったが、自分は確実に何かを学んだと思う。南国もいいけど北国もいい。
Mick
〜野鳥を探しに〜
バンフ町内、古い落葉樹の林へと足を運んだ。「Northern Flicker(ハシボソキツツキ)」が好んで営巣する「Balsam Poplar(バルサムポプラ)」があるからだ。
キツツキ類は黒い体に赤いトサカだと決めつけていたが、彼らの色彩は実に豊富で柔らかい。しかも、羽や尾の裏にまで綺麗な色が隠され、「鮮やかに舞う」とはこのことか。キツツキだと納得するのに時間もかかった。調べてみると、北海道の「ヤマゲラ」や本州の「アオゲラ」など、日本にも黒ではないキツツキがいることも知った。
キツツキはその名のとおり木を突付く。「ドラミング」と言ってメスに呼びかけたり自分の縄張りを主張する他に、幹内の虫を捕食する目的がある。ところが、「Northern Flicker」も含めた多くのキツツキ類は、大量のアリを食すという。日本では天然記念物に指定される「クマゲラ」もアリ食らしい。
アリを狙うのは、食べる目的以外にもその体内に含まれる「ギ酸」を羽毛の殺菌に利用するためだという。鳥類が頻繁に水浴びや砂浴びをするのは、羽毛内のバクテリアや余分な脂分を取り除く効果がある。清潔なキツツキ類は、更にアリのギ酸をこすりつけ念入りに羽づくろいをしているのだろう。余談だが、鳥によっては「蟻浴(ぎよく)」という行動もあるらしい。アリの巣に覆いかぶさって、羽毛にアリを入れたりこすりつけたりすることを指す。想像すると恐ろしい気もするが、そういった行動が必要な生き物もいるということだ。
さて、キツツキ科は世界中で200以上にも分類されるが、不思議なことに「キツツキ」という正式和名の鳥はいないらしい。なるほど、バンフ周辺で確認できる種類も、和名では「ミユビゲラ」、「エボシクマゲラ」、「セジロアカゲラ」など「ゲラ」とついている。どうやら「ゲラ」とは「虫ケラ」を指すようだ。木に穴を開け、長い舌で「虫ケラ」を捕まえるという習性が由来と考えられる。
・・・などと下手な知識を並べたが、「バーディング(Birding)」は気軽に楽しめばよい。バンフ周辺はようやく最適な時期がやってきた。「バードウォッチング」などと言うが、観ることだけでなく「聞く」ことにも魅力がある。特に人間が活動する前の静かな早朝がいい。引き締まる朝の空気に身を置くと、あちこちから「さえずり」や「ドラミング」が響いてくる。繁殖期にオスが奏でる歌は、種類によって異なるオリジナルソング。春季限定で行なわれる早朝の屋外ライブなのだ。自分のように朝が苦手な初心者バーダー(Birder)には斬新な世界。ロッキーには新鮮な感動がまだまだ多い。
文・写真 田中康一
www.ilovewintergreen.com
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Let's Talk Like Canadians!!
BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)
〜英会話ワンポイントアドバイス〜
Cut (something) out/ Cut out (something)
= (否定的な行動・態度を)止める・正す
カジュアルな表現として、一般的に親しい者同士の間で使われます。タバコを止める、食生活を改善するなど、生活スタイルを変えなければいけない場合にも使われます。
●Situation 1
Mother: Hey! Cut out all that noise in there!
Child: Ok, I'll close the door!
●Situation 2
Father: Chris! Stop teasing your brother!
Child (Chris): But he started it!
Father: I don't care if he started it. I told you to cut it out! (it = the teasing)
●Situation 3
Doctor: You need to cut out smoking because it's really bad for you.
Patient: You're right. There aren't many places where it is legal to smoke anyway.
カルガリーのバリュー・ビレッジ(Value Village)というマーケットを初めて訪れた時、バラエティーにあふれた商品と値段の安さに驚いた。衣類、台所用品、家具、電気製品など、あらゆる中古用品が一面に揃っている。どれも中古品独特の匂いが鼻につき新品のような輝きはない。けれど機能性には変わりない。私はパーティー用のロングスカートを5ドルで購入。友人は10ドルの電子レンジを見つけた。
キャンモアのシュリフト・ショップ(Thrift Shop)にも、小物、衣類、スケート靴やベッドまで中古品が多様に揃っている。ちなみにThriftは、「倹約」や「節約」という意味。
バンフ高校隣にある教会では、毎週木曜日の午後にブティック(Boutique)が開かれる。その名のとおり、小さな空間に古着や古本、中古家庭用品などが取り揃う。Tシャツは1ドル、花瓶なども50セントから購入できる。教会に寄付された中古品が定期的に販売される仕組みだ。私たちも不要になってもまだ使用できそうなものを寄付することができる。1ドルで買ったシャツも寄付すれば、それを必要とする誰かがまた1ドルで購入するかもしれない。
日本の家に捨てられない古着が山になっている。地元にはそれを寄付できる場所もない。子供の頃は「おさがり」として親戚などに出回ったが、大人になってそれはなくなった。カナダでは当たり前の古着や中古品の出回りは、日本では珍しいことに改めて気づかされる。逆に言えば、どんな中古品でも再利用するカナダの商業と地域活動に驚かされる。
廃車も捨てがたい中古部品店
そのひとつに車の中古部品店もある。相棒に連れられてカルガリーのピック・ユア・パート(Pick Your Part)という店に行った。店といっても屋外だ。広い平地に自家用車やトラックがずらりと並んでいる。日本のモーターショーを思わせるが、違うのはそれが新車ではなく廃車であるということ。その廃車の中から欲しい部品を自由に取り出す。
私たちの車は日本ではとうに廃車になっている1983年製の日本車で、そのモデルは現在も製造販売され続けている。それを10台以上見つけたが、年代が違えば型も違う。製造年の近い2台の中から必要な部品を探そうとした。しかし驚いたのは、それぞれ違った部品が使われているということ。修理がしにくくなれば新車を購入せざるをえなくなるという自動車会社の販売目的もあるのだろうか。
それでもブレーキ部品はA車からクラクション部品はB車からと探し出し、ハッチバック(後部正面ドア)を含めた6品ほどを購入して、たったの50ドルほど。修理工場に依頼したらかかる金額の10分の1にもいたらない。私のように車に無知な者は、そこに行っても呆然とするだけだけど。
新しい洋服も大好きだけど、古着や中古品を利用するということは倹約と同時にリサイクルという役目も果たしている。モノだって長く愛された方が嬉しいに違いない。大きくいえば、地球自然環境が滅びるのを幾らかでも防ぐことになるかもしれない。そう思うと気分もいい。私たちの錆びたグレーの車には、赤のハッチバックが付いている。新車を購入できない事情もあるけど、なかなかお洒落だと思う。
ともみ
2004年5月6日更新