Columns

 

 

2004年6月上旬号

雪の話 

 

 ボクは雪が大好きだ。5月の終わりに全てのスキー場が閉まった後も雪を求めて山に登り、残雪を見つけてはスノーボードで滑り降りる。そして10月にはシーズンが待ちきれなくて氷河の上まで滑りに行く。それぐらい雪が好きだ。そんな雪について今回は真剣に話そう。
 雪はなぜ降るのでしょう。雨が寒さで凍って雪になると思っている人も多いようです。実はその正反対で、雪が溶けて雨に変わっている事の方が多いのです。
 雲が発生する高度では、0度で凍るはずの水分が実際はマイナス30度ぐらいまで液体の状態で存在します。この水を過冷却水といいます。この水は空気中の塵などに触れると瞬時に氷に変わります。有名な山形蔵王の樹氷は、この過冷却水が木にぶつかることによって木が膨大な氷に覆われて出来あがります。過冷却水が氷に溶け変わる際の凍結核には、ヨウ化水銀が一番適していると言われており、実際ヨーロッパでは葡萄畑に雨を降らせるためにロケットで雲の中にヨウ化水銀をばら撒き、雨を誘発する事もあるようです。
 ロッキーの場合は、山火事の煤が雪の核になることが多いようです。空中を漂う、山火で発生した眼に見えないぐらい細かい塵に過冷却水がぶつかると小さな氷の塊になります。この塊が空気中を漂っている間に次々と他の過冷却水がぶつかり大きくなっていきます。大きくなると重さも増えますので地上に向かって落ちていきます。これが雪です。つまり雪は全て水分で出来ているわけではなく、真中に核となる水以外の成分が含まれているわけです。真夏に氷河の表面を見ると砂や泥などで汚れていますが、その汚れはこの雪に含まれる塵からくることも少なくありません。
 去年のロッキーは山火事が多く「もしかしたら雪が多いのでは?」と期待したのですが結果は例年以下の積雪。天気の仕組みはそんな簡単じゃあないんですね。

 

永作まさかず
www3.telus.net/public/toloco/


氷河期を見た魚 Part 2

  それはまるで高圧電流のように突然全身を貫く。ベッドに横たわっていた彼の身体は弾かれたように宙に飛んだ。ずきずきと激しく打つ心臓の音が耳の奥で大きく響く。「また、あの夢だ。」暗闇のなかで半身を起こしたまま荒ぶる呼吸を静めようと試みる。悪夢というほど酷いものではない。それでもここ3ヶ月の間に何度同じ夢を見て飛び起きたことだろう。

         <石垣とコンクリートで護岸を垂直に固められた川。どこか分からない、今まで行った事もない川。流れに足を踏み入れて釣りを始める。仕掛けが上手い具合にトロ場へ流れ込んだ途端に当りがある。淀み以外は背ビレが水面から出てしまうほど浅い川をその魚は派手に水飛沫を立てながら走り回る。ジージーという音と共にリールから釣り糸が引き出される。
  しかし、魚のスタミナはすぐにきれる。その後はリールを巻く力に抗うこともせず諦めた様子で足元まで引き寄せられて来る。狂暴な顔である。表情の無い目と大きな顎がより一層不気味さを際立たせている。エラの辺りを掴んで持ち上げる。まぁまぁのサイズの魚を釣り上げた満足感が得られる筈の瞬間である。
  しかし、その10分の1秒後には「ビンッ!」と、弾かれた様に目が覚めてしまう。何故ならその魚は、生きながらにして首から下が腐ってボロボロになっていたからである。「ウワッ!」という声を発して反射的に魚から手を離すのと目覚めるのとは殆ど同時だった。>

  しばしば同じ夢を見るので、これは何かを暗示しているのではないかと考え、ユングの本でも読んで調べてみようなどと思いもしたのだが、結局面倒になって止めてしまった。
  そんなある日、スーパーマーケットの書棚に置かれている釣りの雑誌を見て何か感じるものがあり、衝動的に買い物篭に入れた。帰宅後、安物の酒が入ったグラスを片手に、早速その雑誌をパラパラとめくり始める。
  レイクトラウトやノーザンパイク等、カナダではお馴染みの釣魚の記事が次々と現れる。そんな中で「ふっ」と彼の手を止めるページがあった。如何にも「趣味はアウトドアです!」といった風情の髭面の男が、大きな魚を抱えている写真が載っていた。「おやっ」と思って雑誌の表紙を見ると、やはり同じ男が同じ魚を抱えている別アングルの写真が大きく載っている。彼はごく自然に男から魚へ視線を移す。その魚は無表情な目と大きな顎を持っていた。
  突然カメラのストロボのような閃光と共に、再びあの夢の一場面が襲ってきた。しかも今回は動揺する彼に追い討ちを掛けるように、今まで夢にも見なかった新たな場面がそれに続いた。数秒ごとに細切れにされた別々のシーンが、断続的に現われる。それらはまるで夢の続きのように見えた。しかしそれは彼の記憶だった。一つ一つのシーンが、確かに彼の記憶の中にインプットされている馴染みのものだったのである。見る見る彼の表情が変わってゆく。
  「そうだったのか・・・。」
  夢の暗示を解く鍵が何なのかを悟った彼の目に、もはや動揺の色は微塵もなかった。彼は速やかに雑誌を閉じると、その後の計画を立てるための作業に入っていった。

再びオールドマンリバーへ

  釣りキチは再びオールドマンリバーの岸辺に立っていた。夏の長い一日も終わりが近く、太陽はロッキー山脈の向うに沈もうとしている。彼はこの日の夕まずめに一発勝負をかけているのであった。仕掛けも去年までとはガラリと変わって大物狙い専用である。その大物とは、おそらくウィスコンシン氷期が終わった一万一千年前という太古の昔からここ、カナダ、アルバータ州に生き続けている数少ない原産種の一つであり、更に北アメリカの一部でしか見られない固有種であり、その絶対数を一気に減少させた希少な魚でもある「ブルトラウト」である。  (続く)

小池健一郎

*「氷河期を見た魚Part 1」は、バンフタイムス2003年1月合併号(#153)に掲載されました。バックナンバーは編集部で無料配布している他、ウェブサイトでもご覧いただけます。 (www3.telus.net/banfftimes/bnumber.htm


 

Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


The Last Straw
=これ以上我慢できない、堪忍袋の緒が切れる


  この慣用句は怒りやフラストレーションを表す時に使われ、「他人の悪い癖や行動に我慢できなくなり、堪忍袋の緒が切れる」意味を表します。
  「Straw」とはワラ、「Last」は最後の意味を示しますが、語源は砂漠地帯で生活する人たちの移動・運搬の手段として使われているラクダに関するたとえです。ラクダの背に最後に載せるのがたとえワラ一本であっても、限界を超えてしまうとラクダの背中が折れてしまうという意味です。

●Situation 1 
Chris: Your brother said he would meet us at 7pm for dinner, and now it's 7:30! He's late again.
Sue: I know. He's always late. But this is the last straw! I'm never inviting him out for dinner again!

●Situation 2
Dave: Do you hear those drums upstairs?
Bill: Yes, they seem to always play them at night.
Dave: I've asked them over and over again to practice before 10pm, and it's 11pm now. This is the last straw! I'm calling the police.

●Situation 3 
Mary: That dog next door always come over and poops on our lawn!
Jane: You should ask the owners to clean it up. 
Mary: I have many times, but they never do! This is the last straw! I'm calling the bylaw officer!
 

BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)

 


さえずりに耳を澄まして
〜バード・ウォーク〜


 久し振りに学校へ行ったような気分だった。新しいことを学ぶというのはなかなか楽しいものだ。何を学んできたかと言うと、「鳥」。多分バンフでもっともお得な無料イベント、「バード・ウォーク」に参加してきたのだ。
  野鳥の姿やさえずりを探して楽しみながら歩くバード・ウォークは、「バーディング」とも呼ばれる。「バード・ウォッチングじゃないの?」と思う人もいるかもしれないが、愛好家にとっては大きな違いがある。「ウォッチング」と付くと、見るだけのような意味合いがあるからだ。バーディングでは、見るだけでなく聞くことも同じくらい重要。目当ての鳥を探し出すには、目だけでなく耳も動員する。
  「小さい音を聞き取ろうとする時は、口を少し開けて目をつぶり、首を左右にひねりながら聞くと良い」とは、バード・ウォークに参加していた女の人の言葉。イギリスの軍隊がパトロールをする時に使うテクニックらしい。誰かが見ていたら少し恥ずかしいが、これがバード・ウォーク中には役立った。
  朝7時過ぎ、ぬかるんだ地面を踏みしめながら歩き出した。いつもだったら聞き流している鳥のさえずりだが、今日は違う。ボランティアでガイド役を務めてくれているピーターさんは歩き出してすぐ、「今、何がどこから聞こえる?」 との質問。そう言われてみると、いろんなさえずりが…。まずは見ることから入ると思っていたが、視界に入る鳥よりも、聞こえるさえずりの数のほうが断然多い。なるほど、それなら耳を使ったほうが利口である。
  聞こえてくるさえずりを一つ一つ聞き分け、ピーターさんは説明していく。次々と知らない鳥の名前が出てくる。鳥には失礼だが、同じように見えて実はいろんな種類があるのだ。マラード、リンカン・スパロー、マウンテン・チカディー、スナイプ、レッドウィング・ブラック・バードなどなど。ビートルズの曲「ブラック・バード」に出てくる鳥はあれだったのか・・・。姿とさえずりの両方を覚えるにはまだまだ時間がかかりそうだ。でも、こうして教えてくれる人もいるのだし、みんなのように鳥の本を持って確認、メモしながら歩いているうちに覚えるのだろう。大変そうに思えるかもしれないが、歩いていて「あ、あれは○○鳥」なんてできたら、自分を取り巻く自然の一部だけでも理解したようでうれしくなりそうだ。
  犬の散歩で歩き慣れたトレイルなのに、視点を変えるとこれだけ違って感じるのか、と驚いてしまった。「新たな歩き方」と言っても良い。バード・ウォークが終わった後も、鳥を見かけると注目してしまう。私の鳥を見る目(と聞く耳?)は、これを機に大分変わってしまったようだ。

  小林りん


Go Flames Go !!!  〜がんばれフレームス〜 

 

  カナダのチームのスタンレーカップ出場は、1994年のバンクーバーカナックス以来10年ぶり。あの時は無念にもカナックスが敗北。今回は、特に期待されていなかったカルガリー・フレームスの突然の奮闘に世の中が大騒ぎです。31日(月)の第4戦目の試合は0-1で負けてしまいました。これで2対2のタイになり、ますます接戦に。理想的には6月3日(木)の第5戦目で勝ち、5日(土)のホームゲームで優勝をかざりたいですね。今までホッケーに興味なかった方々もぜひ、ぜひ、応援をお願いします。

 

Chiaki

 

<今後注目の試合日程>
6月3日(木)6pm〜 @タンパベイ(第5戦)
6月5日(土)6pm〜 @カルガリー(第6戦)
6月7日(月)6pm〜 @タンパベイ (第7戦) 



 

 

2004年6月3日更新

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