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最近、天気もやっと安定し、「素晴らしいバンフの夏」の兆しがあらわれてきました。
この時期、周辺の湖の氷が溶けだして、一年で一番美しい色を見せてくれるのも楽しみです。
完全に溶けている「レイクルイーズ」と「ウォーターファウル湖」も見ごろですが、今、溶けたばかりの「ペイト湖」がとても美しくお勧めです。なんといっても色が格別。普段でもペイト湖の色は、他のどの湖よりも青緑色が濃くペンキを流しこんだような色。ガイドプックなどには必ず写真が載っていますが、今は特に溶けたばかりのこの時期にしかない色を見ることができます。
吸い込まれるような水の色。その湖面には周りの木々が絵のように映り、静粛の中、魔法にかかったように安らぐことができる秘境でもあります。日常の雑踏から逃れ、一度はぜひ訪れていただきたい湖です。
ロマンチック派には、「夜明けのペイト湖」が素敵。夜明けにペイト湖を目指すなら、バンフ出発は朝3時ごろが目安です。夜明け前はかなり暗いので、懐中電灯を忘れずに。また、防寒着もご持参下さい。
駐車場から湖までのトレイルにはまだ雪が残っています。滑りやすくなっているのでご注意下さい。
Chiaki
氷河期を見た魚 Part 2 続編
釣りキチはブルトラウトを間近で見たことなどないと思っていた。その魚は彼にとって釣りの対象にするにはあまりにも数が少なく、また、彼の技量では到底釣れないほど難しいものであると思っていた。その魚がいるポイントを見つける事さえ不可能であると思っていた。しかし、実際には幾度も彼の前に姿を現わしていたのである。只、彼がそれを識別できなかっただけなのだ。
特にオールドマンリバーの滝壷でのことは今でも鮮明に覚えている。何故ならそれを巨大なカットスロートトラウトだと勘違いした釣りキチは、躍起になって3時間もの間キャストし続けたからである。その時は、彼の努力も空しく全く見向きもされなかった。彼は自分の技量が未熟なための結果であると思っていた。しかし実は、カットスロート用の仕掛けに反応しなかっただけとも考えられるのだ。そう考えた方が辻褄が合うのである。
カットスロートはマスの仲間で、ブルトラウトはイワナの仲間である。パッと見ただけでも両者はその体色の違いによって識別できる。マスは薄い色の身体に濃い色の斑点が散らばっており、イワナはその逆で濃い色の身体に薄い色の斑点が散らばっている。彼の記憶に残るその姿は確かにイワナのものであった。そして巨大で貪欲な肉食魚の面構えであった・・・。
・釣りの雑誌に載っていた魚
・彼の恐ろしい夢に出てくる魚
・そしてオールドマンリバーの滝壷の魚
それらの姿がぴたりと一致した時から、彼はもうあの夢を見なくなった。それは一つの不安の「解消」ではあった。しかし「解決」したとは言えない。彼はそれを放って置けなくてここまで来たのだった。
川での試行錯誤
銀色をした小魚のように見える「ストリーマー」というフライを、ポイントに向けて流し込む。水量が豊富で、強い流れをもつ川の最も深くて暗い所に潜むと言われるこの魚を誘き出すには、フライの動きに不自然さが微塵もあってはならない。弱った小魚が偶然に上流から流されてきたように見せかけなければならない。こう書くと割と簡単に思えるが、実際の現場ではそれがなかなか思うようにいかない。目の前ではど迫力の轟音を響かせながら、大量の水が滝壷めがけて落ちている。そこから発生する強烈な流れと予想のつかないうねり、多量の水滴を含んだ向かい風、流木や大岩等の障害物、これらの一つ一つをクリアして、初めてまともに釣りが出来るのである。
しかし釣りキチは、それくらい当然であるかのように、根気強く様々な角度から試行錯誤を繰り返し、決して諦めようとしなかった。そして、70回、80回とキャストするうちにとうとう細い道筋を発見する。それは滝から落ちる水が造る川の本流と、流れが岸に当たって跳ね返る際に出来る波が衝突する狭間に発生する不規則なうねりである。何らかの理由で、数分間に一度そこに細い流れが出来る。それにフライを乗せると滝の裏側へ回り込んで行く。そして滝の圧力に引き擦り込まれるように水中に没し、滝壷の最深部を通過して、滝の表側へ押し出されてくる。もし今日の夕まずめに一発を狙うとしたらこのうねり以外にはあり得ないという確信に似た思いが、彼をこの細い回廊のような流れに執着させた。釣り始めてから実に1時間が経過していた。
浮きが水中へ・・・
蛍光色をした浮きが水中に消し込んだのを見た釣りキチは、流れにもみくしゃにされた仕掛けのことを真っ先に思い浮かべた。もしかすると水中で岩に引っ掛かっているのかもしれない。恐る恐る竿を立てる。そこにズン! とした手応え。全く動かない。軽い溜息とともにラインを手繰り寄せようとする。引っ掛かりがひどい場合は仕掛けを丸ごと失う事になる。フライ、重り、浮き、ハリス、それぞれはそんなに高い物ではない。しかし一度に総てを、そして一日に何度も失うと結構な出費となる。「趣味には、時間はかけてもお金はかけない」をモットーとしている彼は、このような状況に陥る度に肩を落とす。
しかし一瞬の後、ラインを握る左手の先端に、微かなパルス信号のような刺激がピンピンと伝わってきた。どっ!とアドレナリンが溢れ出すのが感じられる。反射的に、後方に反り返るように竿を跳ね上げた。竿とラインが連続した弧を描き、糸が空気を切り裂く「キューン」という音が響き渡る。そしてゆっくりと浮きが移動し始めた。
ブルトラウトは重い。走り回るわけでもなく、飛び跳ねるわけでもなく、ひたすら深みに留まり上がって来ない。実は仕掛けは大物用でも竿とリールは小物用なのだ。予算の都合でそうなってしまった。腰の弱い竿に重量級の魚がグン! と力を加えると、いとも簡単にフニャリと曲がる。今にも「ポキッ」と折れてしまいそうでどうにもハラハラする。限界近くまで張り詰めた張力を左手の人差し指に感じながら、至極微妙なレベルでの攻防が始まった。大物釣りは豪快なイメージがあるが、この場合はそうもいかなかった。
殆どの魚は流線型をしており、水の抵抗を受ける事なく素早く泳げる。よって、魚がこちらを向いている時は楽々とラインを巻き取る事が出来る。しかし、一旦魚が向きを変えて泳ぎ出すと、せっかく巻き取った分を全て引き出されてしまう。そのような事が幾度も繰り返される。
ポンピングという方法で魚を引き寄せられるようになったのは、暫らく経ってからである。竿の弾力性を最大限に利用しながら、少しずつ糸を巻いてゆく。奴のスタミナもそろそろ切れかけているのかもしれない。
数分後、さすがのブルトラウトも疲れきった様子で、とうとうその姿を水面上に現わした。気力だけで再度潜ろうとするが、最後は釣りキチの足元で横たわるように漂っていた。まるでぜーぜーと苦しげに呼吸しているかのように、大きな口とエラをゆっくりと動かし続けている。しかし、その目には相変わらず何の表情も浮かんではいない。その顔は正面から見ても横から見てもやはり凶暴そうに見えた。瞬間的な躊躇の末、首根っこを掴まえて持ち上げてみると、その姿は夢で見たのと違って、美しく輝く健康的なものであった・・・。 (続く)
小池健一郎
*「氷河期を見た魚Part 1」は、バンフタイムス2003年1月合併号(#153)に掲載されました。バックナンバーは編集部で無料配布している他、ウェブサイトでもご覧いただけます。 (www3.telus.net/banfftimes/bnumber.htm)
Let's Talk Like Canadians!!
BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)
ありがとう、Calgary Flames "Thanks, Flames... for the amazing, wonderful ride"1 という大きな見出しが6月8日(火)のカルガリー・ヘラルド紙の一面をかざりました。 遠藤千晶
●英語が苦手な方のために
〜英会話ワンポイントアドバイス〜
Get away with something
=〜を見つからずにやってのける
悪い事をしたのに見つからないですむ、何の罰も受けないですむ、罰を逃れるなどを意味します。例を挙げると、店で万引きをしたけれど見つからないですんでしまったなど。この慣用句の後に動詞を使用する場合は動名
詞を用います。(例: Get away with doing something. )
●Situation 1
Lara: Those kids get away with doing whatever they want. Yesterday, they were playing in the street until 11pm!
Jill: That's because their parents don't discipline them.
●Situation 2
Mary: Just because Veronica is so beautiful she thinks she can get away with anything! The other day, she dented Tony痴 car and didn't tell him.
Betty: Yes, I heard about that. The funny thing is, Tony noticed and didn't say anything to her. I guess she can get away with anything!
●Situation 3 (Calgary Flames vs. Tampa Bay)
Darryl Sutter (Flames Head Coach):
Hey Kerry! Vincent just hit Iggy in the face and you didn't call it a penalty! Open your eyes!
Kerry Fraser (Referee):
I'm letting them play the game without too many interruptions. Let them play!
Darryl Sutter:
Last game you couldn't get your whistle out of your mouth! You're letting the players get away with everything! Vincent just got away with hitting Iggy because you didn't call a penalty! You should be in the box, Fraser!
〜つかの間の夢、素晴らしい思い出〜
カルガリー市人口約100万人とバンフを含む周辺の地域の人々が息をのんで見つめる中、壮絶な試合「ゲーム7」、スタンレーカップ最終戦が7日(月)タンパ・ベイで行われました。結果は2−1でタンパ・ベイの優勝に終わりましたが、フレームスファンの気持ちは今もひとつです。「よくここまで頑張った」、「素晴らしい思い出をありがとう」、「フレームス、最高」などの温かな声援がいつまでも続いています。
元々毎年、チームの存続が危ぶまれるほどの低予算で頑張ってきたカルガリー・フレームス。今回はプレイオフに残った段階でも奇跡の奮闘だったのです。"Underdog"2、 "Came from nowhere"3などと表現されるほど、フレームスの進出は世の驚きでした。レギュラーシーズン・ランキング6位のフレームスが全61日間に渡りプレイオフで見せた力強さと根性に、大きな拍手がおくられています。
熱狂的ファンたちで有名なバンクーバー・カナックスとのプレイオフ開幕戦は4月7日に始まり、ランキング3位のカナックスを4月19日の「ゲーム7」で破りました。その後、ランキング1位のデトロイトに勝ち、2位のサンノゼを5月19日の6戦目で破り、ついにウエスタン・ファイナルのチャンピオンになったのです。
カナダチームのスタンレーカップ進出は1994年のカナックス以来で、カナダチームの優勝は1993年のモントリオール・カナディアンズが最後です。カルガリー・フレームスにとっては15年ぶりのスタンレーカップ進出(1989年優勝)で、長い年月の末の突然の奮闘ぶりが、人々をより深く魅了したのでしょう。
真っ赤な一群、止まない声援
6月7日(月)、カルガリーにとって特別な日でした。町中を走る車の半分は大小さまざまなフレームス旗を掲げ、仕事を早々と切り上げる人々の姿が目立ちました。サドルドームには大型テレビスクリーンでの観戦会場が用意され、約2万人が真っ赤な姿で会場を埋めました。
市街地では、17番通り沿いの5ブロックが通行止めの野外観戦場と変わり、約1万人を越える人々でごったがえしました。みな、フレームスの赤のジャージーを着ての観戦です。プレイオフ途中からいつの間にかこの地域は "The Red Mile"と呼ばれるようになり、ホッケーファンの集まる特別地域になりました。赤色での応援はチームのエース、コンロイ選手の呼びかけからスタートしたそうです。試合中は切れ間のない声援が続きました。バンフの町中のバーでも巨大スクリーンで観戦する人々が一丸となって声援を送りました。この一体感、連帯感、共有感の素晴らしさは今まで知らなかった世界を見たような感じです。
優勝したタンパ・ベイのキャプテン、デイブ・アンドレイチャックが嬉し泣きでカップを高々と持ち上げる姿を見て、みな無念に思い、こころの中で「イギンラに持たせたかった」とつぶやいたことでしょう。フレームスの控え室では、肩を落として押し黙る選手たちの痛ましい姿があったそうです。勝負の世界は勝つ者と負ける者がいるからこそ、苦しくもあり美しいのかもしれません。
ホッケーはカナダの心、人々の夢
今までカナダに長く住んでいながらあまり馴染みのなかったアイスホッケーというスポーツに、今回のフレームスブームで素人ながら触れることができ、本当に良かったと思います。話題の試合を実際にスタジアムで観戦するチャンスもあり、スポーツを通した共有感や感動というものを体験できました。また、ホッケーというスポーツがカナダ人にとって特別に思い入れの深いものであることも実感しました。
今年8月には4年に一度のイベント、アイスホッケー・ワールドカップがモントリオールで行われます。燃える男イギンラや今回タンパ・ベイチームのエースとして活躍したブラッド・リチャーズ(プリンスエドワード島出身)、そしてバンフ出身のライアン・スミスもカナダチームのメンバーとして共に円陣を組み、またまた活躍して私達を楽しませてくれることでしょう。
さあ、今度はチーム・カナダのために大声張り上げて、"Go Canada Go !!!"
1 "the amazing, wonderful ride"は、「とても素晴らしいひととき」と訳すことができます。この「ride」はもともと乗り物を意味しますが、この場合はジェットコースターのようなスリル満点の乗り物に乗り、楽しい思いをするといったニュアンスがあります。
2 "Underdog"
=勝ち目のない人、しいたげられている人、敗北者
3 "Came from nowhere"
=どこから来たかわからない、名もない
2004年6月17日更新