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バンフで迎える2回目の夏。去年はどこへもあまり行けなかったので、今年こそはと思いアンテナを張っていたところ、入ってきた情報がサンシャイン・メドウ。バンフからシャトル(White Mountain Adventures社運行)も出ているため、行きやすいのも魅力だった。7月初旬なのでグレーシャー・リリーを見るには少し遅く、野花が満開になる時期(7月中旬から下旬らしい)には少し早かったが、とにかく行ってみることに。同僚の美幸さんが同行し、女二人旅となった。
ご存知ない方のために場所を簡単に説明すると、サンシャイン・メドウはバンフから西へ車で15分ほどのところにあるサンシャイン・ビレッジスキー場の敷地とその周辺一帯のエリア。冬はスキー客でにぎわうところだが、夏は野花が美しい緑の絨毯が広がる。雪が降ることにより植物が育つ地面が守られ、冬はその上で人々がスキーやボードを思いっきり楽しめるわけだから、うまくできている。ちなみに「メドウ(Meadow)」とは、低湿地や樹木限界線に近い草原を指す。サンシャイン・メドウは湿地草原といったところだろうか。
咲き乱れるアネモネ
出発前の天気予報は断続的な雨を報じていたが、まずまずの天気の中を歩きはじめた。午前10時過ぎ、スキーシーズンの名残りの器材やリフトが点在するロッジ付近を離れると、だんだんハイキングらしくなってきた。ロック・アイル・トレイルの脇には早速白と黄色の花が。カナディアン・ロッキーに生息するすべての動植が網羅されている「Handbook of the Canadian Rockies」(Ben Gadd著)をすかさず取りだし、名前をチェック。白いのはウェスタン・アネモネ。小さく黄色いのはアルパイン・バターカップだった。そして、やたらにグラウンド・スクイレル(地面に穴を掘って住むリス)が多い。多数の種類がある中、わざわざ双眼鏡で確認して本で名前を見つける。「自然オタク」みたいだが、面白いし人から聞くよりも頭に入るのだ。
サンシャイン・メドウの景色は、今まで行ったことのある森林地帯や、樹木限界線より上の岩がゴツゴツしたようなところの景色とはまた違う。木はまばらで開けたところに背の低い草などが生えており、岩が覗いていたりしている。急な傾斜は少なく、緩やかな丘が続いている。トレイルは砂利でできていたり、湿地や小川の上には木のプラットフォームが渡されている。ぐるっと一周するにはある程度の体力がいるが、初心者や年配の方にも歩きやすい道だ。
1時間もしないうちにこのメドウにある3つの湖のひとつ、ロック・アイル・レイクが見えてきた。澄んだ水が風で波立ち、光をキラキラ反射する。湖の真中には、木が数本生えた小さな島がある。あの島に住みたい、なんて言いながらしばらく行くと、ガーデン・パス・トレイルの入口に来た。
花と湖のガーデン・パス・トレイル
「ガーデン・パス(Garden Path)」、庭園の小道なんて粋な名前がついたこのトレイルは下調べをした時から気になっていたのだが、予想をはるかに上回るものだった。トレイルはいくつものせせらぎを横切り、渡るたびに水音が心地よく耳に響く。でも、やはりすごいのはトレイル際に咲く花の数々。赤や濃いピンク色が鮮やかなインディアン・ペイントブラシ。とてもかわいく小さな青い花がたくさん咲くアルパイン・フォゲット・ミー・ノット(私を忘れないで、なんて花名。日本名「忘れな草」)。そして、もう終わりかけてはいたけど、まだ十分見ごたえのある黄色いグレーシャー・リリー。残念ながら7月後半にはもう見られないと思うが、場所によってはいたるところに黄色い花が点在した。初めて見たグレーシャー・リリーは、思ったより小さかった。その他、白い花びらに薄いピンクや紫色の線が入ったウエスタン・スプリング・ビューティー(春の美)も花開いていた。「この繊細な花の名前は何?」と調べると、とてもふさわしい名前だったため二人で感動してしまった。
虫の多いラリックス・レイクの水際を過ぎたところでランチタイム。お昼はやっぱりおにぎりという美幸さんが握ってくれたのを頬張る。ガーデン・パスに入った頃から天気予報通りの雨が降ったり止んだりだったが、食べ終わって歩き出すと本降りになってきた。灰色の雨雲から逃げるように、ツイン・ケアンズ・メドウ・パーク・トレイルへ入った。
雹に見舞われる
このトレイルが始まってすぐにスタンディッシュ・ビューポイントへ上るトレイルがあったが、天気の悪さにとりあえず先へ進むことに。すると間もなく雹が降ってきた。雹はすぐにまた雨に変わったが、ツイン・ケアンズ・メドウ・パーク・トレイルは終わりの方までずっと雨。時期のせいか、ガーデン・パスに比べて花が少なかったこともあり、そそくさと過ぎてしまった。晴れていたら、さぞすがすがしいだろう。標高が少し高くなったため、特にこのトレイルの後半は、まだ雪が残っている部分が多かった。
モナーク・ビューポイントと思われるベンチがあるところまでたどり着き時間を見たところ、5時の最終シャトルが出るまでまだまだ時間があった。天気も持ち直してきたので、このままサンシャイン・ビレッジに戻るよりも先ほど見逃したスタンディッシュ・ビューポイントに寄り、来た道を戻ることにした。比較的楽なルートだったため、体力はまだまだ残っていたのだ。
雨でも絶景のスタンディッシュ・ビューポイント
ツイン・ケアンズを戻る途中何組かのハイカーとすれ違うと、そのうち人影が全くなくなった。スタンディッシュ・ビューポイントに上がるトレイル近くでまた雨がしとしと降り始め、なんだか寂しい雰囲気。ここに近づくと、どうしても天気が崩れてしまうようだ。まあ仕方ないと、ビューポイントへの短いトレイルを上る。グレーの空と同化してしまいそうなグレーのやぐらのような展望台に上ると、緑の絨毯にガーデン・パスで見た3つの湖の青が映え、バックに群青色の山々が見渡せた。ここがサンシャイン・メドウ一の景色だろう。たどってきた道がこうやって見渡せるのがいいね、と美幸さんが言った。
幸せの青い鳥
実は今回、マウンテン・ブルーバードが見れるかもしれないと聞き、「幸せの青い鳥」を見つけようと楽しみにしていたのだが、残念ながらこの望みは叶わなかった。しかし、サンシャイン・メドウで見られるのは確かなので、7月後半以降もっと暖かくなってから行かれる方はぜひ探してみて欲しい。
野花のメッカであるサンシャイン・メドウだけに、シャトルのピックアップ場所のロッジでは、ここで見られる野花を写真付きで紹介する掲示板がある。これを知らず、本で苦労して花の名前を探した私たちは少し落胆。その他、田中康一さん著のカナディアン・ロッキーの花を集めた本(日本語)や英語のハイキングガイドなども置いてあるので、シャトルの待ち時間に読んでみるのも良いだろう。
小林りん
氷河期を見た魚 Part 2 完結編
そして、その翌年は、国際社会(つまり人類全体)が初めて地球環境問題に取り組み始めた記念すべき年となった。1972年「国連人間環境会議」がストックホルムで開催され、この年を「環境元年」と呼ぶようになったのである。この会議が元で、後に「ワシントン条約」や「世界遺産条約」が採択されることになる。これ以後は、国内のみでなく国際的な環境を視野に入れた法律や条約が公布、締結されてゆく。
カナダ絶滅危惧種法
そして、1992年「国連環境開発会議」(地球サミット)がリオデジャネイロで開かれる。ここでは「地球温暖化防止条約」や「生物多様性条約」が採択され、当然のようにカナダはこれらを批准した。この「生物多様性条約」は、絶滅危惧種の保護に関する国内法や規制に関する約束も含まれており、これまで環境保護に対して活発に動いていたにも関わらず、中軸となる法律が「環境保護法」だけだったカナダにとって、「SARA」(カナダ絶滅危惧種法)を制定するのにまたとない機会となった。そして、9年間に渡る政府・先住民・環境保護団体・科学者・農民・漁民・天然資源工業関係者・地主・カナダ国民の間の対話からついにそれは議会を通過したわけである。この法律によって現在456種の生物が危惧種に指定され、保護されている。
幸いな事にブルトラウトは、連邦政府による「SARA」にもアルバータ州政府による法律にも危惧種として指定されてはいない。アメリカでは危惧種になっており、カリフォルニア州のブルトラウトが最近絶滅したかもしれないと言われているような状況だけに、これは本当に幸運な事であると言える。特にアルバータ州においては、保護政策の効果があって、その数を増やしていると言う報告さえあるほどである。このまま数が増え続け、何時か「古き良き時代」を取り戻す事が出来れば、キャッチ・アンド・リリースは解除されるかもしれない。そうなったら我々人間は、やっと気後れする事も無く、堂々と彼等に戦いを挑むことが出来る筈だ・・・。
ブルトラウトとの約束
その年の8月中旬、釣りキチは再びオールドマンリバーを訪れた。滝を見下ろせる高台に立ち、相変わらず迫力の衰えない圧倒的な量の「水」が落下する様をぼんやりと眺めていた。その時不意に何かが彼の視野を掠めた。一瞬の出来事であった。何かは分からないが、決して見逃してはならない物のような気がした。躊躇する事なく、彼は滝壷の縁まで降りて行った。水飛沫が舞い降りてくるほど滝に近い巨大な岩の上に立ち、決して滝から目を逸らせないほどの緊張感に包まれながら暫らくの間待った。
そして、それは再び彼の前に現われた。暗褐色の巨大な魚が滝を登ろうとジャンプしているのだ。それはまるで不可能な事のように見えた。奴が幾ら頑張っても半分、いや、良くても七分目までしか届かないであろうと思われた。それほど滝の水量は圧倒的であった。
しかし奴は諦めようとはしなかった。そして何時しか一回り小さい、おそらくメスであろうと思われるブルトラウトもそれに加わってきた。釣りキチは一目見てそれが彼が釣り上げた魚であることを知った。登ろうとしては叩き落され、数分休憩してからまた登ろうとして叩き落され、それの繰り返しであった。特にメスはどうあがいても滝の半分までしか届かなかった。それでもメスも決して諦めなかった。それは何時までも何時までも続いた。「俺らは夫婦なんだ。毎年こうして滝を登って産卵しに行くんだ」・・・そう聞こえた。そうか、奴らが俺の夢に出てきたのだな。これを伝えるために出てきたのだな。
釣りキチは、きっと彼らが滝を昇り切るであろう事を確信した。その力は絶滅という恐ろしい現象など跳ね返してしまえるほどの強さを秘めているように見えた。彼は滝壷の主である彼等をもう一度釣ろうとは思わなかった。きっと二度とここで釣りをする事は無いだろう。釣りキチはブルトラウトが夢で彼に伝えようとしたことを書き記す事を約束し、滝壷を後にした。そしてこれこそが彼等の求めた「解決」だった。 (完)小池健一郎
*バックナンバーは編集部で無料配布している他、ウェブサイトでもご覧いただけます。 (www3.telus.net/banfftimes/bnumber.htm)
Let's Talk Like Canadians!!
BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)
読書のすすめ バンフタイムズ「インフォルーム」では、昨年から今年にかけての話題作品を多数入荷しました。カナダでは入手しにくい日本語書籍。この機会にぜひ、ご利用下さい。尚、いつも本を寄付して下さる方々、本当にありがとうございます。
〜英会話ワンポイントアドバイス〜
Live and learn
= 実際に体験、または経験することによって物事を理解する
予想もしていなかった、あるいは考えもしていなかった事に気づいたときによく使うフレーズです。多くの場合、失敗など好ましくないことが起こった際に自分(あるいは失敗をした当事者)に対して「同じような失敗を繰り返さないように」という戒めの意味をこめて使われます。
●Situation 1 (telephone conversation)
Dave: I went away for vacation for 5 days and all my plants died!
Randy: Well, did you give them lots of water before you left?
Dave: No, I didn't think about it.
Randy: Oh well. Live and learn!
●Situation 2
Sheila: I bought new contact lens solution because it said I didn't have to clean my contact lenses every night.
Mary: That't great! That saves some time then.
Sheila: That't what I thought, but now I have an eye infection. My doctor told me I had to clean my lenses every night, even with this new solution that says I don't have to!
Mary: I guess you should have told your doctor you changed your solution. Live and learn!
Sheila: That't for sure! I'll always tell my doctor from now on.
〜インフォルームに話題作多数入荷〜
『バカの壁』 〜養老孟司 著〜
『LAST』 〜石田衣良 著〜
『十二番目の天使』 〜オグ・マンディーノ 著〜
『青空のむこう』 〜アレックス・シアラー 著〜
『4TEEN』 〜石田衣良 著〜
『グロテスク』 〜桐野夏生 著〜
投稿欄
<最近、町や山にたくさんふわふわ飛んでいる白いタンポポの綿毛のようなものは一体なんですか?>
いつも春先にバンフの町中でもかなりの量の綿毛が飛び回り、道路わきにも溜まっているのに気付きますね。これは一見タンポポの胞子にみえますが、実は「コットンウッド」というヤナギ科(ポプラの一種)の広葉樹の花粉なのです。春先4月から5月に多く放たれます。今年はひときわ春の訪れが遅かったので、今ごろになって飛び廻っています。コットンウッドの中でも、ブラックコットンウッドは40メートルになることもあり、幹の太さは大きなもので直径2mにもなります。葉もポプラより大きいのが特徴です。
バンフ図書館を利用してますか? 図書館は本を借りるだけの場所と思っていると損。実は、雑誌やビデオ、CDの貸出しも行われています。視点を変えた図書館新活用法をご伝授。バンフ図書館活用法
2004年7月15日更新