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2004年8月上旬号

ただいま、カナディアン・ロッキー 

 

  6年ぶりにバンフを訪れた。8年前、バンフでの生活を終え、夫と共に日本に帰国した私は、日本で就職し、生活の基盤を作り、いつのまにか日本での生活に慣れはしたものの、毎年、耐えられない蒸し暑い夏に辟易しながら過ごしてきた。もちろん、季節の変化が明瞭で、四季折々の花々が咲き乱れる日本での生活も悪くない。しかし、蒸し暑い夏が苦手の私には、今年の夏は特に耐え難い。
  日本社会でのワークスタイルも大変だ。仕事は楽しいが、精神的にしんどいことも多く、月曜日、火曜日、水曜日と毎日、指折り数えて過ごし、ようやく週末にたどり着く。土日に鋭気を養って、日曜日の夜には、憂鬱になる気持ちに鞭打ち、また来る新しい週をなんとか乗り切る決心をする。そんな数年間だった。

6年ぶりのロッキー
  本当に久しぶりに見た夏のロッキーの景色、自然、大好きだった湖、いくら見ても飽きない山々にそびえる氷河。バンフ在住時、ガイドをしていた私は、当時は毎日のようにコロンビア・アイスフィールドを訪れていた。今回は、敢えてお金を払って観光ツアーに参加した。バスに乗ってビジターの目でロッキーの自然を見て、改めて、こんなに綺麗な素晴らしいところはないと実感した。スイス人の山岳ガイドに、「ここにはまるで20個のスイスがあるようだ」と言わしめたことが納得できる。
  レイク・ルイーズの美しさは、例えようがない。その後ろにたたえるビクトリア氷河もまた素晴らしく、澄んだ湖面に山が鏡写しになっている姿を見たときには言葉を失う。ペイト・レイクの不思議な水の色も印象的だ。陽の光を浴びてキラキラと光るモレイン・レイクは、何時間見ていても飽きない。知らぬ間にため息がこぼれるほどだ。そして私の心を最もひきつけて止まないのは、やはり氷河だ。山や谷の至るところにある氷河、その神秘的な青い輝き。しかし、哀しいかな、ここ数年の地球の温暖化は、氷河の後退を少し早めているかのように感じたのは気のせいだろうか。アサバスカ氷河は、明らかに数年前に比べて予想以上に短くなっていた。次に見るときは、またどのくらい後退しているのだろう、と思いながら眺めていた。

日本の良さを再発見
  バンフの人たちとの再会も、とても素敵な時間だった。久々に故郷のような場所に戻り、血のつながりこそないけれど、家族のように温かい人たちに会って、あふれるほどの心のおみやげをもらい、日本への飛行機に乗った私だった。
  日本で私を出迎えたのは、梅雨明けとせみの鳴き声。朝起きて通勤するときから既に、じとじとと滲んでくる汗。バンフの肌寒いくらいの爽快な朝とは格段の差だ。しかし、咲き乱れる色とりどりの花々や、おいしい食べ物、火山国であるが故、各地に湧き出る温泉。そんな日本もまた素晴らしい。外に出てこそ、自国の素晴らしさにも気づくことができるのだろう。
  バンフでの数日間の休日は、これからまた暑さ厳しい夏を日本で乗り切っていくための、充分なビタミン剤になった。

 

文・写真 佐野順子


旅へのいざない
〜ブリティッシュ・コロンビアの旅シリーズ
@バンクーバー食べ歩き〜


  「ブリティッシュ・コロンビアの旅シリーズ」と題し、3回連載をお届けします。第一弾は「バンクーバー食べ歩きの旅」、第二弾は「スクワミッシュ静養ロッジ」、第三弾は「バンクーバー・アイランド海の旅」。私事ですが、皆さんの次の旅の参考になればと思います。

バンクーバー食べ歩きの旅
  7月の午後、夏真盛りのバンクーバー。出発時に涼しい風がさわやかだったロッキーとは対照的に、飛行機を降りた途端、ムッとする湿気を感じた。まずはバックパックの旅の定番であるホステルにチェックイン。昼間でも危ない地区があるバンクーバーのため、安心できるウエストエンドにあるものを選んだ (1)。4人部屋をシェアして一人一泊約$25。シーツや毛布、個人ロッカーがきちんと置いてある明るい清潔な部屋だ。シャワー/トイレ室は各階にひとつずつ。様々なホステルがあるバンクーバーだが、安全さと清潔さを重視する人にはおすすめだ。

マレーシア料理「バナナ・リーフ」
  以前バンクーバーに住んでいた時によく耳にしたシーフードのおいしいレストランが「バナナ・リーフ」 (2)。以前は行きそびれたので、今回ブロードウェイをうろついた際に寄ってみた。南国の雰囲気が漂う外装の店のドアを押し中に入ると、まだ6時過ぎだというのに3人のグループが席を待っていた。空腹のため迷ったが、店内に漂う良い匂いにつられて待つことに。壁にはタペストリーが飾られ、ウェイトレスやウェイターは、多分マレーシアからであろうカラフルな服をまとっている。メニューを見ながら待っていると、10分もしないうちに席に案内された。
  貧乏旅行のためにお財布と相談しながら頼んだのが、イカのフリッターカレー風味とパイナップルボート・シーフードチャーハン。周りを見渡すと、大人数で来ている人が多い。中華料理のように、みんなで色々頼んでたくさんのものを味見するのが良いのだろう。
  スパイシーなソースが付いたイカのフリッターもなかなかだったが、おいしくて感激したのがパイナップルボート・チャーハン。パイナップルを縦に切り中をくりぬいた入れ物に入ってくるので、見た目からしておいしそう。スモークしてあるようななんとも言えないうまみのある薄味。具もシーフードからチキンまで色々入っており、日本人の口に合う味だ。
  エスニックでカラフルな内装、手早いサービス、手頃な価格と味以外も全て揃ったこのレストラン。シーフードを使った様々な料理の他、カレーや麺類、今回はトライできなかったがおいしそうなカクテル類も置いてある。友達を集めてぜひ行ってみて欲しい。

グランビル・アイランドのバターチキン
  翌日は自転車をレンタル。スタンレー・パークからグランビル・アイランド、キツラノ・ビーチ、ジェリコ・ビーチ、スパニッシュ・バンクスとUBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)に向かって海沿いを走る。スタンレー・パークの海沿いの自転車道は有名だが、公園中央部を横切る自転車道は大木に囲まれた静かな森の中を通り、海沿いほど人がいなくてすがすがしい。
  上りは息が切れるが、下りが楽しいバラード・ブリッジを渡り、ランチを食べに寄ったのがグランビル・アイランド・パブリック・マーケットのフードコート。見忘れたので店名はわからないが、フードコートの一角にあるインド料理のお店のバターチキンは絶品。バターチキンは鶏肉の入ったまろやかなカレーみたいなもの。インドカレー料理を出すレストランに行くと大抵置いてあるが、このお店はフードコート内にあるため気軽に食べられ、レストランに劣らない味。久し振りに行ったらバターチキンだけ値上がりしていたので、人気があるのだろう。相変わらず人でごった返すパブリック・マーケットだが、この味に出会えるならさほど気にならない。新鮮なフルーツをいくつか買い、ビーチを目指してまた出発。

キツラノとべーグル
  お天気に恵まれたはよいが、午後ともなるとかなり暑い。江ノ島の海岸のように人がびっしり横たわるキツラノ・ビーチ。普通の人はあまり泳ぎたくないだろう場所だが、かなりの数の人が水に入っていた。
  海沿いにジェリコ・ビーチを走り、やっとスパニッシュ・バンクスのビーチまでたどり着く。キツラノから離れれば離れるほどビーチが空いてくる。ここでは、パラシュートのような大きな凧を帆のように使うカイト・サーフィンや浅瀬でスキムボードをやっている人をよく見かける。引き潮のときは50メートルほどもある浅瀬ができ、泳ぐにはかなりの距離を歩かなければ行けないが、前方に投げてスケボーのように飛び乗るスキムボードにはぴったりなのだろう。
  帰り道、バラードブリッジ手前にあるべーグル屋さん「シーゲルズ・べーグル」(3) に寄り、これからのキャンプの旅の朝ごはん用にべーグルを買い込む。バックパックに詰めてもつぶれにくく、トーストよりもお腹にたまるのだ。ここはいくつかの支店を持っているが、ここの大きなかまどで24時間いつでもべーグルを焼いている。バンクーバーで最もおいしいベーグルと評されるほどの味。くるみとバナナ、ペスト、オレンジとケシの実など10種類以上あり、スモークサーモンが入った自家製クリームチーズは特に絶品。毎週火曜日はダースで買うと半額になり、週末はクレープもお店で焼いている。深夜にお腹が空いた時によくここに来たことを思い出した。

「オクトパス・ガーデン」へようこそ
  バンクーバー最後の夜を締めくくるディナー。やっぱりおいしい日本食が食べたいと寄ったのが、キツラノにある「オクトパス・ガーデン」 (4)。ダウンタウンにないせいか、バンクーバー好きにもあまり知られていない日本食レストラン。こじんまりとした明るい店内に、お茶目っ気たっぷりな板前さんがジョークを飛ばす。ワインと日本酒の幅広いセレクションや凝った器から、英語人がすぐ使える日本語ワンポイントレッスンの付いた箸置きまで、隅々まで行き届いた気配りが感じられる。
 季節のメニューから、まずはおつまみを頼む。前回ここで食べてそのおいしさを発見した生牡蠣を、今回もオーダー。レモンとポン酢でスッキリおいしい。アサリとシイタケの酒蒸しは、アサリのだしもさることながら、シイタケのだしもしっかり染み出しており、いつもと一味違った上品な味。そして、サヨリの天ぷらにもやはりひとひねりが。サヨリと梅、インゲンを海苔で巻いたものが揚げてある。サヨリの骨をカリカリに揚げたものもきちんと付けてくれる。インゲンの歯ごたえと梅の味が新鮮だ。
  ここでお寿司に突入。にぎりが本来の目当てだが、工夫を凝らした巻物がたくさんあるので、その中から「M.O.」を頼んでみる。サーモン好きの連れが選んだこの巻物は、サーモンの天ぷらを酢飯、スモークサーモンとアボカドのスライスで巻いたもの。いつもながら見事なプレゼンテーションだが、普通の太巻き以外は邪道と思っているような人をもうならせる新しいおいしさ。カナダ人である連れは、こんなおいしいものは食べたことがないと大感激。そう、ここはカナダ人の友達を連れて行き、「どう、日本食すごいでしょ」と自慢できるお店でもあるのだ。
  ネタの新鮮なにぎりをたくさん食べ、この旅一番の贅沢をして最後においしいお茶を一杯。バンクーバー食べ歩きの旅にふさわしい締めくくりとなった。これを読んで行ってみようと思う人、ランチはやっておらず、夏は特に毎晩満席になることが多いので予約をお勧めする。バンフタイムズを見て来たと言えば、歓迎してくれることだろう。

小林りん

1 Hostelling International Downtown; 1114 Burnaby St. 1-888-203-4302  www.hihostels.ca/hostels/BC/BCRegion/VancouverDowntown/Hostels/
2 Banana Leaf;820 West Broadway, 604-731-6333     www.bananaleaf-vancouver.com
3 Siegel's Bagles;1883 Cornwall Ave.      www.siegelsbagels.com
4 Octopus' Garden Restaurant; 1995 Cornwall Ave., 604-734-8971   www.van-info.com/octopus/japanese.html


 

Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


Take something or someone for granted / Take it for granted that...
= 〜を当然のことと思う

「(人に)そうしてもらうこと」あるいは「そういう状態であること」があまりに当然であるため、あらためて感謝する(または幸運と思う)事をついうっかり忘れているときによく用いられます。 このフレーズは、人(恋人、友人や家族など)や物(天候や食べ物など)のどちらでも使えます。

Situation 1 
Preston: In California, we take good weather for granted
Kimmy: But you have earthquakes there.
Preston: True, but the weather's great !

Situation 2
Brent: Why are you upset?
Scott: My girlfriend takes me for granted. You know, she thinks that I will always be the one to plan something nice for every Saturday night. I'd like her to plan something sometimes, too.

Situation 3
Chris: You take it for granted that I'm going to be the one to cook and clean all the time.
Sue: Well, you're not working and I work full-time, so you have a lot of time for it.
Chris: I have news for you. I just found a job and I'll be working full-time, so I won't have time for cooking and cleaning all day.

 

BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)


投稿欄 〜メープルシロップ、一番搾り??〜

  メープルシロップの「エクストラライト」を、「一番搾り」と呼ぶ人がいるようですが、メープルシロップには、搾ると言うプロセスはありません。では、「エクストラライト」とは如何なるものなのでしょうか?
  「エクストラライト」とは本来、シロップとしては販売されなかったものなのです。今でも、日本人向以外にはほとんど需要がありません。「エクストラライト」は、シーズン最初の二日間に採れるもので、確かに木に含まれる混ざり物が少ないと言う点では、一番きれい(PURE)だと言えますが、実は香りが劣り、メープルシロップ独特の香りはほとんどありません。元々、煮詰めて香りを高めてキャンディーを作ったりして、処理している物なのです。メープルバターが需要の少ないライトから作られるのも同じような理由からです。 
  新商品なので、日本では特別な物として雑誌などで紹介されているようです。「珍しい」、「高い」という言葉に影響されやすい日本人を対象にしてのみ売られているという現状をみると、業者の思惑を疑わずにはいられません。
  本当のメープルシロップの味を楽しむのなら、やはり「ミディアム」なのだと思いますが、それでも「エクストラライト」を選ばれる方への、小さな親切大きなお世話でした。


宮副 徹


2004年8月5日更新

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