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2004年9月下旬号

旅へのいざない
〜ブリティッシュ・コロンビアの旅シリーズ
  Bバンクーバー・アイランド 海の旅 中編〜
 

 

  ブロークン・グループ・アイランズ諸島は、約10km四方の範囲に散らばった約100の島から成る。その中の8つに指定されたキャンプ場があり、もちろん、それ以外の場所でキャンプをすることは禁止されている。大きな島でも、端から端までの距離は約2kmといったところだ。島は森に覆われており、砂浜もあるがほとんどは岩がごつごつした海岸だ。島々が固まって存在するため、その塊の間にあるいくつかの海峡を除けば、さほど波が高くなることはない。この一帯ではアザラシや白頭鷲、うまく行けば鯨やイルカなどを見ることができる。そして驚いたことに、狼がバンクーバー・アイランド本島とこの島々の間を泳いで行き来するという。島だからといって安心できないのだ。

海峡を越え、ジブラル島へ
  朝から降っていた雨は止んでいたが、風が出てきて波が少しだけ高くなっていた。少なくとも、島々が肉眼で確認できる近さにあることに安堵した。午後過ぎにシーチャートを出発した今日は、近場のジブラルタル島キャンプ場でテントを張る予定だ。海をカヤックで行くというのは、足で不動の地面を踏みしめながら歩くハイキングと違い、どこかとても安心できないところがある。これは自信が付くにつれて薄れて行くものなのだろう。その反面、ハイキングなら背中に背負って運ばなければならない荷物が、全部カヤックに詰めてしまえるのはとても楽だ。風と波に煽られないよう気を付けながら、ネトル島までの海峡を横切った。
  海峡を横切ってしまえば、あとは陸地に近いところを行くだけ。漕ぎながらも、両側に見える大小様々な島を眺めることができる。途中、真っ黒な体に赤いくちばしを持ち、サギのように首を縮めて飛ぶやや大きめの鳥を見かけた。後から調べると、これは「ブラック・オイスター・キャッチャー」。海岸には牡蠣の殻がたくさん落ちており、バンクーバーで食べた生牡蠣を思い出した。つい数日前のことだが、あれからもう一ヶ月以上経っている気がしてならなかった。盛り沢山の旅では時がゆっくり流れていくのかもしれない。
  シーチャートを出て約3時間半後、先を漕いでいた連れが前方の島から煙が立っているのを見つけた。もう少し近づくと、テントや人が見えた。どうやら無事にジブラルタル島に着いたようだ。うっそうとした森と海の間には、黄色い砂浜が横たわる。今夜はここでキャンプだ。

ジャングルと砂浜のキャンプ場
  ジブラル島では、すでに4、5組の先客がテントを張りくつろいでいた。カヤックを水から引き揚げ、今晩の『家』を立てる場所を探すためキャンプ場の偵察に出かけた。テントから海が見えるような砂浜際の場所はもうなくなっており、仕方なく森へ足を踏み込むと、息を呑むような風景がそこにあった。あたり一面緑がみずみずしいうっそうとしたジャングルだったのだ。
  ふかふかの土の地面。厚いコケで覆われたふくよかな大木。その隙間を埋めるように生い茂るシダや潅木。黒々とした地面には真っ白な牡蠣の殻が点々と並べられ、倒木や木の根の間を縫うように伸びるトレイルを示している。貝殻を辿って行くと、テントを張るのが嬉しくてたまらないようなジャングルの一等地に導いてくれた。
  海を目の前に大自然の台所で料理した夕食は格別だ。なんだか「サバイバル」や「冒険」という言葉が似合うようになってきたこの旅。次の日はどんなことが待ち受けているのだろうとワクワクしながら、寝袋にもぐりこんだ。

快調な出足
  翌朝遅く起きた私達は、小雨と霧の中それぞれの方向に漕ぎ出して行くカヤックやカヌーを見送りながら朝食をとった。うっすらとした晴れ間も見えるが、目で周囲を確認しながら行くため霧が心配だ。翌朝10時のフェリーに乗らなければならないため、地図を見ながら、タートル島を経由してシーチャートに戻り近くの砂浜で泊まることに決めた。ブロークン・グループ・アイランズの南部まで行けないのは残念だが、まだペースが良くつかめず迷う可能性も大きい。ここまで来れただけでも幸せなのだから、無理はしない方が良いということに落ち着いた。
  正午を目の前にやっとジブラルタル島を出発した。山の天気は変わりやすいが海の天気も変わりやすい。漕ぎ出した時点で空の半分は厚い灰色の雲に覆われ、もう半分は青空で陽が差していた。波も穏やかで、どうやら霧には悩まされずに済みそうだった。タートル島に渡る小さな海峡までのしばらくは、陸地の近くを漕いで行く。本当はいろんな島に上陸して探検もしてみたいのだが、時間に余裕がなかった。時折、停泊しているヨットや遠くを白い波を立てて横切るボートが見え、オットセイと思われる丸い頭が波間から覗いていた。

タートル島はいずこへ
  「なんだかあたりの景色が違うようなんだけど」。さてこれから海峡を越えてタートル島にという時に、今まで道案内を務めていた連れが言い出した。人任せに景色を楽しんでいた私は、今までの道のりをあまり覚えていなかった。タートル島がどれだかわからなくなってしまったのだ。
  ひと悶着の後、とりあえずタートル島と見当をつけた島まで漕いでみることになった。それがもしタートル島であれば、地図に書いてある漁村の跡が海岸に見えるはずだった。少し波が立った海峡を横切りながら、またもや不安に駆られた。目標の島が近づくにつれ、それがタートル島にしては遠過ぎることや漁村の跡が見えないことがわかってきたのだ。しかし疲れてお腹も空いていたので、とにかく上陸してお昼を食べながら対策を練ることにした。
  水辺でお昼を食べながら、やはり来た道を戻るのが一番賢いのではないかと話していると、一隻のダブルカヤック(二人用)が近づいてきた。これでここがどこかわかるかもしれないと喜んで迎えると、この中年カップルの第一声は「この島は何島?」 私達が、ここはタートル島だと思ったけど良くわからないと答えると、彼らはここがタートルよりも少し南のタレット島だと思うと言う。しかしお互い確信できないのがわかると、彼らは上陸し、GPSと詳しい海図を取り出して正確な場所を確かめ始めた。GPSは、人工衛星を利用して緯度・経度を計算する小型機器のこと。その結果から、タートルでもタレットでもなくそこから大幅に南にずれたエフィンガム島にいることが判明したのだった。
  これで、時間の都合で行くのを断念していた南部まで来ていたことに気付いたわけだが、嬉しいやら悲しいやら。知らずの内に大きな海峡を渡っていたことは多少自賛できたが、目で確認しながら来てこれだけ大きく予定ルートを外れていたことにショックを受けた。時間は午後2時過ぎ。これからシーチャートまで今まで来た距離の約2倍をまだ漕がなければならない。今度似たようなことをする時には必ずGPSを持ち、綿密な準備をして行こうと心に誓った。
  カップルを別方向へ見送り、来たルートに戻る。幸い天気は良く、波も高くなかった。海峡を再度越え、ジブラルタル島に近づき、見覚えのある島々の間に身を置くと、心が安らいだ。

テント禁止のシーチャート
  ネトル島を過ぎ、海峡を越えて再びシーチャートの海岸線まで戻ってきた。行きのレディー・ローズからも数羽見えたのだが、どうやらこの辺には多くの白頭鷲が生息しているようだ。海岸線沿いに生えている木のてっぺんには、200mおきに一羽とまっていると言っても過言ではない。バンフでのバードウォークでは空に舞っているだけで歓声が上がったが、こうたくさんいると感動が薄れてしまう。真下から眺めていると、危うく糞が肩に落ちてくるところだった。
  夕方だからだろうか、カモメがたくさん飛び交うシーチャートにようやく到着。水は恐ろしいほど穏やかで、ドックはがらんとしていた。カヤックから抜け出して体を伸ばしながら、翌朝は早いのだし、もうカヤックを返してどこか近くでテントを張ってしまおうと話していると、ロッジのオーナーの女性が現れた。「こんな時間にどうしたの? ロッジのサービスはもう終わっているのよ」。これが今日2つ目のミスだった。彼女は、ロッジ周辺は「私有地」でありテントを張ることはできないと言う。私達は一番近いハンド島のキャンプ場まで漕いで行くか、ここからもっと離れたシーチャートの海岸線上どこかでテントを張るかしなければならなかったのだ。すでに夜7時をまわっているのに、彼女はシーチャートの海岸沿いにあるボーイスカウトがいつもキャンプをするという場所を私達に告げ、「また明日」と去って行った。
  仕方なしにまたカヤックに乗り込み、なるべく近くてテントを張れそうな場所を探しに漕ぎ出した。いくつもの入り江をのぞき砂浜を探したが、適当な場所がない。朝起きたら満ち潮で水浸しという状態を避けるためにも、やはりボーイスカウトの場所へ行ったほうが良いだろうと意見がまとまった。
  陽が傾き始め、あたりには夜の気配が忍び込んでいた。波ひとつ立っていない水面を切るようにカヤックが滑って行った。(続く)

小林りん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

キューブヘルプラインから
〜Save Your Own Life〜

  最近、「キューブヘルプライン」への性交渉や妊娠に関する相談が増えています。そこで今回は、避妊対策について取りあげてみましょう。
日本とカナダでは避妊に対する意識にかなり差があるようですが、まず、カナダでは避妊に関しての話題がタブー視されていないことを認識して下さい。性別や年齢に関係なく、望まぬ妊娠や性病感染を防ぐための対策は必須とされています。性的関係を持つ場合は、同時に必ず避妊対策を考えましょう。愛のある性行為であってもそうでなくても、決してなりゆきで事は済まされません。
医師によると「健康な若い男女の場合、避妊せずに性生活を続ければ、間違いなく2ヶ月以内で妊娠するだろう」とのこと。タイミングが悪ければ、たった一度の性交渉でも妊娠してしまいます。女性にとっては自分の身体のこと、男性にとってもこれからの人生に大きな影響を及ぼしかねないことです。どんなに言いにくくても、言葉に出して相手と話し合う勇気を持って下さい。

コンドームと避妊薬
  避妊方法として最も一般的で効果的なのは男性側の「コンドーム」と女性側の「避妊薬」です。それぞれ使用方法を間違えなければ、98%以上の成功率と言われています。コンドームは薬局の他、スーパーなどでも簡単に誰でも入手できます。どこの診療所でも第一の避妊対策としてコンドームの使用が勧められています。
  避妊薬は内服する錠剤(経口避妊薬)と身体の一部に貼り付けるタイプの2種類があります。どちらも入手には担当医の処方箋が必要です。経口避妊薬(バースコントロール・ピル)は1950年代より西洋社会に普及し、50年以上の実績と歴史があります。最近は益々改善され低用量でも効果が高くなり、安全で副作用も少ないと言われています。
  身体に貼り付けるタイプの避妊パッチ(バースコントロール・パッチ)は、近年での米国の解禁を皮切りにカナダでも1〜2年ほど前から解禁になりました。パッチの避妊効果は高いようですが、副作用等の確実なデータがまだ揃っていないようです。ただし、ひどい生理不順と生理痛がこのパッチで治ったケースも見られています。毎日同じ時間に服用しなければならない経口避妊薬に比べ、一週間に一度の交換でよいパッチのほうが便利と感じる人も少なくないようです。
  避妊効果は高いとされる経口ピルとパッチですが、最近とても話題になっている「性感染症」(STD=Sexually Transmitted Disease)を防ぐことはできません。十分な注意とコンドームとの併用を強くお勧めします。 

まやかし避妊法に注意
  最後に、避妊方法で過信してはならないのが「膣外射精」と排卵日を計算して妊娠可能期を避ける「オギノ式」です。これらに関しては、ほとんど避妊法としては信頼のおけないものとされています。


遠藤千晶


★「キューブヘルプライン」の婦人科系問題の相談役は、バンフで診療所を持つ女医のDr. Tanya Pentelichukです。

Cube Help Lineでは怪我や病気の際の病院手配、診察時の通訳などのサービスを行っています。治療費や通訳費などは、ご本人に代わり海外旅行保険会社へ代行請求いたしますので、お金の心配もありません。医療に関すること以外でも、緊急の場合は24時間サポートしておりますので、困った時にはご相談ください。 キューブヘルプライン 762-7771


Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


Someone's mind is wandering = 集中していない、注意散漫

注意が散漫している状態、あるいは物事に集中できない時状態を示す時によく使います。“wander”という単語には、もともと「確固とした目的もなくフラフラと歩き回る」という意味があります。従って、このフレーズは、“mind” がフラフラと落ち着き無く歩き回る、つまり思考が集中しないという意味になります。

−発音ワンポイント−
“wander” に似た単語で “wonder” がありますが、発音が違うので気をつけましょう。 “wonder” の場合、単語 “up” のUのような発音になりますが、“wander” の場合は、単語“on” のOのような発音となります。

●Situation 1 
Teacher: Yoshi, I asked you a question. Didn't you hear me?
Yoshi: I'm sorry. My mind was wandering.
Teacher: I know. You should be paying attention.

●Situation 2
Dave: Every time our company has a meeting I can never listen. The meetings are so boring. 
Betty: I know. My mind wanders at every meeting. 
Dave: Next meeting I'll try harder to pay attention, in case the boss asks me a question.

●Situation 3
Anne: What book are you reading?
Mary: It's called, "For Whom the Bell Tolls." I can't get interested in it. When I start reading it, my mind wanders.
Anne: Maybe you need to read a different book.
 

BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)


料理の知恵
〜冷蔵庫の整理法〜

  冷蔵庫は上下の棚によって温度差があるので、適所に肉や野菜などを保管したほうが良いのをご存知ですか?

<一番上の棚>
ドア以外の他の場所と比べて一番温かいので、バターや冷蔵した方が良い果物(リンゴ、メロンなど)を入れます。

<真ん中の棚>
残り物など調理されたものを入れるのに最適。冷蔵庫下の野菜入れに入りきらない野菜もここへ。

<一番下の棚>
一番温度が低い場所。肉や魚用の引出しの付いていない冷蔵庫では、ここに保管するのが一番です。牛乳や卵の保管にも最適。

<ドア>
ここに通常ある卵やバター入れは、これらを保管するには温度が高すぎます。冷蔵の必要はないが、低温で保管した方が良いナッツ類、イースト、パプリカなどを入れると良いでしょう。


参考文献:Select Magazine


気ままな独り言
〜ドラマに見る永遠の女ごころ〜


  昨年4月からNHKのBS2で放映され、その爆発的人気のため、12月からはNHK総合テレビで再放送になった話題の韓国ドラマ『冬のソナタ』をご存知ですか?
  昔、その放送時間中銭湯の女風呂を空にした『君の名は』をしのぐほどの人気で、特に三十代から中高年層の女性を夢中にさせたこのドラマのテーマは、古臭いほどの「純愛」です。ヒロインが「昔愛した人」を想い、現在進行中の恋愛との狭間で戸惑い、悩み、哀しむ姿が描かれています。
  「今時、こんな単純な淡い純愛物語がよく受けるもんだ」と思いながらも、ついついドラマに入り込み夢心地になっていく自分の姿を思うと、世の女性たちの気持ちがわかったような気がします。結局、われわれの永遠の夢と憧れは、いくつになっても、いつの時代も「純愛」なのですね。
 同時に感じるのは男と女の求めるものの相違点。世の中の女性たちが純愛にあこがれるのとは裏腹に、「男」たちは寂しいかな、どんどん激しくなる性産業に走っているような気がします。昔から西洋社会からみた日本の性産業は異常ですが、日本の性売買は年々激しさを増し、これでもかというほどのいろいろな商法で男たちを誘惑しています。西洋社会では性売買に関わる一般の男性はそう多くありませんが、日本ではいとも簡単に社会全体に寛容されている雰囲気があるとは思いませんか? ソープ、ホテトル、愛人バンク、テレクラ、高校生売春、最近のもっぱらの話題は「ハプニングバー」とかいう場所らしいです。

 なんだか、純愛派の女性たちが馬鹿なのか、性を商品としか考えられない男性たちが寂しすぎるのか、これじゃいつまでたっても二者交われない。それこそ永遠の男女の平行線をみるような気がしてならない、今日この頃です。
 

遠藤千晶


 

 

●冬のスキー情報コラム、モモちゃんの「スキー場へ行こう!」が今年も始まりました。(9月下旬号はお休みです。)

 

2004年9月16日更新

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