![]()
〜連載最終回〜
潮流
アラスカ、カナダ沿岸水路の潮の最大干満差は7〜8mもある。満潮時に上陸、キャンプをし、翌朝起きてみると目の前が崖だったり、海がはるかむこうなんてことがある。なので航海中は地図と共に、潮汐表も注意して見なくてならない。
この干満差は、狭い水路で流れの速い潮流を発生させる。カナダの沿岸水路で時速約18km以上の、まるで川のような潮流のある水路がいくつもある。このようなところで対流時に漕いでもまったく進まないので、転流時(ほとんど流れがなくなる潮の変わり目)か、追い潮に変わるまで待つしかない。また潮流は、うず流や不規則な波を発生させる。大きなうず流の近くをカヤックで通ると、行きたくないのにうず流の目の方へカヤックが引き寄せられてしまい、コントロールを失い、危うく沈しそうになる。うずの目の中は、一度引きずり込まれたら二度と這い上がってこれなさそうな雰囲気で、見ているだけで気味が悪い。うず流地帯を漕いでいるときの気分は、まるで洗濯機の中にいるようだ。
カナダのシーモア・ナローズでは、時速約30kmもの速度の潮流が発生する(ナローズとは海峡のこと)。ここを漕いだときはとても緊張した。2、3年に一度、ここで小型船がうず流に巻き込まれて沈没する事故が起きているからだ。転流時に通ろうと近くの入り江で待機していると、たくさんの小型船や大型貨物船までもが転流時に通るため待機していたので、ここの潮流のすごさを伺い知ることができた。
この日の転流時は午後3時。転流時5分前になると一斉にたくさんの船が、幅1kmもない狭い水路になだれ込んだ。一時交通渋滞が起こったほどだ。転流時から30分から1時間後には再び潮流が発生するので、みな急いで船を走らせる。船が通る際につくる波は、シーカヤックにとって厄介ものだ。波がくるたびにカヤックを左右に振られ、あやうく沈しそうになる。ときには頭から波をかぶる。狭い水路なので、どうしても他の船はカヤックのすぐそばを通らざるを得なく、そのため船の波は大きく発生し、崩れ、それがカヤックめがけてくるたびに頭から波をかぶり、びしょぬれになる。
しかし早く自分もこのナローズを抜けたいので、次から次へとくる波を必死でかわしながら漕ぐ。すると後ろで「プァーン!!」という大きな音の警笛が鳴った。振り返ると大型貨物船がすぐ後ろまで迫っていた。「邪魔だ、どけ!」とでも言ってるような警笛はあきらかに自分のカヤックにむけて鳴らされたものだった。大型船に巻き込まれたらひとたまりもない。進路をゆずるため、急いで岸よりにカヤックを進める。ようやく岸に着くと、大型貨物船はうねりのような大きな波を立てて、悠々と通り過ぎていった。
大型船が通り過ぎて一安心かと思ったら、今度は大きな波がカヤックを襲ってきた。大きく左右に揺さぶられ、波をかぶり、あやうく沈しそうになった。さらにようやく波が去ったと思ったら、今度は岸で跳ね返された返し波が反対側から襲ってきた。再び左右に揺さぶられ、翻弄される。ようやく波が静まったときには、全身びしょ濡れでコックピットの中まで水びたしだった。ナローズを通り終えたころは、たくさんいた船はすでに去り、ただ自分一人だけが海に浮いてるだけだった。時速約30kmの潮流やうず流よりも、大型船や船のつくる波の方が怖かったシーモア・ナローズだった。
ケープ・コーション
カナダにケープ・コーションという岬がある。日本語に訳すと「警戒・用心の岬」。比較的穏やかな内海が多い沿岸水路の海でも、このケープ・コーション周辺は外洋からのうねりが直接入り、つねに高い波が発生している。ここを漕いだ時は本当に警戒・用心を要した。
数日の間、高気圧に覆われ、晴れの日が続いていた。しかし連日風が強く、天気予報では小型船舶への注意をしきりに呼びかけていた。シーカヤックは風に大きく影響を受けるため、いくら晴れていても強風により漕げない日がある。ケープ・コーション近くの入り江で1日停滞し、天気の動向を伺ったが、しばらく高気圧は一帯に居座り、強い風もしばらくやむことはないとの予報だった。風がおさまるまで長期停滞を覚悟しようと思ったが、食料が残りわずかだったので進まざるを得ない状況。だが航海中ずっと天気を観察しているうちに、必ず朝と夕方に海が凪ぐ規則性があることが判った。この高気圧の強風も例外でなく、早朝の数時間だけと、深夜の数時間は風が凪いだ。
ケープ・コーションを越える当日、まだ星が見えており太陽も上がっていない早朝4時に出発した。予想通り海は凪ぎ、出発時は湖のように静かだった。しばらくは安全に漕いでいたが、太陽が上昇するにつれ風は強さを増し、岬に着いた正午近くにはかなりの風とうねりになっていた。ようやくケープ・コーションを越えた時のうねりの高さは体感5mはあった。それはまるで沖から大きな丘が迫ってくるようなうねりだった。ちょうどカヤックの近くを小さな漁船が通ったとき、その船がうねりで一瞬隠れたのには驚いた。
ケープ・コーションを越えたのはいいが、この先、陸はサーフゾーン(海底が浅いところで、サーフィンするような高い波が砂浜に激しく打ち寄せているところ)が続き、上陸するのは難しかった。時間は午後になり、キャンプ地を見つけなくてはならない時間。すると突然濃い霧に囲まれ、視界を失った。海はうねり、風ともに強さを増し、危険な状態が依然として続いていた。地図を見ると、数キロメートル先に風やうねりの影響を受けないキャンプ地に最適な小さな入り江があり、そこを目指すことにした。視界がないため、コンパスをたよりに航海する。その方角はちょうど東。そこからちょっとでも陸側にそれるとサーフゾーンに突っ込み、海側にそれると陸地から遠ざかってしまう。すこしの狂いも許されなかった。1時間ほど漕ぎ、目的の入り江に着いてもおかしくない位置にいたが、視界がないため確認できない。すると陸側から「ザザッー!!」という轟音が聞こえてきた。目を凝らすとすこし前方に、高さ3、4m以上の白波が現れた。いつの間にか進路はサーフゾーンに突っ込んでおり、もう少し気付くのが遅れてたら危うく波にもまれるところだった。慌てて後ろ向きに漕ぎ、進路を修正し、漕ぎなおす。するとようやく霧の奥から入り江が現れ、中に入ると今までの荒れた海がまるで嘘のように、静かで穏やかな海が広がっていた。視界ゼロの真っ白な世界の中、高い波の中の航海は本当に恐ろしかった。
バンクーバー、ゴール
アラスカを出発した頃は、5月下旬でまだ気温も低く、朝晩は吐く息が白いほどだった。そんな中、濡れたウェットスーツを着るのは体が凍えるようで、とても辛い日課だった。しかし月日が経ち、バンクーバーに近づいたのは8月上旬。季節は夏になり、連日高い気温と強い日差しの中を漕いだ。おかげでゴール3日前ぐらいから軽い日射病になり、頭痛を起こし、天気が良いにもかかわらず、少しの距離しか漕げないことがあった。
ゴールする最終日、岬をまわって、ようやくバンクーバーの高層ビル群が遠くに見えたときは、本当にうれしかった。それは今までの辛かったことを帳消しにする景色だった。だがバンクーバーに近づくにつれ、自然が減り、住宅が目立ち、車が走る騒音が聞こえ、海が汚れていった。すこし寂しさを感じた。
ゴールは、バンクーバーのダウンタウンとグランビル・アイランドを結ぶグランビル・ブリッジと決めていた。初めてカナダに来たとき、グランビル・ブリッジの上から、悠々と気持ちよさそうに橋の下をくぐるシーカヤッカーを見て、自分もカヤックでくぐってみたいと思ったからだ。
ダウンタウンに近づくと、スタンレー・パークが見えてきた。海で泳ぐ人、遊歩道を歩く人、ベンチに座る人。ずっと一人で漕いできたせいか、たくさんの人を見るのはとても刺激的だった。町に近づくにつれ、だんだん車も増え、いつの間にかビルは見上げる高さになっていた。イングリッシュ・ベイを奥まで漕ぎ進むと、グランビル・ブリッジが見えてくる。グランビル・アイランドにはたくさんの買い物客と観光客がおり、また裏手のヨットハーバーからはたくさんのヨットが往来し、いつものように賑わっていた。ブリッジがついに目の前にくると、漕ぐのを止めた。そしてゆっくりと風に押されながら静かにゴールした。カヤックから橋の下を見上げると、無機質な鉄骨があるだけだったが、これを最後に見るために74日を費やしアラスカから来たかと思うと、何か特別なもののように見えた。
グランビル・アイランドの遊覧船乗り場そばの桟橋にカヤックを停めて上陸し、記念撮影をするため近くにいる観光客をつかまえカメラを渡す。すると、その観光客から「どこから漕いできたの?」と質問された。「アラスカから」と答えると、その人は“Wow, you are crazy!”と言った。その言葉は旅の途中、いつも人から言われてきたことで、いつしか自分への褒め言葉になった。
最後に、遠征出発前に見送ってくれたKevinさん、Naokoさん、カナナスキスのみんなへ、心からありがとう。(完結)鈴木‘POP’康弘
旅の写真は以下のアドレスにて掲載
NHLの今シーズン開幕なるか?
〜NHLの選手締め出し〜
今シーズンはNHLの試合が行われない?! 昨シーズンのカルガリー・フレームス大奮闘で大いに盛り上がった矢先にリーグ経営陣と選手間でいざこざが起こり、開幕は先延ばし。今後の見通しやこのいざこざの原因など、スタンレー・カップが待ち遠しいあなたのための解説です。
Q.リーグ経営側と選手の間で何が起きているの?
どこの会社にもあるように、経営側と選手会は雇用契約を結んでいます。以前結ばれた契約の期限が切れたため、今回新しい雇用契約を結ぶことになりましたが、その内容について合意ができておらず、その結果、経営側が9月から選手をリンクから締め出している状態(ロックアウト)です。この契約なしにチームは選手を雇うことはできないため、開幕が遅れています。
Q.今シーズンの開幕なし?
10月13日に開幕予定だったNHLですが、来年1月までに合意に達しない場合は、シーズン自体がキャンセルされる可能性が非常に高くなります。シーズンが開幕しなければ、スタンレー・カップも行われません。逆に1月までに合意に達することができれば、通常よりも短いシーズンで試合が行われる予定です。
Q.経営側と選手会は、何について合意できないの?
お金です。経営側はNHLの売上が年々減っているなか、選手の年俸がどんどん上がっていることに不満を示しています。売上と選手の年俸を比例させるため、経営側は選手の年俸に上限を設けること(サラリー・キャップ)を希望していますが、選手会はそれを断固として拒否しています。争いの焦点は他にもいくつかありますが、このサラリー・キャップの問題が最大の焦点となっています。
Q.百万ドル以上稼ぐ選手も多いのだし、これは選手側のわがままじゃないの?
そう一概には言えません。選手会がサラリー・キャップに同意しない理由に、まずリーグ経営者側への不信感があるようです。具体的に、選手会は経営側が発表した売上額や損害額の数字を信用していません。実際を下回る売上額や実際を上回る損害額を発表したとの疑いが出ています。これでは納得できないのも当然でしょう。
一方で、昨シーズンの選手平均年俸は183万ドルでした。比較的資金が乏しいチームにとっては、人気選手をとることが難しいのも現状です。
Q.今、選手達はどうしているの?
NHLのロックアウトが終了するまでの期間中契約を結び、ヨーロッパのリーグでプレイしているNHL選手がたくさんいます。もともとヨーロッパ出身の選手が中心のようですが、NHL選手のヨーロッパ進出によりヨーロッパのリーグから選手があふれることを非難する声も出ています。
小林りん
Let's
Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜
What else...? = その他には?
ここでいう“Else”とは、「その他のこと」を指します。“What else…?”で質問をされた場合、質問者はあなたがすでに与えた答え以外の「何か」を求めているということです。例えば「この週末は何をしましたか?」と聞かれた時、あなたが答えたとしましょう。その後さらに“What else did you do?”と聞かれることがあります。質問をした人は、「その他には何をしたの?」ということを聞いているのです。
●Situation 1
Lynn: Let's make a cake!
Ted: Okay, we have oil, eggs, flour, baking soda, vinegar and salt.
What else do we need?
Lynn: I think we need cocoa. I must look at the recipe and check.
●Situation 2
Sara: What did you do on the weekend?
Mike: Well, I cleaned my house and did laundry.
Sara: What else did you do?
Mike: Oh yes! I also went to a great party on Saturday night.
Sara: I'm glad you did something that was fun.
●Situation 3
Police Officer: How many people did you see running from the bank that was robbed?
Witness: I saw 2 people and they were wearing black masks and black clothes.
Police Officer: What else did you see?
Witness: The 2 people ran into a black van and it drove away quickly. That's it.
BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)
秋のハイキングシーズンが終わり、スキー場にまだたくさんの雪が積もっていない今の時期、ぴったりのアウトドアアクティビティーがアイススケ―トです。もちろん、レクレーション・センターの屋内リンクも開いていますが、雪をかぶった山々や木々に囲まれた屋外リンクはとても気持ちがいいものです。今回は、バンフ周辺のアイススケートスポットをご紹介します。
☆凍った池や湖
まだ雪がたくさん積もっていないカスカード・ポンド、ジョンソン湖、キャロット・クリークなどでは、凍った湖の上でスケートやホッケーをしている人が見られます。雪が積もっていても、雪かきがされているところもあり、十分な氷の厚ささえあればスケートができます。
このような湖や川でスケートをする際は、時には氷が薄く事故につながることもありますので、十分注意してください。厚さ15cm以上の場所が安全とされていますが、実際に氷の厚さを測るのは難しいので、氷の厚さがわかる経験者と行くか、その日に多くの人がスケートしている場所を選ぶことをお勧めします。
☆人工屋外アイスリンク
湖などが少し怖い方には、バンフ・スプリングス・ホテルゴルフ場近くのスケートリンクやレクレーション・センター(バンフ駅近く)外のスケートリンクがお勧めです。ここは地面に水を撒いて凍らせたリンクなので、氷が割れて水に落ちる心配がありません。雪かきもきちんとされているので、冬中スケートが無料で楽しめます。
例年、12月中旬から1月頃にリンクが完全に凍るので、この号が出る時にはまだオープンされていない可能性もありますが、バンフ・スプリングス・ホテルのリンクは夜もライトアップされており、とてもきれいです。ぜひ一度足を運んでみてください。
☆スケート靴の入手
スケート靴のレンタルは、映画館の隣のSnow Tips(ベアストリート)やSki Stop(バンフ・スプリングス・ホテル店)で行っています。レクレーション・センターでもレンタルできますが、こちらは屋内のリンクが一般公開されているときのみのサービスですので、ご注意ください。
自分の靴を購入したい人は、バンフには販売店がないのでキャンモアかカルガリーへ。ポスターなどで、中古のスケート靴を探すのも良いでしょう。
●冬のスキー情報コラム、モモちゃんの「スキー場へ行こう!」もご覧下さい。(11月合併号)
2004年12月2日更新