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2004年2月下旬号

2005年冬季カナダ・ロッキー山脈北部ソロ縦走1200km計画書

(一部問題発言あり)

〜戻ってきた冒険家、田中幹也〜

  2月7日にバンフタイムズ編集部へ日本から一通のメールが届いた。「計画書」という件名のメールの送り主は、2001年まで弊紙でコラムを執筆されていた冒険家の田中幹也さん。新たな遠征のためにロッキーに戻っていらっしゃるとのことで、メールには以下の驚くべき計画が記されていた。成功を祈る!

1.概略
  カナダ・ロッキー山脈は最高峰4,000mに満たないが、本州の長さと同じくらいのスケールを持つ。高緯度ゆえ自然条件は厳しく、冬季はマイナス40℃を下まわり上越並の豪雪にも見舞われる。観光やスキー場として有名なカナダ・ロッキー山脈だが、人が訪れるのはほんの一部。大部分は静寂につつまれた手つかずの自然が残されている。
  今回の計画は、カナダ・ロッキー山脈北部を山スキーおよび徒歩で冬季に1200km踏破しようというもの。行程中は雪山でのテント泊が連日つづく。今回のルートは国立公園からはずれているため情報はほとんどない。現場を踏むまで、どうなるかわからない。予定どおり辿り着ける保証などない。しかし、可能性が低いからこそトライする価値は高まる。
  冬季カナダ・ロッキーは二つの魅力を内包している。自己や厳しい自然と闘い、それらを克服する熱い興奮を提供してくれる。そして自然の神秘がある。ただそこに居るだけで癒される挑戦とは対極の喜びも内在している。原始の香り漂う未知の世界において自己の可能性を追求しようというのが、今回の計画の趣旨である。

2.目的
● やりもせずに「できない」と嘆くチンチクリンに、実践の重要性を伝える
● マニュアルだけで判断する頭デッカチに、現場を踏む重要性を伝える
● 嘘と誇張を巧みに用い受け狙いに走るニセモノ人間に、真の価値を伝える
● 日本人として前例のない単独での冬季長期山スキー縦走 −カナダ・ロッキー北部−1200km(ジャスパー   〜アラスカ・ハイウエイ)を完遂する
● 自己の能力を確認し、証明する

3.期間
2005年2月下旬〜5月下旬の約3ヶ月間

4.勝算
  きわめて低い。あらかじめできるとわかっていたらトライする価値はない。体調、モチベーション、天候、そして運に恵まれれば踏破できるかもしれない。運が悪ければ死ぬだろう。途中で断念する可能性がもっとも高い。旅立ち前の不安に押しつぶされてスタートすら断念するかもしれない。

5.客観的難易度
  比較的やさしい、と思われる。体力的には、ゴンドラを使わずに登るサルファー山の1000倍、オーストラリア大陸自転車横断の100倍を上まわるだろう。しかし、冬季エベレスト無酸素登頂(まだ成功した人はいない)よりははるかに楽であろう。ちなみに自身にとってはそれ相応の困難が予想され、やり甲斐あるテーマだ。

6.装備
  特注品などなく、市販品に手を加えることもなくそのまま使う。最低気温マイナス40℃以下が予想されるなかで軽装すぎる、との指摘を受けた。しかし、高価な装備で身を固めたところで、計画を遂行できる保証はない。実力のある人はずさんな装備でも成功するし、ダメな人は特注品を揃えても失敗する。行動者の意識、モチベーション、思考、思想も装備の一つに思う。

7.食料
  インスタントラーメン、オートミール、ビスケット、チョコレートなどが連日つづく。バックパックに収まるだけという制限がある。極端に減らせば体力は低下し、持ちすぎれば荷が重くなり体力を消耗する。運動量に比べて少なすぎる、との指摘を受けた。しかし、運動生理学のマニュアルでカロリー計算したところで、計画を遂行できる保証はない。実力のある人は粗食でも成功するし、ダメな人は栄養価を高めても失敗する。装備同様に行動者の資質に大きく左右される。集中力しだいにも思う。

8.トレーニング
  トレーニングはやらない。努力と成果に相関関係はないからである。大がかりな計画にトレーニングなしで挑むのか、との指摘を受けた。しかし、トレーニングに勤しんだところで計画を遂行できる保証はない。実力のある人は努力しなくてもできるし、ダメな人はがんばってもできない。努力よりも自身のなかに埋もれている天性を引き出すことのほうが重要に思う。

9.自己の客観的評価
● 山&冒険
「苦節十年自称ベテラン」を0として「世界的トップレベル」を100とすると30くらい?
● 精神力
「やればできると飲んだ席でのみの大口たたくツワモノ」を0として「9・11のニューヨーク自爆テロを行った過激派」を100とすると30くらい?

10.なぜやるのか
● 一度きりの人生にたくさんの思い出を残したいから。
● 生きることもなく死ぬこともなく、大衆に流され死を待ち続ける人生なんてまっぴらゴメンだから。

田中幹也 自己プロフィール 
(たなか・かんや、1965年生まれ、登攀クラブ蒼氷所属)
  十代より高難度のクライミングを志し、「日本国内冬季クライミング多数(冬季初登10ルート)」「グランド・ジョラス北壁クライミング」などを行う。その後、方向転換。「オーストラリア自転車横断5000km」「中国やモンゴル奥地を放浪」などに取り組む。
  95年冬のカナダ・ノースウエスト準州を自転車で走り雄大な自然に魅せられる。以来毎冬、カナダに通う。「95〜99年カナダ北西部縦断・自転車、徒歩、山スキー1万4000km」「2001年厳冬季ラブラドル半島・自転車横断1200km」「02年冬季ロッキー山脈南部・山スキー縦走1200km」など。世界初記録多数(冬のカナダで長期縦走や自転車走行に挑戦する人材はとぼしく、やれば冬季初踏破になる)。また、ネパール、ボルネオ島、東南アジア、北欧なども訪れる。


Let's Talk Like Canadians!!
〜英会話ワンポイントアドバイス〜


Can't stop something = (やめようと思っているのに)どうしてもやめられない

  どうしてもやめられない悪い癖や習慣などを表現するときに使うフレーズです。このフレーズを使う際には、文法に細心の注意を払ってください。"Can't stop"の後ろには、動詞に"ing"を伴った動名詞(=やめられないこと)が続きます。
例: I can't stop smoking. 
(煙草がどうしてもやめられないんだ。)

  似たような表現で"Can't stop to"(+動詞の原形)がありますが、こちらは「〜する暇がない」という意味です。"Can't stop"の後には、上の「動詞+ing」ではなく「to+動詞」が来るので、例文を参考に確認してください。 
例: I can't stop to have lunch right now because I have to finish this report.
(レポートを仕上げなくちゃならないから、ランチなんて食べている暇はないわ。)

●Situation 1 (食べるのをやめられない)
George:
What am I going to do? I love chocolate so much I can't stop eating it. 
Jamie: I don't know, but you should start exercising.

●Situation 2 (ケンカが途絶えない)
Mary:
What's the matter Betty? You look tired.
Betty: I am. My two sons can't stop fighting with each other. 
Mary: That's too bad. However, it is normal for two brothers to fight.

●Situation 3 (立ち話をしている暇がない)
David:
Hi, Jose. How are you?
Jose: Fine, thanks. I'm sorry David, but I can't stop to talk right now. I have a job interview in 10 minutes. I'll call you tonight at home.
David: Okay, Jose. Good luck at your interview!

BY Susan Taylor (Banff Education Centre講師)


 

 

●冬のスキー情報コラム、モモちゃんの「スキー場へ行こう!」もご覧下さい。(1月20日更新)

 

2004年2月17日更新

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